木村草太が解説「不当な統計的判断をどう防ぐか」
現在、個人情報の統計的判断をどう防ぐかということが議論されている。3月10日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、東京都立大学教授で憲法学者の木村草太がこの問題について解説した。
木村「統計的判断というのは、この商品を買っている人は借金を返さない率が高いとか、 この地域に住む人は犯罪率が高いといった統計です。こういう統計は今、いくらでも作れるわけで、こういった統計で個人を評価・決定しているわけです。ただ、こういうことを際限なく許しておきますと、買い物の傾向とか住む場所を理由にローンを組めなかったり、就職できなかったり、あるいは職務質問の対象ということになりかねません。
そこで不当な統計的判断をどう防ぐかということが議論されているわけです。まず考えられた発想が個人情報保護法にデータ主体(個人情報を持つ人)の同意なしに統計を作ってはいけないという規定を入れるという発想でした。例えば商品を買った人に関する統計を作る時に買った人に統計をとっていいですかという同意をとれば、あまり同意もしないだろうし、変な統計は作られないだろうという発想です。
しかし、この発想は二重の問題がありました。まず、たとえ自分が同意しなかったとしても他の人のデータから統計が作られてしまいます。例えば浜松町に住んでいる人という統計の時に、たまたま浜松町に住んでいるAさんが統計を拒否しても他の人が同意してしまえば住んでいる人の統計ができてしまいます。ですので、これは有効なコントロール手法ではないということです。
一方で統計を作る時にデータ主体全員の同意をとるというのは非現実的で医学や経済学の研究ができなくなってしまうという問題があります。例えば、この番組で、どういう人がラジオのお便りをくれているのかなということを調べるために年齢と性別の統計をとってみようとなった時、リスナー全員の同意をいちいちとらなくてはいけないということになると、番組作りがかなり大変になりますよね。
そこで有識者は統計をとる時、同意に基づいたコントロールではなくて差別禁止原則で対処すべきだという議論が最近強くなってきています。重要なのは仮に統計があったとしても、その統計が個人に当てはまるとは限らない。それにもかかわらず、こういう統計があるから、あなたはこうですねというふうに統計的相関性で評価・決定するということは差別の一種として禁じていこうという議論の方向が今、打ち出されてきたところです」
番組では、この他にも木村草太が個人情報の統計的判断をどう防ぐかということについて語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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