6月1日から「線状降水帯」予測が始まりました

6月1日から「線状降水帯」予測が始まりました

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6月1日「ニュースパレード」で、「線状降水帯」予測情報スタートのニュースをお送りしました。
ここ数年、大きな豪雨災害の要因の一つとなっているのが
この「線状降水帯」。
次々と発生する積乱雲がライン状に連なって
同じ場所に危険な大雨をもたらすものです。

2015年の「関東・東北豪雨」や2017年の「九州北部豪雨」 
2018年「西日本豪雨」2020年「熊本豪雨」などで
甚大な被害をもたらしました。

去年は「顕著な大雨に関する気象情報」として「線状降水帯が発生した」という情報は出ましたが、
台風などに比べスケールが小さいため、「予測はかなり難しい」と言われてきました。

今月からスタートした「予測情報」の出る地方単位は
「九州北部」や「関東甲信」地方のように、日本を11の地方区に分けたかなり大まかな単位。
発生の半日から6時間前に、気象情報の中で「日中」や「夜」といった時間帯に
「線状降水帯が発生する可能性がある」といった文言が盛り込まれ、
ラジオやテレビ・ネットなどからも伝えられます。
課題は「精度」にあります。
的中率は4回に1回程度、空振りも多く、
逆に予測しなかったのに「発生」という見逃しも3回に2回程度ある
ということです。

気象庁は「線状降水帯」がたとえ発生しなくても、この呼びかけがあるときは大雨になって急激に状況が悪化する可能性が高い。
線状降水帯」という言葉が一つのキーワードになって
危機感を高めてもらえれば…と話していました。

精度向上のための取組も発表されました。
気象庁は全国の大学など14機関と連携して、線状降水帯の発生しやすい条件や内部構造を把握するための高密度な集中観測を実施します。

(写真 向かって左は東京大学・佐藤正樹教授 右は気象庁・安田珠幾参事官)

毎年のように線状降水帯が発生している九州を中心に、東シナ海に船舶を7艇出したり航空機も飛ばし、水蒸気などを観測。
陸上からもラジオゾンデや様々なレーダーを使い、とにかくオールジャパン
できることはすべてやり、精度向上に向け技術開発・研究を行います。
また、スパコン「富岳」を使って高い解像度の予報モデルによる「リアルタイムシミュレーション実験」も6月1日から始めました。
解像度1キロで予報時間は18時間、これを日本時間の0時と12時に出すというもので、気象庁によると順調に行われているそうです。
今後精度を高めて、発表する場所についても、2024年には県単位、2029年には市町村単位での発表を目指します。

線状降水帯だけでなく、6月2日3日「ひょう」による被害も発生しました。
農作物への被害も発生し、ケガをされた方もいます。
対策としては、とにかく「頑丈な建物の中に入る」
農作物には防雹ネットもありますが、広い果樹園や畑などでは正直対応が難しい…手の打ちようがない状況もあるかと思います。
被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。
「自然」の力に、手加減はありません。

気象予報士 防災士 気象庁担当記者 伊藤佳子


















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