酪農家が二重苦直面 乳牛の早期リタイアを促す交付金で打開できる?

酪農家が二重苦直面 乳牛の早期リタイアを促す交付金で打開できる?

Share

3月2日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、酪農家が二重苦に直面しているというニュースについて意見を交わした。

藤井氏「結局、これでは酪農供給力が減る一方ですよね」

酪農家が飼料価格の高騰と生乳あまりによる値下げの圧力の二重苦に直面している。乳牛の維持費にコストがかかる一方で、乳牛の生産調整が難しく、転嫁が難しいためだという。

農林水産省は、昨日から酪農経営に対する緊急支援事業を始めた。支援事業では、酪農家が生乳生産量を抑制する計画を作って、乳量が少ない乳牛を早期にリタイアさせた場合には、国が一頭あたり15万円を交付するという。
生産者団体などの上乗せも含めると支援額は総額で20万円。乳牛の早期リタイアを促す異例の交付金をスタートしたが、抜本的な打開策は見えていない。

寺島アナ「酪農家の方はとても苦しい状況だといいます。藤井さん、これも大問題ですね?」

藤井氏「そうなんですよ。こういうのも全部、政府がきちんと対応すべきものなんですよ。政府っていうのはスタビライザー装置(安定装置)であって、円安だとか円高だとか、需要が減ったり増えたりだとか、物価が上がったり下がったり、経済も世界もいろんなものが変わっていく中で日本国民が安定的に、安寧に暮らしていけるように守る装置、それが政府なんですよね。酪農家というのは、日本人が消費する牛乳やチーズなどの必要な酪農製品を作ってくださっている方々なわけですよ。その方々を守ることが政治としては必要で政府の務めなんですよ、当たり前ですけどね。でも、それをやってないっていうことですよね」

寺島アナ「(農林水産省の緊急支援事業の交付金について)この金額は、どういう根拠で出たのかっていうとこですよね?」

藤井氏「(乳牛を)リタイアさせた場合だけでしょ? ちゃんと続けようとしている人には1円も出ないっていうこと。結局、これでは酪農供給力が減る一方ですよね。だから、この対策が出てきたってことは『どれだけ金払わんで済ませられるかなぁ』っていう話ですよね、これは政府からしたら。助ける気ないってことですよ。政府の機能を果たしてないですよ。農水省がアカンっていうよりも財務省が金を出さないからこうなっているんですよ」

酪農家は国内の競争だけではなく、海外製品との競争にもさらされている。
日本はWTO(世界貿易機関)の協定に基づき、一定量のバターなどの乳製品の輸入が求められている。生乳として出荷できず加工品にまわしたとしても、価格競争に追い込まれる懸念があるという。

寺島アナ「ですから、作れることは作れるんだけれども、価格が低すぎちゃって赤字になっちゃうよ、っていうことなんですね?」

藤井氏「いちばん簡単な保護主義政策は、諸外国がどこでもやっているような『補助金をたっぷり入れる』っていうことですし、いちばん明らかなのは日本の酪農家が作ったバターだとかを一旦良い値で買い取って、卸売りの時にはちゃんと安い価格で売ればいいんですよ」

寺島アナ「そうすれば酪農家も維持できますしね? で、買う側も今まで通りの値段で買うことができるということですね?」

藤井氏「だって、小麦に関してはそれをやっているわけでしょ? いまは。外国の小麦を輸入してきて、とりあえず買うだけ買って、あとは安く売っているっていうことをしているわけですから、それを酪農のバターなどの製品に対してもやればいいんですよ」

「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


おはよう寺ちゃん

おはよう寺ちゃん

月~金 5:00~9:00

その他の主な出演者

NOW ON AIR
ページTOPへ