侯孝賢監督が製作した伝説の映画「少年」~鈴木BINのニュースな映画

侯孝賢監督が製作した伝説の映画「少年」~鈴木BINのニュースな映画

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鈴木BINのニュースな映画

文化放送報道部デスク兼記者兼プロデューサーで映画ペンクラブ会員の鈴木BIN(敏夫)が、気になる映画をご紹介しています

文化放送公式ホームページにて「第5スタジオは礼拝堂」も連載中

「少年」(台湾映画)

日本のようで日本ではない、でもどこか懐かしい風景はまさに台湾映画。

この「少年」という作品の存在は知らなかった。1983年の映画なのだが、今まで日本では劇場公開されたことは無かったそうだ。聞けば世界に名だたる名匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)がプロデューサーを務めていて、この映画から台湾ニューシネマが始まったとも言える作品なのだと言う。

台湾ニューシネマとは、1980年代から90年代にかけて商業性を排して若手監督たちによって作られた新しい映画の数々。フランスのヌーベルバーグやそれを追いかけるように生まれた日本ヌーベルバーグなどと比べ四半世紀も遅れているのだが、台湾で戒厳令が解除されたのは1987年。つまり社会の自由とともに映画表現の自由が約束されてからまだ40年経っていない。逆に言えば、本作は戒厳令下の台湾で制作されたということになる。

しかし台湾映画のすごさはそこからで、ものすごい勢いで世界レベルまで上昇してゆく。最高到達点がどこにあるのかは人それぞれだと思う。ホウ・シャオシェン監督の「悲情城市」なのか「風櫃の少年」なのか、故エドワード・ヤン監督の「牯嶺街少年殺人事件」なのか、はたまた世界で羽ばたいていったアン・リー監督の「ウエディング・バスケット」なのか。

いずれにせよ日本でもない、香港でもない、でもどこか懐かしく、なぜかボーダーレスな台湾映画の風合いに魅せられてしまう。この「少年」という作品もまた、素朴なエネルギーに満ちていて、自分の中の心象風景のようなものを感じる作品だ。

ちなみに監督のチェン・クンホーさんのことは、恥ずかしながら全く知らなかったのだが、ホウ・シャオシェンの名作「風櫃の少年」や「冬冬の夏休み」などの撮影監督を務めた人。そんな盟友チェン監督のためにホウ監督が丁寧に原作を選びプロデュースしたのがこの「少年」という作品。複雑な家庭環境にある主人公が問題も起こしならが人生と苦闘してゆく。その腕白ぶりは観ていて腹が立つのにいとおしい。とても良い作品だと思う。そしてこの「少年」が、「台湾巨匠傑作選2023」で日本初公開になる。大画面に広がる台湾ニューシネマの世界を楽しみに待ちたい。

「台湾巨匠傑作選2023~台湾映画新発見」は新宿K’s cinemaで7月22日(土)から始まり、全国順次開催される

公式サイトはこちら

 

 

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