クリティティブとAIはいかに共存するか#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

クリティティブとAIはいかに共存するか#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

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2014年に英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによって発表された論文では、20年以内に人類の仕事の47%がAIないしは機械によって代替され消滅すると予測されています。その後、日本の労働環境にあてはめた野村総研との共同研究でも、日本人の仕事の49%が消滅するという見通しが公表されました。実際に10年後になくなる職業ランキングといったものも発表されており、自身の職業の未来に大きく不安を抱いた人も少なくないのではないでしょうか。また職が奪われるだけでなく、AIによって人類の生活が支配されてしまうという、漠然としたAI脅威論を唱える人も出始めました。しかし、AIは本当に私たちにとって脅威となるものなのでしょうか?

 

オズボーン論文の発表から数年、すでにその理論はほとんどが否定されており、反証論文も多く出ています。ただし、どちらの論文でもAIがタスクを自動化する可能性は否定されていません。つまり今後AIの発達により、様々な分野でデジタル化や自動化が進んでいくことは確実です。そこで大切になってくるのが、AIとの共存です。取り入れることでより良くなるのであればAIは歓迎されるべきものなのです。

 

AIの進化でもたらされる社会の変化に、デジタルトランスフォーメーション(DX)があります。DXとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、進化したデジタル技術によって人々の生活をより良いものへと変革することを意味します。日本でも2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」にあるように、将来の成長・競争力強化のためにデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出などが必須であるとされています。もしDXを推進せず業務効率や競争力が下がってしまった場合、2025年以降最大で12兆円もの経済損失が起こる可能性があるとされる「2025年の崖」も指摘されています。つまり2025年までにシステム刷新を推進する必要があり、企業が解決すべき課題です。移りゆく時代に取り残されず、新たな時代へ進んでいくためにも、今後さらなるAIの進化は欠かせないのです。

 

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」6月21日の放送では、‪エクサウィザーズ代表取締役社長の石山洸さんと、グッドデザインカンパニー代表の水野学さんにご参加いただき「AIとこれからのビジネス」から「気をつけるべき課題と期待」について熱いトークが繰り広げられました。

AIとこれからのビジネス

水野 文明が起こると、文化への上乗せが発生すると考えています。技術で差がつかなくなった時代には、文化で差をつけることがビジネスシーンでは役に立ちます。ビジネスにアートやデザインが入る考えもあれば、その逆もあります。文明で豊かにする、文化で豊かにするということの両立があって初めて、豊かさが享受されると思います。

クリエイティブにはどれだけ余白を作れるかが大切です。そうすることで私は自分ではない人間になって、客観視するという時間を取れています。アナログAIのような活動を自分でやっているのだと思います。

 

石山 全てのベンチャー企業は文化を目指せということです。ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ)でもゼブラ企業(「企業利益」と「社会貢献」を両立する企業)でもなく、目指すものは文化を創るくまモンのような企業です。社会や文化にどのような付加価値を与えられるかが、AIの第三ラウンドだと思います。

もっとローカルに目を向けて、多様性やユニークネスのような文化に貢献するテクノロジーの使い方を考えていくと、全く異なるホワイトスペースがあるかもしれません。

気をつけるべき課題と期待

石山 一見良さそうに見えても、ダメなケースもあります。なので、多様な人と組みながらAIを創るということが大切になってきます。

 

水野 「最高」は割と簡単に見つかりますが、「最適」を見つけるのは難しいです。最適を目指すことが大切です。そのためにもビッグデータ、つまり自分の中に知識を入れていく必要があります。あとはAIとどれだけ手を繋いで未来を創っていけるかだと思います。

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