木村草太「伊藤匠叡王の8四桂に感銘」
将棋の第73期王座戦五番勝負第5局で挑戦者の伊藤匠叡王が藤井聡太王座に勝ち、王座のタイトルを奪取。藤井氏は六冠へと後退、伊藤氏は二冠となった。11月11日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、自身も将棋を指す東京都立大学大学院教授で憲法学者の木村草太がこの対局について語った。
木村「この秋、行われていた日本経済新聞主催の第73期王座戦、藤井聡太王座に伊藤匠叡王が挑戦者として挑みました。両者ともに2002年、21世紀生まれの23歳。これまで藤井王座から唯一タイトルを奪ったことがあるのが伊藤叡王という対決でした。2勝2敗で迎えた第5局で勝ったほうがタイトル獲得という大一番、63手目に伊藤叡王が8四桂という手を繰り出しました。どんな手なのかわかりやすく例えますと、伊藤叡王の城が藤井軍に攻められていまして三の丸が破壊され、二の丸も破壊されようとしている状況、普通は攻撃部隊に対処して追い返すわけですけれど、伊藤叡王は何と全く無視して藤井城に攻めかかったんです」
砂鉄「自分の城が崩されているのに守らなかったんですか?」
木村「守っている暇なんてなく、攻めないと敵が逃げてしまうということで敵を攻撃するという手でした。言葉で表現しますと、自分の城を破壊している部隊にかまっている暇はない。何なら城を壊してもらったほうが自分が逃げる時に道ができて逃げやすくなる。それよりさっさと攻撃しないと相手が逃げてしまう。この手を見ていたプロ棋士の皆さん、将棋ファンの皆さんは『将棋ってこんなに忙しいゲームだったんだ』と感嘆していました。私も感銘を受けました。この手が幸いして伊藤叡王が二つ目のタイトルを獲得しました」
番組では、この他にも木村草太が藤井王座と伊藤叡王の対局について語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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