チケット代、家賃、水道、麻薬カルテル…サッカーW杯の裏の問題とは?武田砂鉄が聞く
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。6月8日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏とトークを繰り広げた。
マライ「今日はですね、サッカーワールドカップの話をしようと思います。ドイツ人からするとですね、ワールドカップはオリンピックと同じぐらい大イベントなわけですよ。これはもう見るよねっていうものなんです。まず『FIFAワールドカップ2026』は、6月11日から7月19日まで開催されます。今回の特徴は一つの国での開催ではなくて、なんと、3か国の共催なんですよね。アメリカ、カナダ、メキシコです。今日はワールドカップの裏側の社会問題をちょっと見ていこうかなと思います。その準備として、ドイツ公共放送ARDのポッドキャストを聞いて、ドイツ人の特派員たちがそれぞれの国で今何を見ているのかを日本語にしてみんなに伝えようと思います。
まず、メキシコですね。メキシコ人って言えば、やっぱサッカー大好き国民ですよね。ただ、裏側には麻薬のカルテルも問題になってるんですよね。そのカルテルの皆さんは、ワールドカップ開催についてどう思ってるのか? たしかに興味があるなと私も思いました。サッカー好きな人も盛り上がってるらしいんですけど、ちょっとこう、ストレス要素も色々あるわけなんですよね。例えば、高すぎるチケット問題。チケットがメキシコだと高すぎて一般市民はほとんど買えないわけなんですね。場合によってはチケット1枚が月収1か月分、あるいはそれ以上するんですね。メキシコの貧困層は月収が7万円から10万円ぐらい。中間層だと月収は15万から20万円。なので、数万円もするチケットって、なかなか買えないわけなんですよね。だから、しかたなくスタジアムではなくて公共の場にあるパブリックビューイングとか、ファンゾーンとかが準備されているのでそこで見るとか、友人の家でみんなで集まってみるとかね。でも、自分の国でせっかく開催してるのに、ちょっともったいない感じがするんですよね。スタジアムで見られるのは、裕福なメキシコ人とか、政治家、経済界の人とか、スポーツ界のエリートとか、あと海外からの客だけになりそうだっていう、ちょっと寂しい話ですよね」
武田「ワールドカップにせよオリンピックにせよ、これは開催されるたびに問われる問題でありますね」
マライ「さらに、家賃も高くなったという問題があります。やはりスタジアム周辺では物価が大きく上がっているわけです。特に住宅価格は2014年以降、なんと倍になったという報告もあります。Airbnbとか、一般人の家をゲストに貸し出すってものも流行っているので、それで一般人が家を借りられなくなってきたりとかしていると。家そのものの価値が上がるのは嬉しいことかもしれないんですけど、家賃が上がって借りられない流れになってしまって、それがワールドカップの中で加速しているっていう話です」
武田「これもやっぱり、大きな大会が行われるために――ジェントリフィケーションと言われますけど――周辺の家賃とか物価が上がっちゃって、そこでずっと暮らしてた人たちが出て行かざるを得なくなるっていうことが毎度起きることですもんね」
マライ「そして、インフラ改修は誰のため? という問題もあります。もともと、メキシコって観光客はたくさん来てたんですけれども、今回の大会のためにやっぱりインフラが整備されるんですよね。それは、一見いいことなんですよ。だって大会終わった後でもインフラが綺麗になって便利になってたら現地の住民にとってもいいことなんですけど、どうも観光客が通るような場所だけきれいになっていて、ここはなんとかしてほしいというようなところは何にもなっていない。ちょっと恩恵無いかもっていう話が出ているそうです。次は、水不足問題。メキシコシティは水不足も結構問題なんですね。特に雨季前の4月、5月には水がなくなるんですね。そうすると水が配給制になることもあるんだそうです」
武田「え~」
マライ「そうすると、人が増えたら水は足りるのかっていう話が出てきているそうです。メインスタジアムの周辺では、なんと、ある大手企業が井戸の使用権を確保しているんですね。絶対、ここだけは足りるよっていうね。でも、その周りに住民もいるんですね。その人たちは権利がないからもしかしたら水が不足してしまうかもしれないんですね。そうなったら、住民はタンクローリーで水買わないといけなくなる、というケースもありえます。もちろん高いし不便だし、不満も高まるわけですよね」
武田「じゃあ、これからワールドカップで見るスタジアムの中は、水は使い放題とか、そんな不便を感じないけど、スタジアムの外で大変な思いをする人が出るかもしれない」
マライ「しかも、スタジアムの中には入れないからね。チケット高いし」
武田「そうですよね」
マライ「次は、麻薬カルテルの問題ですね。メキシコは観光大国なんですけど、危険性もあるんですね。丸山ゴンザレスの潜入レポートが有名だと思うんですけど」
武田「よく行かれてますもんね」
マライ「そうそう、私の脳内もそのイメージなんですよ。麻薬だけじゃないんですよね。人身売買だったり、マネーロンダリング。まあ、さまざまな産業に実はカルテルというのが入り込んでるんですね。ってなると、ワールドカップ開催期間中は安全なのかなって当然思いますよね。じゃあ、カルテルはワールドカップをどう見てるかっていうと巨大な〇〇として見てるんだそうです」
武田「チャンス到来だと思ってるんですね」
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