君子豹変の政府自民 旧統一教会 救済新法~11月11日ニュースパレード  山本香記者取材後記

君子豹変の政府自民 旧統一教会 救済新法~11月11日ニュースパレード 山本香記者取材後記

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文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

目次

  1. ウサギとカメ
  2. しこり
  3. 骨抜き
  4. 波高し 会期末

ウサギとカメ

 

政府自民党は、旧統一教会の被害者救済に向けた新法作成作業を加速させている。岸田総理が11月8日、今国会に新法提出に意欲を示したことで停滞していた議論が一気に動き出した形だ。

救済法案については、すでに共同で作成している立憲民主党と日本維新の会が与党側に呼びかけて自民、公明、立憲、維新の4党による与野党協議が10月21日から始まっていた。しかし、消費者契約法の改正などでお茶を濁そうとしていた与党側は、新法について「今国会は難しい」という発言を繰り返していたほか、立憲・維新の法律案に対し「詰めが甘すぎる」として54項目(後に1項目追加)の疑問点を突きつけるなど、協議は一向に前進する気配もなく、日本維新の会の音喜多駿政調会長は「カメの歩みだ」と皮肉っていた。

岸田総理が、新法の今国会提出を表明した背景には、与野党協議で停滞した議論を動かすことと、政府で提出を予定している消費者契約法改正案などの法制化にメドが立ったためだという。また、このタイミングで総理のリーダーシップを演出することで、政権浮揚を狙うという思惑もあったようだ。

 

岸田総理が表明した翌日の9日には、自民党の茂木幹事長が主要野党の幹事長と個別に会談し、今国会での成立へ協力を呼びかけたほか、各党の新法に対する要望も聞き取った。共産党の小池書記局長によると、与党の幹事長が個別に野党の幹事長レベルと会談し、要望を聞くのはかつて無かったということで、与党の豹変ぶりに驚きを隠せない様子だった。

自民党内でも議論が加速した。10日の朝8時からは自民党で関係部会も開かれた。
態度を一変した政府自民党について「カメがウサギに変身した」と揶揄する声も漏れている。

 

しこり

 

岸田総理が総理官邸のエントランスで表明したは、第6回目の与野党協議が始まる直前だった。与党との協議に意欲を見せていた立憲と維新にとって、いきなりはしごを外されたようなものだ。なぜなら、新法は議員立法ではなく政府提出法案で国会に提出すると岸田総理が発言したためだ。与野党協議の場はなくなるわけではないが、これまで議論をリードしてきた形の野党にとっては面白くない展開だ。

一方、協議会に参加している与党の議員も同様。岸田総理の発言内容は、事前に知らされておらず、テレビで見て知ったという。事前の根回しもなく、特に自民党内では、官邸と党側との連携不足が指摘され、振り回された関係者からは恨み節ももれていると聞く。

 

骨抜き

 

立憲民主党の長妻昭政調会長は、岸田総理が新法の今国会提出に言及した8日夜「問題は中身だ」と強調。「被害者救済のために本気でつくるのかどうか、いろんなしがらみを気にして無難な法案を作るならガッカリだ」と政府与党を牽制した。

もう一つ、長妻政調会長が危惧するのは岸田総理の発言内容にある。岸田総理は「今国会を視野にできる限り早く法案を国会に提出すべく、最大限の努力を行う」と述べただけで、今国会での成立に言及していない。提出する約束は守ったとしても、法案を継続審議にする事もできるからだ。

ちなみに、8日に閣議決定した2022年度第2次補正予算案について岸田総理は、前日7日の政府与党連絡会議で「できる限り早期の提出と成立を図ります」と述べている。この温度差をどう理解したらよいのだろうか。

 

波高し 会期末

 

政府与党は、12月10日までの臨時国会の会期を1週間程度延長する方向で検討に入ったという情報がある。救済新法が出来上がるのは11月後半の見込み。国会審議に入るのは補正予算成立後の12月はじめにずれ込むことになるからだという。

年末は防衛3文書の改定に2023年度予算案の概算要求など予定が詰まっており、政府側は、臨時国会の延長は1週間から10日が限度だと指摘する。審議時間が十分とれず、法案の中身がスカスカなら野党の猛反発は避けられない。立憲民主党の泉健太代表は4日「骨抜きや、先送りがあった場合は、もう内閣不信任に値する程の事案だ」と発言をしていた。

また、事務所費問題で苦境に立たされている寺田稔総務大臣に対しても、一部野党から今後の対応次第で不信任決議案提出もありえるという声も上がっていて、野党の鼻息は会期末に向けてますます荒くなってくるだろう。

政府与党がまとめた新法に、野党が不可欠とするマインドコントロールの定義や、寄付金額の上限規制などが抜け落ちていたら一気に国会の波風が高くなることが予想される。

 

 

 

「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

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