「空き家再生賃貸業」を手がける中小企業診断士のお悩みは…『長尾一洋 ラジオde経営塾』7月18日(月)放送

「空き家再生賃貸業」を手がける中小企業診断士のお悩みは…『長尾一洋 ラジオde経営塾』7月18日(月)放送

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約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答!
今回は全国で増加している"空き家"を活用したビジネスを展開している中小企業診断士の方からのお悩みです。

■「空き家再生賃貸業」の資金調達と事業展開
ラジオネーム『Hideglory』さんからは3つのご相談が届きました。
職業:自営業/中小企業診断士
業種:空き家再生賃貸業

(1)事業が広域に及ぶため、取引先金融機関の営業エリアとの兼ね合いで、事業資金の調達に手間がかかることが悩みです。
(2)また、物件1軒あたりの評価額が200~300万円程度のものが主力なので、ノンバンクの融資基準にも沿わないケースがあります。
(3)我が国の空き家軒数は膨大(800万軒以上)なので、自社事業だけでは限界があり、再生貸家のオーナーを目指す方にご協力を求めたいと考えています。
長尾先生のアドバイスをいただければ幸いです。

■空き家の軒数はうなぎのぼり
現在、”空き家”の増加が全国的な問題となっています。野村総合研究所の発表によれば、2033年には空き家の数は2,170万戸にものぼると推計されるとか。同年で総住宅戸数はおよそ7,130万戸に増えると考えられており、空き家率は現在の13.5%から30.4%にも上昇すると想定されています。

これを減らすために重要なことの1つが移動人口の拡大(移住や住み替え、買い替えなど)。民間事業者による新規ビジネスの創造が求められていると言います。

Hidegloryさんが取り組まれている空き家再生賃貸は、まさに必要とされているビジネス。長尾社長はどのようなアドバイスをしたのでしょうか?

 

■3つのお悩みをまとめてスピーディーに解決するには?

長尾社長が提案したのは、3つのお悩みをスピーディに解決する方法です。

(1)金融機関とのやり取りの問題と、(2)融資の受け方はほぼニアリー。
さらに協力者を求めたいという(3)のご相談をまとめてクリアするには、フランチャイズとまではいかずとも、空き家再生賃貸ビジネスをやってみたい人を全国で集め、ノウハウを共有しながら一緒にやっていくのが良いとのこと。
ご相談者さんが手がける物件の評価額が200~300万円。びっくりするような初期投資額ではないと考えられるので、副業や兼業として興味を持つ人も多そうです。

長尾社長:自己資金で数百万は持っているような人たちがやれば、初期は融資がなくても行けるでしょうし。そういう形で行かれるのが、スピードも早いし融資の問題もクリアされて行くのではないかと思いますけどね。

■独自のノウハウの確立が必要

ご相談者さんのビジネスの成功のためには「ノウハウがきちんと確立されていること」が重要だと長尾社長は考えます。

空き家をリフォームやリノベーションし、賃貸や転売に出すというビジネスは、すでにある程度一般的になっており、専門の業者も存在します。
その中で現在ご相談者さんのビジネスが、ある程度うまく回っているのなら、やはりなんらかのノウハウをお持ちだと考えられます。
例えばリフォームやリノベーションのコツ。あるいは膨大な数の空き家の中から利益を生む物件を選ぶ方法などです。
そのノウハウを活かし、「よくわからないけれどやってみたい」という人たちとセットで取り組んで行くのが大切です。
ただしトラブルにも注意が必要で…

長尾社長:フランチャイズのように加盟金がいくらロイヤリティがいくら…とか言い出すと、こういう小口の商売ではトラブルも多いもの。安めに良心的にやってあげて「お互いwin-winで行きましょう」という感じで進めて行くことができれば、そんなにハードルも高くないんじゃないかなという気がしますけれどね。

