『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    住宅の値段が上がり過ぎています

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    住宅の値段が上がり過ぎています

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

変動と固定、どっちが得?

今回は、こんなメールを頂戴しました。

町田市 黄色いツクツク帽子 (58歳)

日銀が金融政策を修正して早速住宅ローン金利が上がりました。ちょうど住宅購入を考えている知人がいるのですが、いま選ぶなら変動と固定とどっちがいいのでしょう。
それより不動産価格がどんどん上がっているので購入どころではないという話になるかもしれませんが…

いつもお話してることですけど、変動と固定どっちがいいかっていうのは…もう、どっちがいいか、わかりません。ただ目先が低い方がよければ、もちろん変動を選ばれればいいし、変動で低い金利で返してれば早く元本が減りますのでね。おそらく、日銀の金融政策っていうのは、前もお話したように短い金利も長い金利も同じようにゼロみたいにしてるのを、長期の金利だけを上げようっていうやつなので。変動の方は、まだそんなに急には上がらないんですね。だから目先はすごく固定の金利が高く感じますので、変動借りられるっていうのも、それでいいと思います。ただ気を付けとかないといけないのは、変動なので、上がったらみんな上げるので。その時は上がるよ、ということなんですね。

もはや固定か変動かという問題ではない

ただ、そういう問題よりは、後々の方が問題だと思っています。金利がなんだ、と言ってる場合じゃなくて。消費者物価が3%ぐらい上がったって大騒ぎしてますが、ここんとこ住宅の値段ってどれくらい上がってると思います? だいたい3割から4割上がっています。500万とか1000万とか、平気でピョン! って上がってるんです。これって為替の問題もあるし、物流の問題もあるし、いろいろな問題がからむ構造的なものなので。この後下がるっていう可能性は、僕はあまりないと思います。

政治は住宅価格高騰に無策

そういう中で、国はどんなことやってるかというと、二酸化炭素の問題があるので、早く潰さないといけないような家はダメよ、環境性能が良くないといけないよ、という方針です。そうするとどうなるか、長持ちする頑丈な家に環境性能がついてますっていうことで、値段が高くなるわけです。もちろん、物価対策もいろいろしてくれますけど、そんなの焼け石に水みたいな感じで。いま一番、変だなと思うのは、これだけ物価が上がって「どうしますか、岸田さん!」みたいにやってるじゃないですか。「賃上げして」とか。でも、そのレベルが2%とか3%のときに、衣食住の住の値段が3割とか上がってるっていうことを、国会議員の人が議論してるの、聞いたことあります? それで、電気代の補助が切れるから上がるよとか、ガソリン代が大変だろうから…とか。いいんだけど。そんなん言いだしたら、家どうなるんだろう、みたいなことになっててるんですね。

一世代で家を買えない時代

もう家を自分の代で全部買い切っちゃうっていうことが、もう庶民的には難しくなってきてるんじゃないかと思います。で、国が100年の住宅作れって言ってんですから、それならとりあえず25年分買って、次の代にまた25年分にして…って。もうとにかく、これまでは4人で買うのが、4世代で買う。…っていうような工夫を、ちゃんとしてあげないと…さすがに、3%で大騒ぎしてるときに、30%上がってるものがあって、それがないと生きていけないもんだ、っていうことについて、打つべき手がたぶん…誰も話し出した瞬間に回答がないから話題にしないんだと思うんですけど。そうなってきてるんじゃないかと思うんですね。

残価設定型住宅ローンを選択肢に

実は、我田引水になって本当に申し訳ないんですけど、残価設定型住宅ローンって、そういうもののために作ったんですね。その世代ごとに、所有…借金して自分で買うんだけど、25年とか35年とかになったら、そのまま賃貸住宅と同じようにローンと家と、はいさようなら、って出ていけますよ。で、次は田舎にまた小さい家でもいいじゃない、って…いうようなのをできるようにするために作ったんです。住宅購入は、もう金利を下げるとか、高いから低いからどっちがお得とか言ってる場合じゃない、っていうぐらいの上がり方をしてるんです。
もうちょっとだけ政治家の皆さんも、私らのやってることにもうちょっと興味もってくれないのかな。いま買うか、買わないかもひとつなんだけど、買い方を工夫することをいま、がんばってますので、そういう情報も仕入れながら住宅購入を検討していただいたらいいなと思います。

今日は「住宅の価格が高騰する時代」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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