国葬協奏曲 番外編~9月29日ニュースパレード  山本香記者取材後記

国葬協奏曲 番外編~9月29日ニュースパレード 山本香記者取材後記

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文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

目次

  1. 晴れ男と雨男の戦い
  2. 想定外
  3. 番外ハプニング

厳重警備の中、執り行われた国葬。
静謐な環境を壊すようなハプニングもなく、無事終了した。

その裏側に追った。

 

 

晴れ男と雨男の戦い

 重要なイベントの際、成否のカギを握る天候。岸田総理は雨男、安倍元総理は晴れ男と官邸内で呼ばれている。国葬が行われた9月27日は当初、週間予報で雨と予想されていた。台風の接近もあり、海外からの要人が羽田空港に着陸出来ないような事態になりはしまいかと、主催者側の政府は気を揉んでいた。しかし国葬の3日前に雲行きが変わり始め、前日には晴れ予報に変わったことで、内閣府の職員は「晴れ男が勝った」と胸を撫で下ろしていた。死してなお、晴れ男の威力を発揮する。ある意味ですごい。

 晴れ男が勝ったのは良かったが、その一方で天気が良すぎると一般献花者や炎天下で終日取材する警備関係者、運営スタッフ、それに報道陣の日射病などの心配も浮上。国葬への参列者についても5時間近く拘束するのに飲食持ち込みは禁止されているため、日本武道館内には沢山の給水機を用意したが、報道エリアを含む館外には一台も設置されていなかった。警備側が設置を許可しなかったからだという。

 報道陣は午前10時頃から終了まで7時間以上(実際には8時間以上)拘束され、取材エリアからの移動は不可とされていたため、政府側は何度も警備担当者に対して給水機の設置を求めたが、返答はNO。移動が不可とされていた屋外にいる取材陣の移動を認め、日本武道館内の給水機や地下の待機所の利用させることに決めた。長時間水も飲めない状況を強いた場合、海外の訪問団に同行した外国メディアも含め、日本の警備と対応は人道的に問題だと報道される怖れもあったためだ。
 
 当日は、雲はあるものの日差しが強い。しかし報道エリアには影になるような場所もなく、国葬開始前の正午頃には暑さでまいってしまい、へたり込む記者、日陰を求めて白黒の鯨幕を利用する記者も目に付いた。

 

 

想定外

 当初、国葬への参列者は最大6000人と発表されていたがその後、4300人に下方修正された。国葬の進行について政府側は最大6000人で時間読みをし、終了予定時刻は午後5時過ぎを見込んでいた。3時間の長丁場になったのは、参列者全員が献花を行うのに時間が掛かるためだったが、当日参列したのは4183人と2000人弱。参列者が減ったことで、国葬も30分ほど短縮されるのではという見方もあった。しかし蓋を開けてみたら1時間超過し、終了した午後6時過ぎには夕闇が迫っていた。

 なぜ想定より遅れたのか要因は様々あるが、現場で聞いた関係者の話によると「BGMがスローな曲だったため、献花する参列者の歩みも想定よりゆっくりになってしまったからだろう」。「参列者が乗る大型バスが渋滞し、献花を終えた人を送り出せず、動線がふさがってしまったため」という。準備万端で迎えたはずの国を挙げての一大イベントだったが思わぬところでほころびが見えた。

 
 計算違いは一般の献花場でも生じた。政府側が予定してた献花を受け付ける時間は午前10時から午後4時までだったが、想定以上に希望者が殺到したため、開始時間を30分ほど早め、終了したのは午後7時半ごろ。行列も午前9時過ぎには既に東京メトロ半蔵門駅から一般献花台がある九段坂公園まで2キロ以上の行列ができ、警備にあたる警察官が対応に追われていた。

 献花者は、2万5889人にのぼった。

 

 

番外ハプニング

 招待状に記されていた参列者のドレスコードは、国葬にふさわしい服装で白い不織布のマスク着用。国葬の運営スタッフや報道陣も同様のことを求められていたが、当日、カラーのマスクをしている人、持ち込み禁止のはずにもかかわらず、ズボンの後ろポケットにペットボトルのお茶を突っ込んでいる人も・・・。厳重なチェック体制のはずだったが、どこですり抜けてきたのだろう。また国葬の間は、移動も制限されるはずだったが、日本武道館内の廊下は、明らかに水を飲みに行くという口実で席や持ち場を離れている人、立ち話をする人も散見された。お菓子を隠し持ってきた人もいて何でもありだ。ちなみに参列した現職の国会議員の中には、受付で必要な招待状を忘れていたことに気付き、慌てて秘書に電話して持ってきてもらうというハプニングもあった。

 静謐な環境で執り行われた国葬だが、参列者をはじめ、関わった人たちの苦労や思いはそれぞれ。その検証はこれから始まる。

 

 

 

 

「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

https://podcastqr.joqr.co.jp/programs/newsparade

 

そしてGoogleスマートスピーカー (#GoogleHome#GoogleNest )や、 androidスマホから聴けるようになりました。

「ニュースパレード聴かせて」と話し掛けてみてください。

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