日本のデジタル化を考える

日本のデジタル化を考える

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コロナ禍で、日本のデジタル化の遅れが顕在化しました。感染者の集計について、医師の手書きした感染者発生届をファックスで保健所に送り、その情報を保健所が手作業で入力していたため、手間がかかる上に集計ミスが相次ぎました。また、国民1人当たり一律10万円を支給する特別定額給付金事業に関しては、マイナンバーカードによるオンライン申請を受け付けたものの、申請データと住民基本台帳との照合確認作業が煩雑になってしまい、郵便申請より時間がかかるという事態が発生していました。その他の補助金などの手続きにも遅れが目立ち、「デジタル敗戦」とも呼ばれる状況を作り出しました。これを打破するため、政府は2020年12月に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を策定し、デジタル改革の推進を目指すこととなります。そして「すべての行政手続きがスマートフォンで60秒以内にできる」「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を目的とし、デジタル社会の形成に関する施策を、迅速かつ重点的に推進する新たな司令塔として、2021年9月1日にデジタル庁が発足されました。

デジタル庁は、国会近くの複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」内の紀尾井タワー19・20階にオフィスがあります。トップであるデジタル大臣には、設立準備を担当してきた平井卓也氏が就任。事務方トップのデジタル監には、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏が起用されました。これまで「デジタル化構想」を政権誕生時からの目玉政策として推し進めてきた菅義偉首相は、1日の発足式でも「思い切ってデジタル化を進めなければ、日本を変えることはできない」「行政のみならず、我が国全体を作り替えるくらいの気持ちで知恵を絞って」と意気込みを強く語りました。しかし、元々日本の官僚制には縦割りに代表される構造的な問題がある上に、デジタル分野に通じる人材の不足、各自治体のデジタル化導入のための資金難、個人情報の管理面での課題などもあります。さらに発足3日後に、生みの親とも言える菅首相が退陣を表明し、前途多難な船出となってしまいました。

それでもデジタル化は避けては通れない道です。そして新経済連盟の三木谷浩史代表理事が「日本のデジタル革命は、150年前の明治維新、75年前の戦後改革に匹敵する規模と意義を持つ」と述べているように、国にとっても企業にとっても大きなチャンスなのです。我が国が「2025年の崖」を回避し、デジタルにおける存在感を世界に示せるのか、今後に注目していきたいです。

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」9月27日の放送では、エルシャラカーニのセイワ太一さんと山本しろうさんのお二人にご参加いただき、「デジタル庁」の在り方など日本のデジタル化について熱いトークが繰り広げられました。

 

デジタル庁について

デジタル社会を推進していくための司令塔として発足されました。今後5年で、未来志向のデジタルトランスフォーメーションを一気に推進していきます。主な取り組みは5つで、1つ目は、全国各地のシステムを共通化し、迅速化を図ります。2つ目は、マイナンバーカードなどデジタル社会の共通機能の整備・普及を目指します。3つ目は、人材の確保と育成のため民間からの登用を試みます。4つ目は、データ戦略です。個人や法人などの社会の基本となる情報を整備していきます。5つ目は、新しいテクノロジーを大胆に活用し規制の改革に取り組んでいこうというものです。

 

デジタル庁に必要なこと

日本全体のデジタル化を進めるには、デジタル庁だけでなくみんなが変化しなければならないという点がポイントです。会社を変えたいと思ってデジタル人材を1人登用したところで、他の仕組みが昔のままでは会社は変わりません。世の中は色々なことが絡み合っているので、全体を少しずつ変えていく必要があるのです。これは国も同じで、経済全体の仕組みが変わったり、働き方が楽しくなる仕組みを作ったり、国全体を変えていく必要があります。デジタル庁はそのきっかけと考えるべきです。大事なのはいろいろな省庁や関係者を巻き込んで、日本全体を良い方向に進めていくことです。

 

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