G7広島サミット 平和記念公園から世界に向けた岸田総理の祈り ~ ニュースパレード  山本香記者取材後記

G7広島サミット 平和記念公園から世界に向けた岸田総理の祈り ~ ニュースパレード 山本香記者取材後記

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 

 

 

G7広島サミットは19日、平和記念公園で、岸田総理夫妻がG7首脳を出迎え幕を開けた。

この日、広島市内は朝から激しい雨が降っていたが、G7首脳が平和記念公園に到着するころには小ぶりになり、原爆資料館から出てきたときには雨は上がっていた。

 

 

雨男返上

 

 

19日から21日まで3日間のサミット期間中、屋外での行事がいくつも組まれていたことから政府関係者は開幕前、天気にやきもきしていた。

岸田総理は雨男で知られているるからだ。

初日に平和記念公園でG7首脳を出迎え、サミットは開幕。

原爆資料館視察は屋内だが、その後、慰霊碑への献花、公園内での記念植樹も行った。

 

 

夕方には世界遺産の宮島での記念撮影。

そして最終日には再び平和記念公園で、岸田総理と韓国の尹大統領による韓国人原爆被害者慰霊碑への献花。

直後には招待国も平和記念公園へエスコートした。

 

 

電撃来日したウクライナのゼレンスキー大統領も同様。

 

 

そしてクライマックスはサミット閉会後、議長国として平和記念公園で臨んだ記者会見。

雨が降ったときに備え、ホテルの会場も用意されていた。

しかし天気は岸田総理に味方した。

見事に晴れ渡り、平和の灯と原爆ドームをバックに「核なき世界」を訴えた岸田総理のメッセージは、言葉以上の説得力を与えた。

 

 

祈りの戦略

 

国際社会が歴史的転換期にある中での開催となったサミット。取り上げるテーマは安全保障から経済、気候変動、ジェンダーまで幅広い。

そんな中、今回のサミットでは、首脳レベルで正面から初めて議論したテーマがある。

1つは、インド太平洋、2つ目が経済安全保障、そして最後が核軍縮という3つの視点である。

どれも重要なテーマだが、広島で開催する以上、核軍縮で成果を得ることができなければ成功とはいえない。

核保有国のアメリカ、イギリス、フランスに加え、日本を含む残りの4カ国はその核の傘の下にいる。

しかも世界は核軍縮ではなく軍拡に向かっている状況だ。

ウクライナに核の使用をちらつかせるロシアは約6000発、中国は約350発保有といわれるが、アメリカ国防省によると2030年までに中国は1000発を超えるという見通しを出している。

 

 

岸田総理はサミット開幕直前の夜、核のない世界を目指す理想について「国際社会の厳しい動きの中で機運が後退している。サミットを機に後退している機運を盛り上げる転機にしたい」と協調するとともに「被爆地で開催する大きな意味になる」と語っていた。

そしてサミット初日の夜、核軍縮に焦点を絞った独立したG7としの文書「広島ビジョン」を発出した。

岸田総理は文書について「核兵器のない世界の実現に向けたG7首脳の決意、具体的合意、今後の優先事項・方向性を力強く示す歴史的意義を有するものである」と協調した。

G7首脳を最初に平和記念公園で出迎え、議論に入る前に原爆資料館で被爆の実相を肌で感じ、慰霊碑への祈りをささげてもらうところからスタートさせたことが功を奏したようだ。

 

 

7年前の記憶

 

平和記念公園での行事は5回に及んだ。同じ場所で行事を繰り返すというのは過去のサミットでは例を見ない。

 

※写真は総理官邸提供

 

平和記念公園に岸田総理がこだわったのは、2016年の伊勢志摩サミットの際に、当時のアメリカのオバマ大統領が広島を訪問した時の記憶が強く残っていることもあるだろう。

故安倍元総理とともに原爆資料館に立ち寄ったあと、慰霊碑に献花したオバマ大統領は「核保有国は核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」と演説した。

当時、外務大臣だった岸田総理は、広島でG7外相会合を開催した。今度は自らが総理となって、地元広島で開催するサミットだ。

議長国トップとして、世界にメッセージを発信するためには、7年前と同様、原爆ドームをバックに演説する舞台は、必然だったと言える。

 

被爆地広島でのサミット、一部の海外メディアからは「歴史的なサミットになった」と評価する声も上がった。

しかし86歳の被爆者の女性は「広島ビジョンもまだ、絵に描いただけ」と厳しい目線で述べていた。

岸田総理の核廃絶に向けた祈りは世界を変えるきっかけとなるのか?

 

G7トップとともに責任ある行動が試されている。

 

 

 

 

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