クリティティブとAIはいかに共存するか#1『浜松町Innovation Culture Cafe』

クリティティブとAIはいかに共存するか#1『浜松町Innovation Culture Cafe』

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「20年後までに人類の仕事の約50%がAIないしは機械によって代替され消滅する」、「AIによって日本人の仕事の49%が消滅する」、「2030年までに日本中の業務の27%が自動化される」、「約1660万人の雇用が機械に代替される可能性がある」、などといったAIに関する具体的な数値にビクビクしている人も多いのではないでしょか。今回は最近よく聞くAIという言葉とルーツについて探ってみたいと思います。

 

まずAIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。この概念を最初に考案したのは、英数学者であるアラン・チューリングという人物です。彼は、チューリング・マシンと呼ばれるコンピュータの原型となる理論を作り出し、プログラムの基本原理を最初に考案したとされています。コンピュータが存在しない時代にコンピュータの可能性を示し、AIという言葉が登場する前からその研究の道筋を作り上げました。

 

しかし、彼が悲劇の天才と呼ばれるように、彼の功績の多くは死後に評価されることとなります。同性愛が禁止されていた当時の英国で、同性愛者であった彼は有罪となり、社会的立場を失ってしまいます。精神的に追い込まれたチューリングは、1954年に41歳という若さで自殺をします。

 

しかし論文に対する再評価で、1966年には彼の名に由来するチューリング賞が設立されます。これは計算機科学の分野における最高の栄誉とされ、計算機科学界のノーベル賞として広く認知されています。また同性愛者に対する社会的価値観の変化から彼の名誉回復運動も起こります。そして2013年には正式に恩赦が発行されます。また2021年より新50ポンド紙幣に採用されることとなり、彼の業績を讃える声明が発表されています。

 

AIを説明する上でもう一人、米国の偉大な科学者であり現代人工知能の父と呼ばれるジョン・マッカーシーを紹介します。1956年に彼がダートマス会議でAIという言葉を初めて使用したとされています。この時マッカーシーはAIを「高度の知能を持つコンピュータデバイスを作成するための科学技術」と定義しました。これを機に、AIは一気に科学者たちに認知されるようになります。

 

もう一つ彼の偉大な業績として、記号処理用プログラミング言語LISPの創造が挙げられます。計算機科学の世界における今世紀最大の発明と言われるほど、現在のプログラミング言語へ与えた影響は大きいのです。

 

AIという概念が生まれてから数十年。そして近い将来必ず訪れるAI時代を想像し、人間である我々にしかできない力とは何かを考え、それに備える良い機会としていただけると幸いです。

 

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」6月14日の放送では、‪ ‪エクサウィザーズ代表取締役社長の石山洸さんと、グッドデザインカンパニー代表の水野学さんにご参加いただき「現在の取り組み」から「AIの今後と課題」について熱いトークが繰り広げられました。

現在の取り組み

石山 エクサウィザーズでは、AIで社会課題を解決して幸せな社会を創るということをミッションに活動しています。超高齢社会の日本では、介護の世界でAIを活用できないかと考えています。女優のいとうまい子さんと介護用ロボットを開発したり、福祉用具最大手の株式会社ヤマシタさんとジョイントベンチャーを設立し、AIで適切な在宅介護サービスの提供を目指しています。

 

水野 クリエイティブディレクターという名の通り、単に創造するというよりは役に立つもの、よりビジネスに近いところのディレクションをしています。もともとアートは宗教画など「役に立つもの」を創っていました。その頃まで遡れば、デザインもアートも同じ位置づけです。

AIの今後と課題

水野 AIの発達で自分の仕事が軽減されれば良いなと思っています。感性とは感受性、つまり表現する力ではなく「受け取る力」のことです。客観性や審美眼が大事になって来ます。

AIに取って変わることで精度上がるのならば良いことですし、そう遠くない未来の話だと思っています。デザインは感覚的だと言われますが、感覚は知識の集積です。学習はAIの強い部分であり、AIへの移行は必然だと思います。ただ無い物を創造することや未来を描くことは、願望のないAIにはまだ難しいことだと思います。

 

石山 数年前からAIは画像を生成する力もつけて来ています。大量のパターンを作ることは得意になりましたが、評価や審美眼はまだ弱いです。ただデータがあればあるほどAIは賢くなるので、ここも研究が進みつつあります。

社会課題を解決するために必要なAIを、AIが勝手に作ってくれることはありません。クリエイティブな力がないと、応用するアイディアは貧弱になります。

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