勅使川原真衣が危惧。「政治的中立の名の下に、教育現場は萎縮するのか」
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。5月27日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、沖縄・辺野古での小型船転覆事故を発端とした「教育の政治的中立問題」について考えを述べた。
勅使川原真衣「今日は『教育の政治的中立』の話を考えたいと思います。
きっかけは今年3月ですね、平和学習で辺野古を訪れていた同志社国際高校の生徒さんたちが乗られた小型船が転覆しました。
この事故で生徒と船長の二人が亡くなりましたよね。本当に大変痛ましいニュースです。
このニュースだけでも驚いたんですけども、私さらに先週金曜日に驚きました。
それはですね、5月22日金曜日に盛山文部科学大臣が会見を開きましたよね。
そこで同志社国際高校の学習活動が、『教育基本法第14条第2項に違反すると認定した』ということを明らかにしました。
高校側は、主張としては、転覆した小型船が抗議船だという認識はなかったと。
そして『政治的中立性は確保された』という風にしておりますけれども、
文科省側は特定の見方、考え方に偏った取り扱いだったと指摘。
そして教員の相当数が、『生徒を乗せる船が抗議船であるという認識は
持っていたでしょ?』ということを指摘して、政治的中立性を損なっていたという
判断に至ったという報道がありました。
何より教育活動中に起きた死亡事故ですのでね。こちらの安全管理の責任は
当然重く問われ続けるべきです」
武田「そうですね」
勅使川原「はい、もうこれは言うまでもない。
学校が生徒をどこかへ連れて行くとか、ましてや今回は海上ですので、
ここは事故を予見して回避するための準備、先生も乗っていなかったっていうことですので、許されざることだと思います。
ただ今回このコラムで考えたいのは、安全管理の話の方ではなくてですね、
事故の責任とは別に今回ふわっと持ち出された『教育現場の政治的中立』ということについてなんですよね。
参照したい記事があります。その翌日、5月23日付けの朝日新聞なんですけども、『辺野古転覆、政府は政治的中立性語れるのか』という早稲田大学の近藤孝弘教授のインタビュー記事です。
こちら『安全管理上の問題と政治的中立性の問題を分けて考える必要がある』という風な指摘をされていまして、なぜならばというところで、『この二つを混ぜると教育現場が一気に萎縮するからだ』という風に近藤教授はおっしゃっています。
もう『その通りだ』という風に思うんですけども、あの痛ましい事故が起きたとなれば、当然安全管理を検証しますよね。それ当たり前なんですけども
『今回事故が起きた。だからその学習テーマが不適切だった』っていう風に、話題が転換し始めているわけですよ。
これどうなんでしょうか? 話題のすり替えのような気がしてならないのと、
やっぱり現場の教員の方っていうのは今後、『社会的に意見の分かれるようなテーマを扱うこと自体、ちょっと避けた方がいいんじゃないかな』っていう風になりはしないのか。
当然再発防止策をみんなで考えたいわけですけども、今のこの持って行き方だと、再発防止策の究極の形が、じゃあ『平和学習自体しなければよかった』っていう風に考えてるような形跡が残っちゃってるんですけども、それって違うんじゃないかなという気がします」
武田「うん」
勅使川原「例えば今回は沖縄の基地問題ですけども、似たようなこととして原発の問題であるとか、戦争、貧困、ジェンダー、それから労働問題、移民とか、気候変動なんかも今後入ってくるかもしれないんですけども、
いずれも社会の中で意見が分かれるテーマだと思います。
ですけども、意見が分かれるから扱わないっていうことになったら、逆に学校で何のどの社会問題なら扱えることになるんでしょうか?」
武田「なかなか意見が分かれない社会問題っていうのはないですからね。
意見が分かれてるからこそ社会問題だということになるわけですけどね」
勅使川原「おっしゃる通りだと思います。そういう中で『政治的中立』って言葉が出ると、一見するとですね、とってもまともに聞こえるわけですよね。
『教育は中立であるべきだ』、『先生が自分の政治的意見を生徒に押し付けてはいけない』っていうのは一見その通りだと思うわけですけども、やっぱりここで取りざたしたいのは、『何を以て中立とするのか』っていう議論なんじゃないかと考えています」
武田「まあ、この問いっていうのはずっとされてますけれどもね」
勅使川原「そうですね。古くて新しい、新しくて古いテーマだと思います。
でもここやっぱりすっ飛ばせないですよね。というのも、私たちはしばしば自分の考えに近いものを『中立』と呼ぶ傾向はないでしょうか?
それから自分の考えから遠いものを『偏ってる』っていう言い方、結構しませんか?
つまり中立っていう言葉は、かなり恣意性がある、主観的な使われ方をしがちだっていうことを、まず押さえておきたいと思います」
勅使川原真衣さんはこの後も、この「教育的中立問題」に対して強烈に異を唱えています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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