優勝に届かなかった青山学院大学・原晋監督 レース後談話

優勝に届かなかった青山学院大学・原晋監督 レース後談話

Share

大会記録を4分21秒更新する、驚異の記録で大会3連覇を成し遂げた駒澤大学の強さが際立った第54回全日本大学駅伝。
レース後、各校の監督、選手にお話を聞きました。

 

スポーツの世界でも、尖った、いい破天荒さが日本社会で失われつつある。規律を守るというのは当然大切、自ら律する自律、ルールを守るということだと思うのですが、それをベースとして指導者が選手から遠ざかる、ある意味大学スポーツのあるべき姿だと思う。箱根駅伝の指導スタイルは指導者の熱心さ、マニュアルの中で踊らされていて、面白くない文化が出来つつあるので、その中で青学は一歩進んだ自律に移行しつつあるだけれども、それをやろうとするのなら、より選手もその監督の考えを理解しなければいけないし、監督自身もがすぐに結果っは出ないので、我慢しなければならない。その結果が出た暁にはさらに尖った選手が出現するのではないかと思っていて、そういうチームを作っていきたいと考えている。

Q. 箱根までの短期間ではどういった部分、練習ではどの部分を見つめ直していくか?
練習に関しては、質と量ともにあげています。青山メソッド・原メソッドからバージョンアップした部分はあります。さらにはできるだけ答えは出さないようにしています。だいぶ離れるというか、間を置くように私自身は意識しています。
1〜10まで指導するのは、指示待ち人間の集団で。それは大学スポーツ教育大きい視点から見たら違うのではないかと思う。結果がついてくるのが理想。そういった過渡期に我々がある種新時代の中にいるのではないかと思う。

Q.全日本を迎えるまでの調整は選手個人に任せていたのか?
うちの練習は、朝練習に関しては同じコースを走りますので、ペース設定は選手個人に任せている。1週間のトレーニングメニューも水・土・日はある程度指導者側が指定するペース設定をグループ分けして行なっている。それ以外の質・量に関しては選手たちに任せている。ポイント練習においても、より個々の能力の基準に合わせていくスタイルをとっていかなければいけない。金太郎飴で言うより尖った、高いレベルの集団を作りたい。より多層的な集団。
最近の恒例のネタだけど、理念が真ん中にあって、尖ったのもいれば、大小の丸もいて、さまざまな色をしたものもいる。それぞれの個の中で完結させていきたい。

Q.現在の段階で個性が目立っている選手は?
近藤幸太郎、目方将大、あんな走りは一切指示を出していないですから。直前まで「いけると思います」とは言っていたけれど、そんな指示は一切していない。頑張っていこうね、プライド持って走れよと言う指示しかしていない。歴代の青山にあんな走りをした人はいなかったですから。この2人は素晴らしい。(笑いながら)スポーツ紙よりも日本経済新聞から取材受けた方がいいかもしれない。

Q.今日のレースの話
去年は挽回したけど、結果的にノーミスだった駒澤と差を詰められなかった。それがより勝つのが難しかったところか?
ここ数年のレースの中で何度かの局面で勝った思えたところがあった。今年は全くなかった。それだけ駒澤さんの走りが質・量ともに高いレベルになったかなという気はします。新時代の幕開けのように感じましたね。
(昨年の箱根駅伝、今回の全日本の大会新記録を受けて)強化方法を含めた練習メソッド、駅伝に向き合う姿勢を各大学が取り入れている。負けた言い訳になりますけど(笑)、そういう時代に突入したなと感じますね。各大学による新しいメソッドで令和の新駅伝が始まっている。箱根駅伝に向けては決して悲観していません。2区、8区が厳しい戦いになったが、他の区間はほぼ負けていない。それに山上り、山下りには自信がありますから、箱根駅伝は勝ちに行きたい。

Q.7区終了時点の2分半。2区の分が回ってきたということか
そういうことです。普通は先頭のチームがどんどん離していく中で、3、4、5、6、7区は差を最低限キープしてタスキをつないだ。地力はあると思う。

Q.2区白石選手は何があった?レース後会話をしたか?
ちょっと話をしたら、初歩的なミスもあったようで。また3、4日前から非常に状態が良くて、体が軽すぎたと。浮ついていた。それが裏目に出たということ。
(調整を上手く合わせられなかった?)―残りの3日間は各自のメニューになるし、「最後の1週間を切ったら監督の調整能力もあるけど、お前たちの調整と力だよ」と日頃から言っているんです。各々、試合にどう逆算して合わせていくか、これも力だと言っている。

Q.追う展開の中でも2分差をキープできた地力
そこは自ら律する、自律の中の1つだと思う。自分でペースを作って、守って、追っかけていく姿勢が出来てきている。普通だったら、2区で2分差ができたら、3分、4分と開いていきますよ。でも2分でキープできたということは、地力があった。そういう意味では、山上り、山下りがある箱根駅伝に関しては、私は勝てるという風に(自信?作戦?が)、何となくあるんです。だからこのような惨敗はしません。箱根駅伝は勝ちにいきます。