■後続が真似しづらい仕組みを考える
さらにビジネスを展開していく際に気をつけたいのが「真似される」ことです。
うまく行っている商売はすぐに真似されるもの。仲間を募集する広告や、資料請求の際の送付資料、ホームページなどを出すなら、当然ノウハウやビジネスモデルについて書かざるを得ません。
長尾社長:FCにするなら収益モデルまで出すことになります。本当かどうかは別としてもね(笑)。

それらの情報は、少しその業種を知る人が見ればビジネスモデルがわかり真似されてしまうのが常道。後続が模倣しにくい仕組みを盛り込んでおくのが重要だと長尾社長は考えます。

例えば、特定の金融機関とパイプを持って、融資を付けやすくしてあげて差別化するのも1つの方法(やりすぎると問題になるので気をつけろよ、というところですが/by長尾社長)。
また空き家再生の工夫であれば、水回りリフォームのプリパッケージ化なども挙げられます。仲間を増やせば、量が増えてローコスト化することが可能。数が回るなら標準化したパッケージを作って安価で提供することができます。
これらは他の人が見て「こうやってやるんだな」とは分かっても、いざ真似しようとすると難しい仕組みです。

長尾社長:ビジネスをオープンにしていけば、当然手の内はバレて行きますので、その点は気をつけたほうがいい部分かと思いますね。

■仲間を増やす際の注意点
仲間が増えていくことには、当然リスクもあります。
・ノウハウを教えたら勝手にやられた
・粗製濫造のような質の悪い仕事をされて評判を落とした
そんな事態に陥らないように、ブランディングにも注意を払う必要があります。

 

■人を集める方法には何が良い?
松尾アナ:仲間を増やして行くとき、どんな方法を取ったらいいんでしょうか?

長尾社長:一番いいのは、やはり最近なのでSNSとか。ホームページはもちろん作るとして、SNSなどで口コミのように広げて行くのがいいんじゃないでしょうかね。

人を集めるのにはさまざまな方法や戦術がありますが、ご相談者さんの状況には、地道に広げて行く方法が良いと長尾社長は考えます。

もちろん一気に人を増やしたければ…
「誰でも儲かる!」
「初期投資が少なく、リスクなし!」
「1分間で不動産オーナーになる!」
など、強く煽るような広告を大々的に出せば効果はあると考えられます。
しかしそこで集まりやすいのは、自分で考えられない人や、本部に頼り切るタイプの人々。トラブルの発生も多くなります。

長尾社長:(どちらがいいのかは)難しい部分もありますけどね。
一番いいのは「実は俺こんなことやってんだけど、結構儲かってんだぜ。でも1人じゃ限界あるから、一緒にやる人を探しているんだけどね~」みたいな噂が広がって、1軒、2軒とうまく行った例が増えて来ること。
さまざまなエリアで成功例が出てくれば「首都圏だからできたんでしょ」ではなく「関西でも九州でも北海道でもやっている人がいますよ」となる。地道に広げて行くようにすれば、そんなに大きなトラブルにはならないんじゃないかと思いますね。

■Hidegloryさんへの回答まとめ
・フランチャイズとまでは行かずとも、空き家再生賃貸業をやってみたい人を集めノウハウを共有しながら一緒に取り組む。
・必要な初期投資額は多くはなさそうなので、副業や兼業希望者など自己資金で初期投資ができる方々を集めれば、初期は融資がなくても行けるのでは?
・リフォーム/リノベーションのコツ、空き家の選定法など、独自のノウハウの確立は必須。
・加盟金、ロイヤリティなどで参加する人の負担を大きくしすぎると、トラブルの原因に。良心的な設定でwin-winを目指すのが良いのでは?
・他社が真似しにくい仕組みを盛り込もう。例えば、リフォームに安価な標準パッケージを設定したり、金融機関と太いパイプを持つなど。

■長尾社長へのご相談を募集中!
『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。お仕事のお悩みや、経営戦略のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。
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