迷走する野党の連立方程式 ~ 4月29日ニュースパレード山本香記者取材後記

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文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 

迷走する野党の連立方程式

日本維新の会と国民民主党による静岡、京都での相互推薦は事実上、壊れた形となった。国民民主党の玉木代表が記者に発した「白紙撤回」という言葉が報道で流れたこと。交渉に当たってきた榛葉幹事長も、日本維新の会の藤田幹事長に電話で謝罪したことを受けて、藤田幹事長は夕方、記者会見を開き、白紙撤回を事実上、表明した。
なぜ突然壊れたのか・・・相互推薦の際に示された合意文書の文言について、国民民主党の支援団体連合と、国民民主党が急接近を図る自民党から批判を浴びたことが原因だ。
どのような文言が、連合と自民党の虎の尾をふんだのか。1つは「政権交代を目指す」、もう一つは「身を切る改革」の2つ。連合は、国民民主党が共産党と日本維新の会と接近する事を警戒していることが理由だが、玉木代表にとっては、連合より自民党のほうがやっかいだった。自民党幹部からこの件でこってり絞られたという話も伝わっている。

相互推薦の話を主導してきたのは、参議院静岡選出の榛葉幹事長と、京都府連の会長を務める前原選挙対策委員長である。京都と静岡で日本維新の会との相互推薦を決めたこの2人には、参院選での地元選挙区での事情だけでなく、立憲民主党への意趣返しという意味もふくまれているから更に話しはややこしくなる。

前原氏と立憲民主党の福山前幹事長との間に以前から存在する確執。榛葉幹事長については、前回の参議院選挙で静岡選挙区(定数2)のところに、立憲民主党が対抗馬を立てられた恨みもある。それを主導したのが当時の幹事長だった福山氏である。
京都と静岡で日本維新の会との相互推薦が進めば、苦しむのは立憲民主党ということになる。ずっと選挙区を守ってきた福山前幹事長の危機感は相当のものだ。

さて、事前に記者には白紙撤回と言っていたはずの玉木代表は、夕方の記者会見でそれには触れず、合意文書については党内手続きが済んでいないため5月2日の会議で決めると記者団に説明した。
2日の会議では、白紙撤回が正式に決まるだけなのは誰の目からも明らかである。
前原氏は、2日の協議の結果をただ待つと述べていたが、白紙撤回されたとしても京都での日本維新の会との選挙協力は今更、引くつもりもないようで、永田町では参議院選挙後には前原氏の維新入りもささやかれ始めている。

前回の参議院選挙では、32の一人区で立憲民主党、共産党、社民党に加え、国民民主党による候補者一本化が行われたが、今回は一本化の選挙区は限定的となる見通しだ。各党の党内事情もあるだろうが、去年の衆議院選挙で日本維新の会が大幅に躍進し、存在感を示していることも大きく影響し、野党のバラバラ感も際立っている。

巨大与党に対峙するため協力を進めてきた野党共闘の連立方程式が崩れたのは、日本維新の会が去年の衆議院選挙で大躍進を遂げ、存在感が大きくなったことも影響しているが、何よりも野党第一党の立憲民主党が安定感を示せないことが大きいようだ。野党の隙間風を突くように与党に擦り寄る国民民主党も、自民党に利用されるだけに終わるのか。ある野党関係者は、永田町の政局は足し算、引き算だけじゃ解けない。自民党が仕掛ける連立方程式、因数分解を解いたものが勝ち残れると今の状勢について語っていた。
参議院選挙まで2カ月余り、永田町の方程式は複雑化を増すばかりである。

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