岸田総理の決断力~11月19日ニュースパレード  山本香記者取材後記

岸田総理の決断力~11月19日ニュースパレード 山本香記者取材後記

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

目次

  1. 照準
  2. 他人事
  3. 決断力
  4. 右顧左眄

照準

 

 11月11日、『死刑のハンコ』発言で辞表を提出した葉梨康博前法務大臣。8月の第2次岸田政権発足以来、山際前経済再生担当大臣に続く2人目の辞任である。「辞任ドミノはまだ続く」と指摘する野党側、次のターゲットは政治資金問題をめぐり、連日国会で集中砲火を浴びている寺田稔総務大臣だ。

 17日、立憲民主党の安住国会対策委員長は、寺田大臣について自民党内からも辞任論が出ていると聞いているとした上で「毎週、毎週、大臣を1人ずつ辞めさせるという憲政史上例のない偉業を達成する」と述べた。

 山際、葉梨両氏について更迭のタイミングの遅さが指摘されている岸田総理は、外遊から帰国後の19日以降、辞めさせるのか、続投させるのか・・・早速決断を迫られることになりそうだ。

 

 

他人事

 

 寺田大臣は、自身が関係する政治団体が、故人の名前で政治資金収支報告書を提出していたほか、後援会に貸し付けた600万円が政治資金収支報告書に記載されていなかったことなどの疑惑が次々と持ち上がっている。政治資金を所管する大臣であることや、補正予算案の審議に影響が出るとして自民党内からも早期辞任を求める声が上がり始めている。が、しかし寺田大臣はというと関連の政治団体に関することは誠に遺憾としながら、丁寧に説明責任を果たしているとして、職責を全うする考えを示している。

 

 18日の閣議後の記者会見では、疑惑報道に対する答弁で国民は納得したのか?という記者の問いかけに対し、寺田大臣は、私が接する国民は地元(広島)の方々とした上で「皆さんから非常に激励を頂き、よくああやって正直にというか・・いろんな言い方はあるが、説明して感心したという声しか私は聞いていない」と薄く笑みを浮かべながら答えていた。

 国会での答弁の際も、どれほど追及を受けても表情が曇ったり、険しくなることもなく、どこか飄々としていて、他人事のように映る。

 

決断力

 

 永田町の関心事の一つが寺田大臣の去就だ。

 安倍元総理は決断が早かった。2017年4月25日、今村雅弘元復興大臣がパーティで東日本大震災について「まだ東北で、あっちの方だったからよかった。首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な額になった」と発言した直後に安倍総理は更迭を決めた。そして翌26日午前に今村氏は辞表を提出。一方で、かばうと決めたら国会が荒れようが決して考えを翻さなかった安倍元総理。比べてどっちつかずの態度でぐずぐずと決めかねている岸田総理の態度が自民党内で歯がゆく受け止められ、風当たりも強くなっているようだ。

 葉梨氏の更迭劇では、外遊出発を10時間ほど遅らせるという事態になり、官邸や自民党内からは「決断が遅すぎる」という声の大合唱も起きた。

 

右顧左眄

右顧左眄(うこさべん※右を見たり左を見たり情勢をうかがってばかりいて、決断しないこと)

 

 かばう声、辞任を迫る声、いろんな声を聞く力を発揮しすぎ、タイミングを逸しているだけでなく、岸田総理の気遣いも決断に影響しているようだ。

 山際氏については、所属する派閥の領袖である麻生副総裁や、総裁選でいち早く支持を打ち出し、陣営の顧問も務めた甘利明前幹事長の推薦だったことも踏まえ、なかなか首を切れなかったと指摘する声がある。

 今回、岸田総理が決断を迫られている寺田大臣だが、岸田総理のお膝元広島5区選出で、総裁派閥である宏池会に所属。しかも宏池会の創設者である池田勇人元総理とは姻戚関係(池田隼人の孫娘と結婚)にあることから、気を使って引導を渡しにくいのではないかという意見も出ている。

 その寺田氏の疑惑について、週刊紙がまた、新たな疑惑を報じるという情報がもれてきた。

 「相手の顔色を持て右顧左眄するようでは国民への責任は果たせません」

 これは、岸田総理が政調会長時代の2017年11月の臨時国会で、故安倍元総理への代表質問で、自らを戒める言葉として述べた言葉である。

 あれから5年、周りの声や状況に振り回されず、決断できるトップであることを期待する。

 

 

 

「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

ニュースパレードPodcast

 

そしてGoogleスマートスピーカー (#GoogleHome#GoogleNest )や、 androidスマホから聴けるようになりました。

「ニュースパレード聴かせて」と話し掛けてみてください。

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