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水谷加奈のエンタの女王

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Apr02

テイク・シェルター

テイク・シェルターなーんかいろいろ考えさせられる映画だなあ。
田舎町の工事現場で働く男、カーティスは、
平凡だが幸せに家族と共に暮らしていた。
しかしある日を境に悪夢に悩まされるようになる。
大震災がやってくるという恐ろしい夢。
その夢は日ごとにリアルになっていき、
カーティスは、天災が必ずやってくると信じ込み、
避難用シェルターをつくりはじめる。
仕事まで犠牲にしてシェルターづくりに没頭する
カーティスの姿を見て、妻は心配し、
近所の連中は異常だと笑う。
カーティスの常軌を逸した行動は、
果たして妄想で終わるのか、それとも......。

もしも自分の周囲で、カーティスのような男が
存在したら、たぶん私も、
(この人、考えすぎなんじゃない?)
と思うだろう。
でも、3・11のことを思い返すと、
『想定外』はありえないのだ。
当時、テレビ番組制作に携わる人間が
仕事をほっぽって逃げたことに批難が集まったが、
結局何もなかったというのは結果論でしかない。
その先のことは誰にもわからないのだ。
もしかしたらその人だけが生き残ったかも
しれない。

この映画のラストがそれを物語っている。
静かで地味なパニック映画。
でも実はリアルで恐ろしい現実を物語っている作品。

『テイク・シェルター』
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