海外生産「縮小」最多に 藤井氏「国内回帰が進んでくるっていうのは喜ばしいことですけど…」
4月6日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、海外生産「縮小」最多というニュースについて意見を交わした。
藤井氏「薄利多売を止めるっていうのが大事なんですよね」
日本企業が海外生産を縮小する動きが目立ってきた。内閣府の調査によると、海外での生産比率を今後5年で縮小する企業の割合が2022年度に1割を超え、過去最高となる。重要部品の調達が途切れないよう国内に生産を移したり、世界経済の減速に備えて生産体制を見直したりしているという。
寺島アナ「日本企業のこの動きですが、藤井さんこれはどうでしょう?」
藤井氏「大変結構なことだというふうにずっと思っているんですよね。元々の背景は、円安になってきているっていうことがあるんですけども。たとえば円高であれば海外でドルを稼いで、そのドルを日本に送金するということも増えるわけですけど、この状況の中で、日本に回帰していきましょうということが起こるっていうのは、空洞化していたので、逆の方向としていいんじゃないかなというふうに考えられますね」
寺島アナ「この3年のコロナ禍でもね、痛い目に遭ったところはたくさんありますからね」
多くの日本企業はこれまでコスト削減や消費地の近さを理由に海外生産比率を高めてきたが、サプライチェーン(供給網)を強化する動きが広がるという。コロナ禍・ロシアのウクライナ侵攻で供給網の寸断リスクを目の当たりにしたためだという。
一方で国内生産については人口減少が進む中で労働力の確保に課題がある。国内拠点は自動化などで高い生産性を実現した仕組みの構築が欠かせないという指摘がある。
寺島アナ「これ、口で言うのは簡単ですけど、これも一つの課題でもあるんでしょうね」
藤井氏「国内回帰が進んでくるっていうのは喜ばしいことですけどもね。人口減少に影響を受けたことで人手不足だっていうことはあるんですけど、これはやっぱり日本国内でデフレが20年以上続いているので、全部薄利多売なので、多売をしているんですよね。多売しようとすると人件費がどうしてもかかるので、薄利多売の逆方向で、少量を売ることでたっぷりと利益を得るような方向に変わっていくことが、人手不足の解消の上で一番効果的なんですけど、そういう意味で“デフレ脱却”っていうのがとても大事ではあるんですよね。それがあって、補足的に生産性向上。生産性っていうのはユニット・レーバー・コスト、いわゆる労働に対する付加価値の量のことを意味するんじゃなくて、1時間あたりに生産する製品の個数を上げるという意味での生産性を上げていくことが必要なんですけど、実はそれが物事の本質ではないんですよね。薄利多売を止めるっていうのが大事なんですよね」
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