世論調査より的確な分析ツール?トランプ氏の大統領選勝利を見抜いた「予測市場」とは

世論調査より的確な分析ツール?トランプ氏の大統領選勝利を見抜いた「予測市場」とは

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。6月1日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏とトークを繰り広げた。

マライ「今日の話題は予測市場です。日本だと競馬とかボートレースのような公営ギャンブルがありますが、世界ではそれとは全く違う巨大な賭け事マーケットができているんですよ。英語だと「Prediction market」、予測市場といって、投資会社バーンスタインによると2030年までに規模が約1兆ドルに急増するというんです」

武田「規模、でかいですね」

マライ「めちゃくちゃでかいんですよ。だから、ちょっとしたギャンブルの話ではないんですよ。予測市場とは、簡単に言うとオンラインの賭けサイトです。でも、賭ける対象はスポーツだけではない。例えばアカデミー賞で誰が賞をもらうかとか、企業の倒産とか、政治家の辞任、戦争、停戦、災害、すべてが賭けの対象になっています。

大きなプラットフォームが2つあって、1つはPolymarketで、もう1つがKalshi。どちらもアメリカ発のサービスで、Kalshiは2018年にできてPolymarketが2020年に始まっているので、どちらかというと若いサービスというか、始まったばっかりですね。

Polymarketはものすごく規模が大きくて、160以上の国で利用されています。Kalshiはアメリカの商品先物取引委員会のもとにあるので、結局アメリカ国内でしか使えない、というふうになっています。ここで、ものすごくお金が動いてるんですよ。私のコーナーでは世界のニュースをいろいろ取り上げるんですけど、全部賭けの対象ですからね」

武田「なんでも賭けちゃうんだ」

マライ「その使いかたなんですが、ユーザーは将来起こり得る現実世界の出来事についてイエスかノーで予測します。例えば「アメリカ政府はエイリアンの存在を何日までに認めますか?」みたいなことが書いてあるんですね。で、12月31日とか9月30日とかイエスかノーで賭けるんですよ。あと、トランプ大統領が誰かをバカだということについて5月28日とか5月30日とかイエス・ノーで賭ける。で、見たら、だいたいイエスが100パーになってる(笑)」

武田「賭けにならないですね。この人は絶対言うぞって思われているわけだ」

マライ「あと、イーロン・マスク氏のツイートの数とか。800なのか900なのか、いくつといくつの間でイエス・ノーみたいな感じで賭けるんですね」

武田「なんか、しょうもないことで賭けてるんだね」

マライ「(笑) そうなんです。でも、もっと複雑な賭け事もあるんですね。例えば、今話題のアメリカとイランの停戦延長の合意。いつ発表されるかっていうことですね。それぞれの日付にイエスとノーがあって、6月7日なのか、6月30日なのか、パーセンテージが出ているんですね」

武田「でも、今度は人の生き死にに関わることで賭け事をやってるっていう、こちらはこちらでいただけないですけどね」

マライ「そうなんです。だから本当に「何でも」になってるんですよ。どうやって賭けるかっていうと、1つの予測はシェアと呼ばれ、その1シェアの価格は0~1ドルの間で変動します。実はすごく少額なんです。で、予測が当たった人は全員1シェアあたり1ドルをゲットします。負けた人のシェアは無価値になる。要するに0ドルになってしまうんですね。

例えば、イエスのシェアを100個買って、1シェアが75セントだとします。そうすると100買ったから75ドルになります。もし予測が当たれば、100シェアが全部1ドルになるので100ドルもらえ、利益は25ドルになります。だけど、もしハズレたら75ドルは消えてしまうっていうシンプルなものになっているんですね。

ここでもう一ひねりがあって、結果が出る前にシェアを売買できるんですよ。だから、何かニュースのアップデートが出た瞬間に、「あ、やっぱちょっと違うかも。ノーに変えよう」とかってできるわけですよ。自分のシェアを売ってノーの方を追加で買うとかできるので、単なるギャンブルではなくて、ちょっとトレード的な部分もあるわけなんですよね。

そういうふうに、すごく小さな賭け事もあれば、戦争のようなものもあるわけですが、意外な使いかたもできちゃうんですね。それは、大きな賭け事は未来予測にも使えるんですね。例えば、何かに対して65%がイエスに入れれば「市場はこの出来事が65%の確率で起こると見てるんだな」っていう読み方ができるわけなんですね。

例えば、選挙は自分がなってほしい未来に対して投票するじゃないですか。これは違うんですよ。別になってほしい未来ではなくて「こうなるよね」っていうものに賭けるから、実は選挙よりもリアルにみんなの気持ちが分かるんですよね。だから情報分析ツールとしても使われるようになってるんですね。
実は予測市場がブレークしたきっかけは、この間のアメリカ大統領選でした。Polymarketではトランプが勝利する可能性はかなり早い段階で高く見積もってたんですよね。世論調査だと「どうなのかな?」となってたのがPolymarketだけ「これはトランプ大統領ね」ってなってたんですよ」

武田「こっちのほうが本音が出ちゃってるっていうか。予測がきちっと反映されてるんじゃないかという評価を得たと」

マライ「そこなんですよ。世論調査よりも自分のお金を賭けた人の気持ちの方が、実はリアルなんじゃないかなっていうふうになってるんですよ」

武田「いやな傾向だと思うけどね(笑)」

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