吉崎達彦氏「競馬の売り上げでわかる、日本の経済学とは?」~1月11日「くにまるジャパン極」

吉崎達彦氏「競馬の売り上げでわかる、日本の経済学とは?」~1月11日「くにまるジャパン極」

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1月11日火曜日「くにまるジャパン極」(文化放送)の「深読みジャパン」は、エコノミストの吉崎達彦氏が趣味のひとつとしている競馬に注目!JRAの売り上げデータから見えてくる日本の経済学について、深く掘り下げた。

吉崎「私、前からJRAの年間売り上げのデータに注目していまして、JRAが素晴らしいのは、年間の売上高が12月28日に公表されるんです。昨年の場合で言うとホープフルステークスっていうG1レースが終わると、その日のうちに年間の売り上げ(売得金)が発表されて、その金額が何と3兆円を超えたんです。しかもその1割が納税されるので、年間3000億円の納税が確定しています」

邦丸「税収3000億!凄いですねえ~!」

吉崎「この1割は国の一般歳入になって、4分の3が畜産振興に、残り4分の1が社会福祉に使われるというのが決まっているので、売り上げが上がると日本政府は大変ハッピーなんですが、実はそれだけではなくて、特殊法人としてのJRAが色々事業をやってるんです。キャラクターグッズを売ったり、あるいは競馬場で物販があったり、グリーンチャンネルという放送をやっていたり、色々ある事業収入も年度末の3月末に改めて企業体として決算をすると、その利益の2分の1もまた政府に入る。だから…凄い金額ですね」

邦丸「同じ公営ギャンブルでいうと、私が楽しませて貰っているボートレースも売り上げが物凄くいいと言いますが、税収としてはあてになる財源なんですね」

吉崎「実は競馬の売り上げは10年連続で前年比プラスで、97年がピークです。97年に4兆円ジャストという年があって、そこからデフレ経済と共に転がり落ちるように14年連続で右肩下がりという暗黒の時代が続いて、ボトム(底)の年は2011年なんです。この2011年から10年連続でプラスが続いています」

邦丸「2011年がボトムというのは東日本大震災と福島原発の事故があったからですよね。97年がピークっていうのは何故ですか?」

吉崎「96、7年って書籍とか、ゲームソフト、CDなど大体エンタメ関係の売り上げのピークなんですよ。とはいえ97年の競馬ってどんな馬が活躍していたかっていうと、意外といないんです」

邦丸「えっ、いないの?」

吉崎「年度代表馬がエアグルーヴで、有馬記念はシルクジャスティスとか、みんなが大騒ぎするようなスターホースが出ても売り上げには貢献しないんです。じゃあ何で96、7年が色んな売り上げのピークだったかというと、生産年齢人口のピークがその頃なんです。97年という年は団塊世代の先頭が50歳になって、団塊ジュニア世代が20代前半だった時期。だから日本の人口の束の部分で、言ってみればお父さんが会社で部長さんの一歩手前ぐらい。で、息子やお嬢さんが独身貴族で遊びたい盛りぐらいで、だから(競馬を含む)エンタメの消費がよく伸びたと思われます」

この競馬の好景気だが、コロナによる影響はどうだったのか?

吉崎「コロナになって会場参加人数が激減しているんです。大体、年間600万人ぐらいが競馬場に来るわけですが、去年なんて72万人しか居ない。2020年も99万人とかで、1ケタ減っちゃった。つまり競馬場に行けなくなったけど、みんなお家で競馬をするようになったから、売り上げはかえって伸びている。ひょっとすると競馬場の警備員など余計なことにかかるお金も減ってるから、事業としても相当儲かっているんじゃないですかね?」

吉崎氏には、JRAはデジタルトランスフォーメーションの勝ち組ではないかという。そんな吉崎氏は昨年末、久々に場外勝馬投票券発売所ウィンズ浅草へ行ったものの、マークシートの塗り方を忘れていたという。さらに施設内では密を避けてテレビ中継もやっていないとのことで、コロナによる様変わりを実感した模様。最後に吉崎氏はこう締めくくった。

吉崎氏「デジタルトランスフォーメーションもいいんだけど、コンサートの良さみたいなものもあるわけじゃないですか。だから早くコロナ終わって欲しいなっていうのが、この話のオチであります」

「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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