なぜ今成年年齢を引き下げるのか。3つの理由と変わること_成年を考える

なぜ今成年年齢を引き下げるのか。3つの理由と変わること_成年を考える

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様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2022年3月14日の放送では、Voicy公式パーソナリティで立教大学4年の田中彩乃さんにご参加いただき、様々な角度から「成人」について考えました。

世界的な流れと、時代の変化もあり、日本でも成年年齢が18歳に引き下げられることとなりました。若い世代も自覚と責任を持ち、社会に参加することはとても大切です。一方ルール上はおとなの線を引く必要はありますが、概念にとらわれずもっと自由に生きていくべきだとも考えます。

2022年4月1日より成年年齢が18歳_18歳の世界の国々

1876年以来、実に146年ぶりに成人の定義が見直され、2022年4月1日より成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。世界的にも成年年齢を18歳とするのが主流となっているので、時代に合わせた自然の流れなのかもしれません。
ですが、明治時代から変えられてこなかったものが、なぜ今見直されることとなったのでしょうか。そして、私たちの生活にどのような影響がもたらされるのでしょうか。

 

いつから成人になるの?

2022年4月1日から成人年齢が18歳_現在18歳〜19歳、2002年4月1日以前生まれ、2002年4月2日〜2004年4月1日生まれ、2004年4月2日以降生まれ、

民法が改正され、2022年4月1日より成年年齢が18歳となります。これにより現在18歳〜19歳の方は、この日から成人となります。
また現在未成年の方は、生年月日によって新成人となる日が変わってきます。

  • 2002年4月1日以前の生まれの方は、20歳の誕生日
  • 2002年4月2日から2004年4月1日生まれの方は、2022年4月1日
  • 2004年4月2日以降生まれの方は、18歳の誕生日

 

成人式はどうなる?

では今まで新成人を対象に行ってきた成人式はどうなるのでしょうか。
NHKが全国の県庁所在地の市、政令指定都市、および東京23区の74の自治体を対象に行った調査によりますと、検討中と回答した青森市以外の全ての自治体で、従来通り20歳を対象に実施予定とのことがわかりました
これは、18歳は受験や就職の時期ということで出席者が減ってしまう可能性があることと、飲酒・喫煙が可能になる20歳を節目に大人としての自覚を持って欲しいとの期待もあるとのことです。

 

何がどう変わる?できることできないこと

成年年齢の引き下げで何が変わるのでしょう。まず18歳になったらできるようになることは以下になります。

  • 親の同意なしに契約(ローン契約、クレジットカードの作成、賃貸契約、頃来電話の契約、美容整形など)が可能となる。
  • 10年有効のパスポートの作成
  • 公認会計士、司法書士、医師、薬剤師など国家資格の取得
  • 男女ともに結婚
  • 性別の取扱いの変更審判

一方で、従来通り20歳にならないとできないことは以下になります。

  • 飲酒
  • 喫煙
  • 競馬、競輪、オートレース、競艇など
  • 養子を迎える
  • 大型、中型自動車免許の取得(普通免許は従来通り18歳)

大きく変わることとしては、親の同意なく契約を結ぶことができる点でしょう。全ての責任を自分で負わなければならなくなり、安易な契約でトラブルに巻き込まれる危険も多々あります。
また、新成人を狙った悪質な業者も増えるかもれません。取り返しのつかないことにならないよう、成年年齢を迎える前に、正しい知識を身につける機会を設ける必要があります。

 

成年年齢はなぜ18歳になるの?

成年年齢がなぜ18歳になる理由_シルバー民主主義、結婚年齢の男女差、少年法への批判

ではこのようなリスクもある中で、なぜ18歳に成年年齢が引き下げられることとなったのでしょうか。理由は大きく分けて3つあります。

1つ目は、シルバー民主主義に歯止めをかけるためです。
高齢化が進む中、選挙での若者の投票率はとても低く、高齢者の意見が反映されやすい状態となっています。立候補者も投票率の高い高齢者が喜ぶような政策を打ち出し、票を多く得ようとします。この状態では、未来を担う若者に優しい社会とはならず、日本全体のためにはなりません。
そこで、若者の意見をもっと反映させるべく、20歳以上となっている選挙権年齢を引き下げようという考えが強まりました。この流れから、2007年に成立した国民投票法で投票年齢が18歳以上となり、2016年には公職選挙法が適用されるすべての選挙で選挙権が18歳以上に拡大されました。
そして、その他の権利や義務が発生する年齢も、投票年齢に合わせた18歳にするべきだとの考えが強まり、民法の成人年齢引き下げの議論が始まったのです。

2つ目は、結婚年齢の男女差をなくすためです。
現行の民法では、結婚できる年齢が、男性は18歳以上、女性は16歳以上となっています。これは医学的な見地から「女性のほうが男性よりも身体の発達が早い」とされていたためだそうですが、男女間の不平等を助長するものだとの考えから、男女統一の流れが強まりました。

3つ目は、少年法への批判です。
未成年が凶悪犯罪を起こした時、度々議論される実名報道。18歳や19歳は大人と変わらないとの批判や、加害者が守られることで抑止力が低下するなどの批判もあり、少年法の改正も注目されてきました。
今回の民法改正に合わせて、少年法も改正され、18歳と19歳の少年については「特定少年」と位置づけて、検察官に送られる罪の幅を大きく広げ、おとなの犯罪の扱いに近づけることとなりました。

 

まとめ

このように、4月より大きく変わる成年年齢。ただ、成年になるその日を境に劇的に何かが変わる訳ではありません。徐々に大人になる準備をし、正しい行動や判断ができるようになっていきます。年齢にとらわれず、正しい知識を身につけられる環境が大切になってくるでしょう。

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