大学駅伝頂上決戦!駒澤大学は4連覇へ盤石の布陣 その牙城を崩すチームは現れるのか~第55回全日本大学駅伝

大学駅伝頂上決戦!駒澤大学は4連覇へ盤石の布陣 その牙城を崩すチームは現れるのか~第55回全日本大学駅伝

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秋の伊勢路を舞台とする第55回全日本大学駅伝が11月5日に開催。

全国8地区の代表25校と日本学連選抜、東海学連選抜の計27チーム出場し、駅伝の大学日本一が決まる。

 

文化放送では今年度も学生三大駅伝を全て実況中継。

第55回全日本大学駅伝実況中継は解説柏原竜二さん(富士通株式会社)、ゲストに國學院大學OBで、現在、旭化成陸上部所属の土方英和選手をお迎えしてお送りします。

 

長谷工グループスポーツスペシャル第55回全日本大学駅伝対校選手権大会実況中継

https://www.joqr.co.jp/qr/article/103575/全日本大学駅伝区間エントリー確定

 



 

 

学生三大駅伝初戦の出雲駅伝が6区間45.1㎞なのに対し、全日本は8区間106.8㎞と一気に距離は倍以上となる。

それでも、出雲を大会新記録で制した駒澤大学を中心にレースは進むことになりそうだ。

 

昨年度、史上5校目の学生駅伝三冠を達成した駒澤大学は、圧倒的な総合力を誇るだけでなく、安定感も際立つ。昨年度の三大駅伝は全員が区間5位以上(区間5位も2つのみ)と、ほとんどミスがなかった。10月の出雲駅伝でも、区間賞が3人、区間2位が1人、区間3位が2人とそつのないレースを見せた。

また、昨年度までは、世界選手権に2大会連続出場中の田澤廉(現・トヨタ自動車)の存在が大きかった。全日本では4年連続で区間賞に輝き、昨年は7区で従来の記録を43秒も上回る区間新記録を打ち立てている。

その田澤の穴をいかに埋めるかが今季の駒澤の課題だったが、主将の鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)がエース格として活躍し、出雲でも3人そろって区間賞を獲得している。(佐藤はアジア大会(5000m6位)から中4日という強行日程での快走だった。本人は自身の走りに納得していなかったが…)

田澤が卒業した穴を補ってなお余りあるほど、この3人は強力だ。

3人だけではない。出雲駅伝ではエース級が集う3区で山川拓馬(2年)が、留学生に惜しくも敗れたものの、日本人トップの区間3位と好走。4年生の安原太陽は4月の日本学生個人選手権の5000mを制し、大学世界一を決めるワールドユニバーシティゲームズでは同種目で銀メダルを獲得している。出雲は補員だったが、赤星雄斗(4年)は関東インカレ(2部)のハーフマラソンで優勝している。いずれの選手も、他大学であればエース級といっていい実力の持ち主だ。

その他にも、2年連続でフィニッシュテープを切っている花尾恭輔(4年)、今年の箱根6区区間賞の伊藤蒼唯(2年)がおり、盤石なオーダーを組むことができる。

そして駒澤大学は全日本を得意としており、初優勝した第30回大会(1998年)から前回大会までの25年間で、史上最多15回もの優勝を誇る。現在は3連覇中。死角を見つけるのが難しいほど、圧倒的な優勝候補と言っていい。

今回優勝すれば、第43〜46回に次いで2回目の4連覇。さらに、史上初の2年連続三冠に王手をかけることになる。

 

では、駒澤を包囲する有力校の戦力はどうか。

中央大学は出雲では駒澤の対抗と目されていたが、7位と振るわなかった。流れが大事な駅伝で1区13位と出遅れたことが響いた。さらに、エース吉居大和(4年)の欠場も大きかった。

一方で、悪い流れのままレースを終えることなく、後半に順位を上げて終えることができたのはプラスと捉えることができる。特にアンカーを担った駅伝主将の湯浅仁(4年)は区間2位と好走し、2人を抜いて、入賞圏内の7位に押し上げた。

全日本では出遅れは厳禁。エース格の吉居大和、吉居駿恭(2年)、中野翔太(4年)の3人がその役割をきっちりと果たすことが、打倒・駒澤の絶対条件だろう。

 

青山学院大学は、2022年の箱根駅伝の総合優勝を最後に三大駅伝のタイトルから遠ざかっている。

今季は三大駅伝経験者がごそっと卒業したが、5000m13分台は22人、10000m28分台が14人と選手層は厚く、部員45人の5000mの平均タイムは14分2秒だという。

