自殺を防ぐために、家族ができるチェックポイント~12月22日 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

自殺を防ぐために、家族ができるチェックポイント~12月22日 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

Share

神田沙也加さんの訃報は、大変悲しいものであった。死因は憶測の域を出ていないが、自殺の可能性もあると報道されて以降、受験生たちが通う吉田たかよし医師の本郷赤門前クリニックにもご家族からの相談が増えているという。実際の死因は不明のままであるが、芸能人が与える影響力の大きさは感じざるをえない。ご家族がお子さんの異変にいち早く気づいて欲しいという思いから、吉田たかよし医師が覚えておきたいチェックポイントを解説した。

吉田たかよし医師のクリニックは、受験生の多くが未成年であるため、保護者に同席してもらうそうなのだが、悩みを母親の前では話したくないという受験生は多いという。思春期であれば当然だろう。その場合は、時間を区切って保護者の方に席を外してもらうそうだ。

なお、一番多い悩みは、親に内緒で異性と付き合っていること。
次に多いのが自殺したいという悩みだという。親に知られると心の負担がより大きくなるので話さないで欲しいと言われる。本当にその懸念があると吉田たかよし医師が判断した場合、ご家族に見守っていただく必要があるので、時間をかけて、親に打ち明けるよう本人を説得するという。

我が子の心の状態を知った時の親の反応は?

実は、全く気付かなかったと言う親御さんが多い。それはなぜかと言えば、自殺を考えている人はすごく暗い表情をしているという先入観があるからだという。もちろんそういったケースもあるが、家族の前ではずっと笑顔というケースも多い。笑顔だからメンタルは大丈夫だろうと思いこんでいたら、お子さんが自殺を図ることはよくあるのだ。しかしこういった場合、同じ笑顔でも普通の笑顔には無い特徴があるのだという。つまり笑顔をしっかり観察することで本人の心中を察するヒントになるのだ。

子どもの笑顔のどこをチェックするのがいいのか?

吉田たかよし医師によると、まず、口元と目元を見比べるのだという。
口角が上がっているのに、目尻が下がっていないことはよくある。
このことは、筋ジストロフィーの研究で有名なフランスのデュシェンヌが発見したのだが、目元の筋肉は感情を表すことだけを目的に発達した。だから感情がそのまま出るのだという。一方、口元の筋肉は感情を表すこと以上に、上手に食事を摂る行為が重要になる。さらに口は言葉を発する際にも必要だ。つまり自分の意思で自由自在に動かせるよう、口元は進化してきた。したがって親に心の内を知られたくない場合は、口元だけの笑顔になる。

もう1つのチェックポイントは笑顔が変化しないこと。人は普通、会話の中で面白い発言があったり、親から褒められたりすれば満面の笑みを浮かべるものだ。瞬間、瞬間の会話で、笑顔も変わるのが自然。ところが自殺を考えている抑うつ状態(うつ症状)の時には表情が変化しなくなる。印象としてはお能のお面のような表情と言えば良いのだろうか。吉田たかよし医師によると、ずっとふさぎこんでいる表情が続くこともあれば、ずっと微笑んでいる表情が続くこともある。実際はふさぎこんでいるのに、微笑んだ表情が続くことを「微笑みうつ」と言う。実は日本人に特に多い。日本人は周りの人を気遣う民族性があるからだ。ご家族には、この「微笑みうつ」に早く気づいてもらいたい。

もうひとつ覚えておきたいこと

うつ症状が最も重い時に自殺の危険が最も高まると思いがちだが、実は自殺が増えるのは少し回復した時だ。うつ症状が重い時は脳の中で行動意欲を生み出す中枢も機能していない。一方、うつ症状が少しずつ回復し、脳内の大脳辺縁系、大脳基底核といった部分は衝動的な意欲を生み出すようになると、残念ことに、その意欲が自殺に向く可能性も高まってしまう。一方、さらに回復すると、脳の前頭前野が衝動を抑えられるようになり、自殺の可能性は減る。

スマホとのつき合いかたが一つの目安

もちろん脳を検査しないとわからないことも多いのだが、その脳の状態を示す1つの目安はスマホとの付き合い方だ。スマホがものすごく好きだった人が全く見なくなったら、うつは重い段階。少し回復してくるとスマホだけは見るようになる可能性があるが、この段階がもっとも注意。特に、他人のSNSをみることで衝動性が高まる。親にはこの点も注意して欲しい。

大事な命を守るために、親も社会も全力で対策を取らねばならない。

――――――――――――――――――――――――

厚生労働省は、話し相手や相談先を求める人のため、さまざまな団体が開設する窓口をサイト「まもろうよ こころ」で紹介している。

主な連絡先は次の通り。

▽「あなたのいばしょ」のチャット相談
(https://talkme.jp/)24時間365日対応。

▽「自殺対策支援センターライフリンク」はLINEアカウント
「生きづらびっと」(IDは@yorisoi-chat)などで受け付ける。

▽NPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」は主要な会員制交流サイト(SNS)やチャットから相談できる。
ツイッターアカウントは@kokorohotchat

▽「#いのちSOS」は電話(0120)061338 対応は曜日で異なる。

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで内容をお楽しみ頂けます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

NOW ON AIR
ページTOPへ