【アナコラム】長谷川太「夢物語ではなくなってきている」

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▼11月28日配信号 担当
長谷川太アナウンサー

目の前で起こっていることがどうしても信じられなかった。
変な話だが、東京スタジアムのスコアボードは試合の俯瞰映像が常に映されているのだが
TV中継のように常に「得点」が表示されないので、試合中本当にブラジル相手にリードしているのか見ていて不安になるのだ。プレーしている選手も同様ではないだろうか。さすがにそんなことはないか。とにかく隣の顔見しりの記者に、「今リードしてるよね。このままいけば日本はブラジルに勝つってことで間違いないよね」とアホな確認をする始末。

1998年に初めて日本がフランスW杯に出場して以来、直近のカタール大会以外のすべての大会で実況を担当した。弱かった時代には、サポーターたちがふがいないチームに怒りが募り「暴動」を起こす場面にも遭遇した。多くの選手が実力をつけ海外でプレーするようになっても、代表として集まると全くコンビネーションも考え方も合わずチームが崩壊したこともあった。
長いサッカー取材歴の中でも今の日本代表は間違いなく史上最強のチームだ。
なにより選手達は相手がブラジルといっても臆するところがない。
欧州を舞台に戦う選手たちにとってはブラジル代表といったって普段一緒に試合をする仲間だからだ。これはとても大きいことで、この日のブラジルのFWはヴィニシウス・ジュニオールだが日本の久保建英とはレアルマドリードで一時期チームメートだった。
だから手の内は知り尽くしているしなにより余計なリスペクトをすることがない。
ブラジルと言ったって彼らにとっては恐ろしいチームではないのだ。
さらに取材して感じるのは選手達がこのチームに貢献したいという気持ちがとても強いことだ。
私のサッカー常識では、サイドバック=ウィングバックというポジションは専門職で簡単に変えがきかないポジションのはずだ。
ところが現在右ウィングバックには右の2列目を主戦場としている堂安律が入っていて守備も含めて素晴らしい活躍をしているし、先日のボリビア戦で左ウィングバックを務めた前田大然は本来はセンターFWの選手だが左サイドで攻守にまさに献身的な働きをみせた。どこのポジションでもチームに貢献する仕事を遂行する。取材すると特定のポジションでなければ力を出せないなんて選手は今の代表には存在しないことがわかる。私のサッカー常識なんて古すぎるのだと思い知らされる。
これから何が起こるかというと選手層がとても厚くなる。
よくW杯で優勝するチームは代表を2チーム作れるくらい層が厚い必要があるといわれる。
決勝までの長丁場を戦うためには層の厚さはどうしても必要だが、今の日本代表をみていると怪我人さえ戻ってくればこの課題はクリアできるような気がする。
選手達も堂々と口にする「ワールドカップで優勝する」ということが夢物語ではなくなってきている。来年の6月開催北中米W杯。楽しみしかない。

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