しかしながら、出雲は経験不足が露呈し5位に終わった。それでも、大学駅伝デビューの黒田朝日(2年)が駒大の佐藤と共に2区区間賞の快走。山内健登(4年)も4区で区間賞を獲得し、1年時の全日本での苦い思い出(6区9位で、4人に抜かれ優勝争いから後退した)を払拭した。個々の経験値不足はまだまだ否めないが、選手層が厚いだけに、流れを作れる選手が台頭してくれば面白い。

 

出雲で2位と躍動した創価大学も侮れない。

長い距離でこそ本領を発揮するチームという印象があったが、距離が短い出雲でも結果を残した。出雲では全員が区間5位以内の好走。4区の山森龍暁(4年)と5区の吉田響(3年)は区間賞の活躍を見せた。10000m27分台のリーキー・カミナ(3年)、5000mの創価大記録(13分28秒97)を打ち立てたスティーブン・ムチーニ (1年)の留学生はいずれも力があり、ゲームチェンジャーとしての役割が期待される。出雲からさらに一段上がる必要はあるが、頂点への可能性はゼロではない。

 

國學院大學は、伊地知賢造(4年)、平林清澄(3年)、山本歩夢(3年)の三本柱が強力。青木瑠郁、上原琉翔、高山豪起ら、2年生にも力がある選手が揃う。

出雲は、夏の疲労を引きずって目標の表彰台を逃したが、それでも4位に踏みとどまり、地力があるところを示した。全日本は2年前が4位、前回が2位と、2年続けて過去最高順位を更新中。とくれば、次は優勝だが……。

 

早稲田大学は、花田勝彦駅伝監督が就任して以来、三大駅伝で6位が続く。低迷していた時期を脱し、安定した成績を残しているが、チームに満足はない。

今季の早大は、石塚陽士(3年)、伊藤大志(3年)、山口智規(2年)の3人が軸。出雲では前半に3人を並べたが、万全ではなかった石塚が力を発揮できず、3区を終えて6位と上位争いに加われなかった。ただ、その順位を1、2年生で守りきった点は評価できるだろう。駅伝主将の菖蒲敦司や、延岡西日本マラソン優勝の佐藤航希ら4年生が加わる全日本は、一段上に行きたいところだ。

 

注目選手も紹介。

最注目は、世界の舞台で躍動する三浦龍司(順大4年)。

トラックの3000m障害の日本記録保持者で、東京五輪7位入賞に続き、今夏は世界選手権ブダペスト大会で6位入賞の快挙を果たした。世界最高峰のダイヤモンドリーグ・パリ大会では2位と表彰台に上がっており、今季のトラックシーズンは絶好調だった。

だが、出雲駅伝は出場を回避し、チームも10位と苦戦した。主将でもある三浦が出場するか否かで、チームは大きく変わる。全日本では4年連続のシード権、さらには2年ぶりの表彰台のキーマンとなる。

 

東海大学のエース・石原翔太郎(4年)は、前回大会3区で2年ぶりに駅伝に出場し、復活レースで区間賞を獲得して涙を流した。

今季は、足のケガがあり箱根駅伝予選会を回避したが、伊勢路からギアを上げていきたいところだ。

 

ルーキーでは、東農大の14大会ぶりの出場の立役者となった前田和摩の駅伝デビューに注目が集まる。

6月の関東地区選考会では留学生相手に互角のレースを見せ、10000m28分03秒51の好記録で組3着と好走した。さらに、10月の箱根駅伝予選会でも、終盤にペースアップし日本人トップの9位に入る活躍を見せ、チームも10大会ぶりの本大会出場を決めている。

1区でチームを勢いづけるのか、それともエース区間に登場するのか。いずれにせよ、爆発的な走りを見せてくれそうだ。

 

5000mの日本高校記録(13分22秒99)を持つ吉岡大翔(順大)は、9月の日本インカレの5000mで日本人トップ(4位)になっており好調だったが、出雲駅伝では腹痛に見舞われ、1区11位とほろ苦い大学駅伝デビューになった。先輩の三浦と挑む伊勢路で、雪辱を誓っている。

 

駒澤の独走を食い止める大学は現れるのか、はたまた、駒澤の4連覇か――。注目のレースは11月5日8時10分に号砲が鳴る。

 

TEXT&PHOTO
和田悟志(Wada satoshi)

 

 

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11月5日(日) 8:00〜13:50

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