『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』投資用戸建て、利益率15.3パーセント? 儲けのカラクリを教えてください

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』投資用戸建て、利益率15.3パーセント? 儲けのカラクリを教えてください

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

投資用戸建て、高利益率・・・儲かるならなぜ人に売る?!

今回も、リスナーの方からメールをいただきました。

電信柱に怪しいチラシが貼ってありました。
「特選投資用戸建て 利益率15.3パーセント
 今なら20パーセント超も狙えます!」
そんなに儲かる物件を、なぜ売ってしまうのでしょう。
私が業者なら自分で持ってて儲けます。
ぜひ種明かしをお願いします。

散歩ジャパン(新宿区・55歳・男性)

散歩ジャパンさんからは、メールでチラシの画像も添付いただいたんですが・・・。
もう、見るからに怪しいチラシでした(笑)。

個人的には、電信柱に貼ってあったチラシを鵜呑みにして何千万円もする買い物をしてしまう人が本当にいるんだろうかと思ってしまいますが、まあ、それは置いておいて・・・(笑)。

自分で運用するには限度がある

最初に、「なぜ自分で物件を持って運用しないのか」というのは、業者さんそれぞれに理由があるかとは思いますが・・・。

一つあるのは、リスクの分散でしょうね。

自分で物件の全てを購入する場合、銀行等から購入資金を借りなければなりませんが、借りられる金額には自ずと限度があります。
それから、物件を自分で持てば、運用にかかわるリスクを丸ごと背負ってしまうということもあります。

そこで、資金とリスクは投資家の人に負担してもらって、自分自身は仲介料や媒介料、あるいは、物件の管理料、ときには、良い物件を安く仕入れて高めの価格で売り抜けるといったことで、ビジネスにしていくわけです。

「利益率」にはご用心!

投資用戸建てのチラシを見たときは、注意するべきポイントが二つあります。

一つ目は「利益率」という言葉。

実はこの言葉、学術的に定義が決まっている言葉ではないんです。
ですから、何をもって利益率とするかは、業者それぞれが独自に決められるわけですね。

で、この手のチラシで多いのは、「今年の家賃収入を、物件購入額で割った値」を利益率とするものです。

たとえば、3000万円で現金一括購入した物件から、毎月10万円の家賃収入が得られるとしましょう。
3000万円割る、10万円の12ヵ月分(120万円)は、0.04。
だから、「利益率」は4パーセントだ、というわけです。

一見もっともらしいように見えなくもありませんが、これで「1年に4パーセントも儲かるのか!」と考えた人、要注意です。

家賃収入から、「費用」を引いていますか?

というのも、入ってきた家賃収入のうち何パーセントかは、元本(不動産)購入費用の回収に充てなければいけませんよね。

不動産を売却したとしても、売った時より高く売れることはまずありません。
少なくとも、購入時の費用と売却価格の差額分は家賃収入を得ておかなければ、
損失が出てしまう。

これが、家賃収入の4パーセントを丸ごと「利益」と考えてはいけない理由です。

ローンを組んで購入する場合はさらに注意

さて、この手のチラシで気をつけるべきことの二つ目は、ローンを組んで不動産を購入することが前提になっている場合が多いこと。

たとえば、3000万円のローンで、頭金500万円を出して2500万円のローンを組んだ場合、正味の投資額は500万円だと考えます。

家賃収入が月10万円なら、500万円の投資額で、年間の収入は120万円。「利益率は24パーセント」と書けてしまいますね。

利益率はいくらでも上げることが可能!?

借入額や金利を調整すれば、「利益率」はいくらでも上げることができてしまうことも抑えておきたいですね。

たとえば、頭金500万円を出して、年間家賃収入が120万円の物件を、2500万円のローンで購入したとしましょう。
メールでいただいたチラシにあるように、「利益率」を15.3パーセントに設定する場合を考えてみます。

実際の物件や投資の条件に関係なく、利益率は設定できる?!

まず、15.3パーセントの「利益率」を得るためには、120万円もの家賃収入は必要ありません。76.5万円あれば、15.3パーセントの「利益率」が得られます。

とすると、120万の収入のうち、残りの43.5万円は費用(ローンの金利)に使えますね。

計算してみると、年間の金利が1.7パーセント程度のとき、ローンは約43.5万円になります。

つまり、1.7パーセントで住宅ローンが借りられると仮定すれば、実際の物件の条件に関わらず、「利益率15.3パーセントの物件だ」と言えるわけですね。

なんだか目眩しに遭ったような気分ですが・・・。これを、金融用語で借り入れの「梃子の効果(レバレッジ効果)」といいます。

怪しいチラシなら、まだ良心的かも

最後に、気をつけるべきことですが。

今回お便りをいただいたチラシは、いかにも怪しかったのですが(笑)、世の中には「怪しくないチラシ」で、知識のない人を騙そうとしている業者はいくらでもあります。

うまい話があってもすぐに飛び付かず、まずはよく条件を確認してみることが必要かもしれません。

今回は、投資用戸建ての「利益率」のカラクリについて考えました。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介してい
ます。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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