神保哲生「今回の戦争は劇場型戦争」ウクライナ問題について、ジャーナリストの視点で語る。

神保哲生「今回の戦争は劇場型戦争」ウクライナ問題について、ジャーナリストの視点で語る。

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3月16日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)にて、大竹メインディッシュにジャーナリストの神保哲生がゲスト出演し、ウクライナ情勢について海外取材を多く行った経験から語った。

ウクライナ情勢について、報道から抜け落ちていることが多いと語る神保。僕自身はロシアやウクライナ情勢の専門家ではないがと前置きしながら、国際政治を40年取材してきた立場から、今回の戦争について語った。

「今回のウクライナ紛争は見方に注意を要するところがある。もちろん国境線を超えて軍事侵攻をするということには正当性はない。これ自体は、擁護する余地はない。主権が侵害されると同時に、市民の命が奪われる。それを踏まえた上で言うと、今回実は我々が意外と気が付いていないのは、劇場型政治と言ってトランプ劇場とか小泉劇場というのがあった。今回の戦争は劇場型戦争。東部の2州では今回の戦争以前からドンパチやっていて、被害者という意味でははるかに超えた数の人が亡くなっている。しかし、何故今回の戦争が世界的に大々的に注目されている形になったかというと、アメリカがロシアが軍事力を増強している!今にも戦争になるぞと注目を集めた中で、世の中の目を引き付けた中で戦争に突入したから、全世界が見守る形になった。他にもこれくらいの犠牲者が出る紛争というのは数多くあったのに、日本でも大きな注目をされていて、今回はワイドショーでもウクライナ情勢をやっている。一つはコロナが収束しつつあってネタ枯れしていたということ。この報道の仕方は、イラク戦争をアメリカが行った時、アフガニスタンまでは報復措置として国連も認めたし、NATOも5条の発動をした。ただ、イラクに侵攻するのは今回と同じ主権の侵害で侵略行為。あの時の報道では、市民の生活が脅かされて大変ですという報道ではなくて、むしろ我々はアメリカが何とかという都市を落としました、何とかという都市に入りましたという報道を見ていた。つまり、戦争報道というのはどちらの立場から見ているかによって、侵略されてひどい目に遭っているという戦争なのか、侵攻を続けて勝利しつつある戦争なのか、報道の視点で180度変わってしまう。当時も、今回も、完全にアメリカ視点。今回、何故か我々はウクライナ側から見ている。それは何故なのか考えなければならない。今回の構図は侵略されたウクライナと侵略しているロシアだから、気持ち的にウクライナに付きたくなるということだろう。それを煽りすぎると、ウクライナも引くに引けなくなる。戦争報道の在り方は、どちら側から見た報道を見せられているのか、善悪二元論の中で知らない間にどちらかに立たされている。これは、停戦や早期の和平の妨げになる」

報道の在り方として、情報の得方として、偏らない視点が必要だと語った。

また、神保はこのように続ける。

「本来であれば、ロシア側に従軍している記者がいてもおかしくない。今回に関しては日本ではそれは全く存在しない」

戦争について、どのように判断すればよいのかと壇蜜にたずねられた神保は・・・。

「戦争はその時々の断片的な情報で判断するしかない。日本やアメリカのジャーナリストも、弾に当たるリスクを冒してまでロシアとウクライナの戦争に行く理由が無い。いわんや、今回の戦争はレトリックな戦争。ウクライナがNATO側に組み込まれるのか、ロシア側に置いておきたいのか、ウクライナに資源があるとかそういうことではない。勢力争いの一つのコマを取り合っている感じ。追い込まれたロシア側が、窮余の策としてこの戦争に踏み切ったのでは」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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