クアッド、TPP、オーカス-中国をめぐる、欧米、環太平洋諸国の思惑は?~9月23日 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

クアッド、TPP、オーカス-中国をめぐる、欧米、環太平洋諸国の思惑は?~9月23日 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

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「ニュースサキドリ・前半」(午後3時41分~)では、国際ジャーナリストの春名幹男さんに電話を繋ぎ、『クアッド(QUAD=日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国首脳会合』、『TPP=環太平洋経済連携協定』、『オーカス(AUKUS)=アメリカ・イギリス・オーストラリアによる3カ国の新たな安全保障枠組み』に関する今後の注目点について話を聞いた。

菅総理大臣が最後の外遊となる、ワシントンを訪れ、現地時間・24日に開かれる『クアッド』。まず、春名氏は、これまでの会合では理念的な話し合いが多かったが、今回は中国に対抗する部品・資源のサプライチェーン問題など具体的な内容に入ることができるかどうかを注目ポイントとした。日本は尖閣諸島問題、インドは国境問題、オーストラリアは貿易問題と「中国に対抗する」という意味で(利益が)一致している4か国の2回目の会合、しかも初の対面形式の中で「何か、具体的なことが決まるかな」と期待を寄せた。そして、1週間後に退陣する菅総理が会合に参加することは異例であることに関しては、「バイデン大統領としては、フルスペック(4カ国)の首脳が集まらないといけない、と(菅総理に)必ず出て欲しいと依頼したのではないか」と持論を示した。

続いて取り上げたのは、中国が16日、台湾が22日に相次いで参加を申請した、『TPP』。中国については全ての加盟国(11カ国)から承認されない限り参加できないなか、TPPの理念を念頭に「中国をまともな貿易相手として認めるのかどうか、資格があるのかどうか」を(加盟国が)見極めることになると指摘。更に、「両方ともはなかなか入りにくいかと思う」と前置きした上で、「(全加盟国の承認が必要となるため)入れるとしても相当時間がかかり、すぐには回答しない」と加盟実現へのハードルが高いことをにじませた。

更に、フランスが在駐大使を召還(※1)する事態にまで至った、『オーカス』についてはまず、その背景を説明。「(オーストラリアが)フランスとの潜水艦の開発計画の契約を(オーカス創設の発表・15日)の数時間前にキャンセルしたと言われている」と明かした。そして、キャンセルした理由として、フランスのディーゼル潜水艦とイギリスから導入する原子力潜水艦とでは「全く能力が違う」とし、「オーストラリアとしては能力がある原子力潜水艦を導入するという形で(貿易はじめ、いろいろな問題のある中国に対して)強い態度を示している」と解説した。

 

 

一方、10年前、オーストラリアに留学していた、この日のコメンテーター・常井健一さんは、番組冒頭で『クワッド』の枠組みについて「感慨深い景色です」とコメント。当時の政権(※2)がインドに対してウランの輸出を解禁するという融和策を決断したことに、実はアメリカの働きかけがあったこと、そして、その前後からアジア太平洋の枠組みにオーストラリアとインドを入れていくという動きが始まっていたことを振り返った。

※1 フランスと潜水艦の共同開発計画を進めていたオーストラリアはその計画を破棄し、『オーカス』の枠組みの中で原子力潜水艦の配備を1年半かけて2カ国と協力すると発表。フランス政府はこれを受けて17日、アメリカとオーストラリアの駐在大使を直ちに召還することを決める。22日、フランスは、アメリカ・バイデン大統領とフランス・マクロン大統領との電話会談で「事前に協議するべきだった」とアメリカが非を認めたことで、駐米大使を復帰させるとした。

※2 世界最大規模のウランの埋蔵量を誇るオーストラリアは、核拡散防止条約の非批准国であることを理由にインドへのウランの輸出を規制していた。2011年、政権を担っていた、労働党・ギラード首相が融和策を決断。翌12年から交渉が始まり、2014年、自由党・アボット首相がインドを訪問した際に正式に原子力協定に調印し、輸出は解禁されることとなった。

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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