アフガニスタン・タリバン政権を巡る米露それぞれの思惑とは?佐藤優氏が解説~10月15日「くにまるジャパン極」

アフガニスタン・タリバン政権を巡る米露それぞれの思惑とは?佐藤優氏が解説~10月15日「くにまるジャパン極」

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アフガニスタンでタリバンが権力を握ってから2ヵ月が経過した現在、現地はどんなことになっているのか?10月15日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、元外交官で作家の佐藤優​氏が解説した。

野村アナ「佐藤優さんが寄稿されている文章を見てみますと、アフガニスタン国内で活動されていたNGOや支援団体は、一部活動を再開しているところもあるようですが、ほとんどが厳しい状況にあるということですね?」

佐藤氏「そうなんです。2つの理由がありまして、1つはタリバン政権が嫌がらせをするからですね。もう1つはタリバン政権を承認することになっちゃいけないっていうことで、アメリカをはじめ西側の国がお金を止めちゃったからです。その両方の理由で物凄い厳しくなっている。だからアフガニスタンの普通の人たちは飢餓と乾きが深刻になりますよね。食糧と水が十分に行きわたらない。これはタリバン政権だろうがなんだろうが、人道的な観点から乗り出さなくてはいけない、そういうところまで来ちゃっています、急に」

野村アナ「そこで、どのように手を差し伸べる手段があるかということなんですが、これが、アメリカとロシアが対立する中で、両国の見方の違いがありますよね?」

佐藤氏「アメリカ側の方は、アフガニスタンは何で戦わないんだ?と。それでタリバンが戻ってきたんなら自業自得だと。バイデン大統領はそれに類することを言ってますからね。もともと傀儡政権みたいなのを作ったアメリカが悪いんですけどね。それである時は支援してくれて、支援で成り立つような経済になっちゃったわけでしょ?それを止められちゃったら、今度は生きていけないわけでしょう。こういうのがアメリカのアプローチだから、アフガニスタンの人たちからも恨まれるし、整合性があまりにもとれないですよね」

その一方で、ロシアはどんな見方をしているのか?

佐藤氏「ロシアの方は、タリバンはもうやむを得ないと。国外に出て来ないと。問題は、タリバンと手を握っているIS・イスラム国だと。もうすでにウズベキスタンやタジキスタンでテロを行っている。これをタリバン政権が支援しているから、とにかくISを辞めさせろと。少なくとも北側(ロシア)には来ないでねと。そうすれば、人道支援すると言う、この取り引きで、物資をアフガニスタンに流している」

野村アナ「タリバン側としても『世界中の皆さん、アフガニスタンをひとつの国として認めてください!』と言ってるように見えるんだけども、全部が承認することはあり得ないし、そこはちゃんともうしたたかにやっていると」

佐藤氏「現行の国際法も国連も認めてないですからね。それでイスラム法での統治以外は考えていないと言ってますから。で、中国はまだ慣れていないからね、『いやぁ、これはもう外交関係を結んでもいいですよ!』と、踏み込みすぎちゃったんです。ロシアはその点非常に警戒して、警戒しつつなんだけども、混乱でもっとひどいことになるとマズい。これぐらいの感覚ですね」

野村アナ「シルベスター・スタローン主演の『ランボー3 怒りのアフガン』の中でも描かれていましたけども、旧ソ連のアフガニスタン侵攻ってありましたよね。あの辺でもう、現在のロシアが懲りてるってことはあるんですか?」

佐藤氏「どれぐらい面倒くさいところかっていうことはわかっているんですよ。だからアフガニスタンの中でいくら面倒くさくてもいいと。それが破裂して、中央アジア諸国などの周囲に影響を与えてロシアの安全保障に面倒くさいことになったら嫌だと。要するにロシアは自分のことばかり考えていて、タリバンとはそこそこのお付き合いをした方が実害は少ないからと、こういう見方ですね」

非常に厄介な存在のIS・イスラム国とタリバン政権。混乱に巻き込まれて困っている一般のアフガニスタン国民を支援・救出するためにも、国際社会一丸となっての早急な解決を祈りたい。

「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。佐藤優氏は第1・第3・第5金曜日にコメンテーターとして登場(スペシャルウィークの来週22日も登場!)radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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