『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 東京都が、新築住宅に太陽光発電の設置を義務化!? 金融の専門家はどう見るか

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 東京都が、新築住宅に太陽光発電の設置を義務化!? 金融の専門家はどう見るか

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

東京都で家を建てると、太陽光を設置しないといけなくなるの?

昨年(2021年)、東京都が、新築の戸建て住宅に太陽光発電の義務化条例の制定を目指すことを決定しました。

今回は、太陽光設置義務化についての質問です。

「お正月の新聞を見ていたら、東京都が新築住宅の太陽光発電義務化条例制定を目指すという記事が出ていました。個人的にはいいことだと思いますが、これから家の新築を考えている人には重荷かもしれませんね。どうお考えですか」

エビよりカニが好き さん(豊島区・50代・男性)

住宅メーカーに対する義務なのが特徴

ちなみに、東京都の検討案は、義務の対象になっているのが家の購入者ではなく、住宅メーカーなどの事業者であることが特徴です。

業者が販売する住宅のうち、85パーセント程度に太陽光を設置する想定だそうです。日当たりが悪い家もありますから、絶対に太陽光を付けなければならない! というわけではないのですね。

個人の環境問題対策が、より大きな費用規模に

さて、SDGsや持続可能な社会という言葉が使われるようになった昨今。

家庭における太陽光発電を推進していく傾向は、今後どんどん強まっていくことが予想されます。

もちろん、新たに大きなお金が動くのですから、業界としては嬉しいことです。
ただ、家を購入する我々の立場から見ると、あまり嬉しくはないかもしれません。

太陽光が設置できる家を探したり、設置にかかる費用負担が出たり。これまでと同じというわけにはいきません。
同じように今後推進されるであろう電気自動車も、今のところ、ガソリン車より高い値段で販売されています。

これまでの環境問題対策が「レジ袋を断る」「節電を意識する」といった「小さな対策」であったのに対して、これからは家や自動車といった「大きな対策」が必要になってきているようですね。

補助金は出ているものの・・・

もちろん、太陽光やエコカーなどの負担には、国や自治体からの補助金や、税金の軽減などが受けられます。

補助金等を続けて太陽光発電のシステムが普及すれば、設置費用そのものが安くなることも期待できます。

ただ、補助金の財源は税金ですから、結局、私たちが支払っていることには変わりがありません。

金融技術でSDGsを後押しする

さて、その問題を金融技術の視点から解決しようとしているのが、金融技術大国のアメリカです。

アメリカでは、最近になって、国を代表するモーゲージバンク(日本の住宅金融支援機構のような機構)が新しい証券の取り扱いを始めました。

この証券では、環境性能の高い住宅を担保としたローンを集めて、いわゆる「グリーンボンド」として証券にします。

グリーンボンドというのは環境に配慮した投資をするための資金を調達するために企業が発行する債券のことです。

米国グリーンボンドの取り組みとは

近年、金融市場では、環境にやさしい取り組みをしている事業に投資をするべきだというプレッシャーがかかっています。

このため、グリーンボンドが発行されると、皆がこぞって購入しようとする。つまり、グリーンボンドなら低い金利でも(投資家に不利な条件でも)買ってもらえるようになるのです。

というわけで、住宅で「グリーンボンド」を作った場合は、住宅ローンの金利をそれだけ低くすることができるのです。

住宅ローンのそう返済額は、金利が1パーセント違うだけでも何百万と変わります。金利が低くなることで、補助金をもらったのと同じ効果を出すことができる・・・という仕組みなのですね。

日本でも、太陽光発電のグリーンボンド化は起こる?

この仕組みの面白いところは、

・政府のお金を使わずに、事実上の補助・支援がなされる点と、
・補助や援助の額を、政府や自治体ではなく、マーケットが決める点です。

金融マーケットというのは、一見、公共政策から一番遠いところにありそうですが、実は金融マーケットでむしろ、公共政策よりも持続的にSDGsが実現できるかもしれないというのは、興味深いですよね。
金融技術の新しい側面といえるかもしれません。

日本でも、こうした仕組みは少しずつ普及しだしていますが、まだまだ欧米の動きを「真似ている」段階です。日本の文化や社会制度に合った金融技術が開発されていけば・・・と思っています。

というわけで今回は、太陽光発電の義務化を考えてみました。

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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