『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 リモートワークが当たり前になった社会で、通勤手当ってどうなるの?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 リモートワークが当たり前になった社会で、通勤手当ってどうなるの?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

通勤手当が支給されない会社、違法ですか?

私が2022年2月に出した『金融と法Ⅱ』をお読みいただいた方から、メールをいただきました。

 

「p242の福利厚生費、たとえば通勤手当は支給しなくとも法で義務化されていないと認識しました。正しいですか。」

(パンプキン座布団さん・横浜市保土ヶ谷区)

まずは、お読みいただきありがとうございます!
かなり読者層が限られる専門的な本なので、実際に読者の方から感想をいただくと嬉しいですね。

さて、通勤手当の支給義務についてですが、法律(労働法)上はありません。

ただほとんどの会社が、就業規則で通勤費を出すと定めています。就業規則違反になりますので、支給をしなければならない会社がほとんどでしょうね。
そのため、支給が当たり前という認識の方も多いとは思います。

ヤフーが月15万円までの通勤手当を出す?!

一方、コロナを経て、通勤手当を廃止して、全面リモートに切り替える会社も増えてきています。

パーソナリティの残間さんが「フルリモートにして社屋を手放した企業を知っている」とお話しされていました。

一見、かなり思い切ったことをしているようにも見えますが、企業の形態によってはそれで全く問題ないところもありそうです。対面で集まらなければいけないときは、貸し会議室なんかを借りればいいわけですからね。
それまで支払っていた家賃や光熱費などを考えると、経費がこれまでよりも下がるケースも多いのでは。

最近のニュースでは、ソフトバンクグループ傘下のヤフーが、2022年4月1日から、社員に、日本国内であればどこでも居住できることを決定しました。

出勤する必要がある場合は、月15万円までであれば飛行機や特急電車、高速バスでの通勤も可能になるそうです。

グリーン券代はカウントしないなど細かな決まりが

ヤフーの「月15万円」という価格がなぜ設定されたかというと、15万円を超える通勤手当は、超えた分を給料としてカウントすることに税法で決まっているため。

給料としてカウントされることで、所得税などの税金が増えてしまうことを避ける狙いがあるのですね。

どうやらヤフーの場合は新幹線(特急電車)での通勤も可能になるようですが、新幹線通勤って面白くて、法律で細かく決まりがあるんですよ。

たとえば、グリーン車に乗った場合は、一般乗車券については通勤手当としてカウントされ、グリーン券代のみ給料として数えられます。
「グリーン車に乗ったからといって、早く到着するわけではない=グリーン車に乗る理由がない」という理屈ですね。

年金としてはカウントされる通勤手当

ちなみに・・・15万円までは非課税の通勤手当ですが、非課税となった額も、年金計算の基準となる給与としてはカウントされます。

つまり、同じ給料でずっと働いていた人たちでも、住んでいる場所が会社から遠く、通勤手当を多くもらっていた人のほうが、年金額が上がるんです(笑)。

なんだか面白いですよね。

コロナ禍で生まれた新しい福利厚生

コロナ禍でリモートワークが一般になってきたことから、リモートワーク向けの福利厚生を増やしていくことが、トレンドになってきています。

たとえば、

・在宅勤務環境の整備
・お昼ご飯などの食事補助
・心身の健康問題への対応

などがありますね。
「オフィスおかん仕送り便」などのサービスを聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

コロナ禍では、これまでの社会では考えられなかったような、魅力的な新しいサービスが次々に生まれました。「ニューノーマル」を踏まえて、アフターコロナがどんな社会になるのか、今から楽しみですね。

そんなわけで今回は、通勤手当について考えてみました。
パンプキン座布団さん、メールありがとうございました。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介してい
ます。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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