鮮魚店に学ぶビジネスイノベーション#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

鮮魚店に学ぶビジネスイノベーション#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

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マーケティングの基本概念に、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という考えがあるのはご存知でしょうか?どちらも企業が新しい商品やサービスを開発、販売する上で必要となってくる考え方です。

プロダクトアウトとは、企業が持つ得意技術や製造設備などの強みを活かして製品やサービスの開発を行い、提供販売していく考え方です。買い手である顧客のニーズより、作り手や売り手である企業方針が反映されており、良いものを作れば売れるという考えに基づいています。一方マーケットインとは、顧客のニーズをしっかり調査し、それに基づいて製品開発をしていく考え方です。大量情報時代の今、消費者の情報感度は高く、顧客に選ばれるためには、本当に求められているものを満たす製品やサービスが求められているのです。とはいえ、双方の考え方にメリット・デメリットがありどちらも必要な考えです。鮮魚店の改革を手掛けた東信水産株式会社代表取締役社長の織茂信尋さんも、両サイドから考えていくことで、より良いものの開発に繋がると考えていらっしゃいます。

プロダクトアウトのメリットは、企業の持つ強みを大いに発揮できる点です。競合他社には真似できない製品を作ることは、他との差別化を図り、製品だけでなく企業そのもののアピールにも繋がります。代表例はAppleのiPhoneで、「この製品といえばこの会社」というイメージを作ることができ、企業のブランディングに大きく貢献します。ただし、企業の考えに偏りすぎてニーズに合わない物を開発してしまった場合、売上が伸びずに大きな損失となるリスクがあり、ここがデメリットとなります。

マーケットインのメリットは、事前に市場調査をしっかり行っているので、顧客のニーズに合うものを提供することが可能となります。そのため売上予測も立てやすく、大きな損失を生むリスクは低くなります。代表例としては、アサヒ飲料の缶コーヒーです。市場調査から、ビジネスパーソンが朝気軽に飲める缶コーヒーを欲しているという情報を掴み、ヒットに繋げました。ただし、iPhoneのような大ヒットや、他社では真似できないような商品の開発は難しいとされており、ここがデメリットとなります。

企業の強みを活かした画期的なもの、顧客のニーズに合った満足度の高いもの、このどちらにも当てはまるものが私たちの未来を大きく変える新しいものとなっていきます。次はどんなすごい商品が生まれてくるのか、どんな素晴らしいサービスが生まれるのか、とても楽しみです。

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」8月16日の放送では、ディップ株式会社執行役員宮内俊樹さんと、東信水産株式会社代表取締役社長織茂信尋さんにご参加いただき、「現在のとりくみ」から「成功のヒント」について熱いトークが繰り広げられました。

 

 

現在のとりくみ

宮内 「Dream」「Idea」「Passion」の頭文字を取ってディップ株式会社という社名で、その名の通りドリーミーなことを行っています。その中の一つに「バイ撮るで1000万円選手権」があり、話題となっています。バイト中の動画を撮って送るだけで、グランプリになると1000万もらえるというもので、夢のあることをしたいと思っています。

織茂 著書では魚屋が抱える課題、養殖や冷凍魚は本当に鮮度感が無いのか、魚屋がデジタルフォーメーションを遂げるための過程などを書いており、結果的にみんながお魚を愛せるようになれば良いです。作る側ではなくユーザー目線で考えることで、お客様満足度を上げ組織改革ができたと思います。プロダクトアウトとマーケットインは表裏一体で、自信のある商品をお客様の利便性に繋げなければ意味はありません。一つの企業の中に「ものづくりのプロ」と「お客様目線のプロ」の両方いることが必要ですね。

 

成功のヒント

織茂 古い業界でイノベーションを起こすためには、おじさん達とよく話して元々あるものをよく学ぶことが大切です。伝統性や技術、暗黙知を古いと蔑ろにせず、どれだけシステムに落とし込んでいくかが大事です。業界にある今までのことをシステム化しなければ、次のステップには進めません。

宮内 技術や職人の暗黙知は日本にたくさんあるはずです。そこをデジタルなどの新しいやり方で次の世代に引き継いでいくというのは、日本の財産をどうやって守っていくのかという問題だと思います。

 

※この放送を経て、入山章栄さんが得た「学び」をゼロから整理した、完全オリジナルコンテンツをニュースレターで配信中です。

詳しくはこちらから!↓

https://wiss.news/m/iriyamahamacafe/165?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=&fbclid=IwAR32OqcKP6JZ5tkduS5I8Ar7wwpCr0dGjWw8bgDr9mLHXWK5Sqk3rXbZJEY

 

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