Q.メソッドを変えなくてはいけないというのは、2区で落としたから?
そうじゃないです。全体的にです。旧式駅伝は終わったなと思う。
(それはスピードの部分が?)―スピードと、厚底シューズ対策もあると思う。練習の発想を変えなくてはいけない。今までは夏合宿で30キロ走を何本とやっているが、果たしてそれはいいのかなと。もっと、量を少なくして、質を上げるとか。あるいは、インターバルトレーニングをなくして、レピュテーショントレーニングの頻度を上げるとか。今までのバリュエーション、練習の組み合わせ方を変化させていかないと。なぜかというと、厚底シューズで疲れができるから。スピードも増すし、増すと故障につながるし。その対策もしないといけないし。昔のように30キロを何本もやって持久力をつけるだけじゃない。靴がアシストしてくれるから、持久力の対応はできてくる。そこらのメソッドをテコ入れしていかなくてはいけない。今回は本気で狙っていただけに腹たってきたからね。負けると腹立つから、次は勝ちにいきたい。

Q.キャプテン宮坂の起用は信用してのものか?
やはり今回で走れなかったら箱根はないものと考えていた。箱根を初レースにするというわけにはいかない。箱根の前哨戦として捉えていたが、今回のタイムを見て「じゃあ箱根を走ろう」とは正直言えない。だが、彼にも4年間やってきたプライドがあると思うし、残り数か月最後まで気を引き締めて自分の力でレギュラーを掴んでほしい。

Q.「プライド大作戦」は終わってしまったか?
まだまだ終わっていない。箱根を含めた三大駅伝を1つとして捉えている。最後の箱根を「プライド」をもって勝ちにいく。

Q.今回、駒澤の選手層の厚さを見たが、箱根に向けて青学としてどうしていくか?
上り下りに意外や意外自信があるので、そのような特殊区間を重要視する。残りの往路の前半区間を互角に戦える展開は見えている。今年も岸本、中村唯翔を復路に配置できるくらいの目途は立った。手ごたえのある今回の全日本のレース結果であった。下りの目途がないならば不安になるが、それは持っているので箱根は戦える。

 

 

全日本大学駅伝対校選手権大会 11月6日(日) 8:05スタート 熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前(8区間、106.8キロ)

1位 駒澤大学 5時間06分47秒 ※大会新記録、3連覇、出雲駅伝に続き今季2冠
2位 國學院大學 5時間10分08秒 ※大会新記録
3位 青山学院大学 5時間10分45秒 ※大会新記録
4位 順天堂大学 5時間10分46秒 ※大会新記録
5位 創価大学 5時間12分10秒
6位 早稲田大学 5時間12分53秒
7位 中央大学 5時間13分03秒
8位 東洋大学 5時間13分10秒
以上8校がシード獲得
9位 明治大学 5時間15分29秒
10位 東海大学 5時間16分01秒
11位 東京国際大学 5時間16分41秒
12位 神奈川大学 5時間17分30秒
13位 中央学院大学 5時間17分56秒
14位 大東文化大学 5時間19分07秒
OP 日本学連選抜 5時間21分35秒 ※オープン参加
15位 日本大学 5時間22分54秒
16位 関西学院大学 5時間25分53秒
17位 大阪経済大学 5時間27分14秒
18位 立命館大学 5時間28分00秒
OP 東海学連選抜 5時間31分50秒 ※オープン参加
19位 札幌学院大学 5時間32分17秒
20位 愛知工業大学 5時間32分42秒
21位 皇學館大学 5時間33分26秒
22位 環太平洋大学 5時間37分03秒
23位 第一工科大学 5時間41分41秒
24位 新潟大学 5時間43分18秒
25位 東北大学 5時間53分01秒

 

Share

関連記事

この記事の番組情報


長谷工グループスポーツスペシャル 第55回全日本大学駅伝対校選手権大会 実況中継

長谷工グループスポーツスペシャル 第55回全日本大学駅伝対校選手権大会 実況中継

11月5日(日) 8:00〜13:50

その他の主な出演者
CLOSE
その他の主な出演者

文化放送は大学駅伝ラジオ独り占め! 出雲駅伝、全日本大学駅伝、そして箱根駅伝を完全実況生中継で放送します。 真の日本一決定戦・全日本大学駅伝を制するのは、大会…


箱根駅伝への道

箱根駅伝への道

火~金 18:15~18:25

その他の主な出演者
CLOSE
その他の主な出演者

大学駅伝のクライマックス【箱根駅伝】出場を目指して奮闘する選手や監督のインタビューをお届けしながら、学生長距離界の今を詳しくお伝えします。 …

NOW ON AIR
ページTOPへ