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(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。

(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2021年1月25日
1月24日 第446回 放送
「ステイホーム」が推奨され家で過ごす時間が増えたので「エンジョイホーム」という
発想に切り替えて、好物を傍らに置いて読書やテレビ鑑賞を楽しむもよし、部屋掃除で
体を動かすのもよいでしょう。コロナ禍のいま、話題の本がドイツ人作家ミヒャエル・
エンデのファンタジー作品『モモ』です。なぜコロナ禍で注目されるのかを探ります。
ミヒャエル・エンデの『モモ』は1973年に発表された児童書です。子どもが理解で
きるように易しい言葉を使っていますが哲学的な表現もあり400ページの大著です。
『モモ』のあらすじ。廃墟となった円形劇場に住みついた女の子モモの特技は「傾聴」
町の人がモモに話を聞いてもらうと、硬くなった心が和らぎ、悩みは消えていきます。
ある日、町に「灰色の男たち」が現れ「時間をムダにしてはいけない!あなたの時間を
時間貯蓄銀行に預けると良い」と言葉巧みに誘って、町の人から「時間」を奪います。
そこで、モモは奪われた町の人の時間を時間貯蓄銀行から取り戻そうと奮闘する物語。
「時間を節約する」ということは、ムダな時間を全て削ぎ落して動き続け、倹約第一、
効率至上主義になります。人は「時間節約によって将来は保証され、幸せになれる」と
思いこまされるが、実際には人間関係がギスギスして不機嫌になり、怒りっぽくなる。
ムダとされる友人との会話も、読書や芸術鑑賞も、ぼんやり考えるひと時も全ては人間
にとって「必要な時間」であることを示唆しています。短い「あとがき」でエンデ自身
が記しています「過去に起こったことのように話しました。でもそれは将来起こること
としてお話してもよかったんです」と。半世紀前に書いたエンデの洞察力に感心します
が、コロナ禍こそ「会話が大事」であり『モモ』が注目されている理由が分りました。
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2021年1月18日
1月17日 第445回放送
「阪神・淡路大震災」から26年を迎えました。発生直後の神戸市に「諏訪中央病院」
からは医師と看護師が派遣され、在宅ケアを中心に支援したことを紹介した鎌田さん。
コロナ禍で規模を縮小して行われる追悼行事からも震災の記憶や教訓は伝え続けられる
という思いを新たにしました。今回は『鎌田&村上が読んでおススメの本』特集です。
鎌田さん推薦。望月智之著『2025年、人は「買い物」をしなくなる』は、5年後に
店舗の商品棚から買い物する人は減り、多くの人がスマートフォンの中にあるデジタル
の棚から買い物するため、多くの企業の命運を握るのは「デジタル棚」になると予測。
店員の役割は商品陳列やレジ係から、商品をアピールする能力を問われる時代になる。
もう1冊は全5編すべての主人公が小学生という伊坂幸太郎著『逆ソクラテス』です。
村上さん推薦。門井慶喜著『銀閣の人』は、銀閣寺を構想した室町幕府八代将軍の足利
義政に焦点を当て、銀閣寺に義政がどんな思いを込めたのか、独自の考察をした小説。
義政は政事でなく文事で名を残そうと「応仁の乱」の最中に当代一流の才能を結集した
一大文化プロジェクトが「銀閣寺」でした。永遠の政治はあり得ないが永遠の文化なら
あり得ると信じ、五百年以上経た今も「銀閣寺」は注目を集める存在であり続けます。
『競輪という世界』は、轡田隆史・堤哲・藤原勇彦・小堀隆司の共著。競輪の醍醐味や
知られざる魅力、レジェンド選手のヒューマンストーリーなど競輪を縦横に語る1冊。
夏目漱石『吾輩は猫である』に登場する自転車の逸話は、漱石の英国留学中の思い出。
村田英雄『王将』誕生の陰には競輪のジャン(打鐘)があった。日本のコンピューター
(電算機)産業を支えた競輪の補助金。競輪は五輪正式種目でメダル期待の競技など。
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2021年1月12日
1月10日 第444回放送
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、政府は7日に東京・埼玉・千葉・神奈川の
「1都3県」を対象として2度目の「緊急事態宣言」を発令しました。感染者を減らし
医療体制が破綻するリスクを下げることに主眼を置いています。コロナ対応に批判的な
声もありますが医療者の鎌田さんは「事ここに及んでは、協力しながらコロナ禍を過ご
すのが大事です」といいます。今回は『この時季におススメの音楽』をお届けします。
帰省や初詣など年末年始の慣例行事が感染拡大防止のために自粛や中止、小規模実施と
なりました。さだまさしさんも恒例の『年越しカウントダウンライブ』を急遽中止して
それに替わる『ゆく年くる年 さだまさし 生配信』と銘打った「無観客配信ライブ」を
実施しました。そんなさださんが「幾つになっても郷土へ帰るのはいいもんだ」と歌う
年末年始の両親の姿を描いた『寒北斗』をお届けします。続いては鎌田さんの十八番で
もある北原ミレイさん歌唱の『石狩挽歌』です。作詞をしたなかにし礼さんの訃報が年
の瀬に届きました。番組ゲストにお迎えしたときは「再発がんに克つ」を話題に如何に
生きるかを語りました。旧満州生まれで終戦時に死線を越えて帰還したという過酷な引
き揚げ体験があり反戦を訴える人でもありました。満州から引き揚げてきた中西一家は
小樽の朝里浜に居を構え、家を担保に入れてニシン漁をしましたが事業に失敗して一家
離散の憂き目にあいました。そんな少年時代の過酷な想い出が詞に込められています。
3曲目は『宗谷岬』です。北海道の宗谷岬にはサハリンの方角を眺める間宮林蔵の像と
「日本最北端の地」という碑が建っています。作曲家の船村徹さんは宗谷岬に特別の思
い入れがあり作品を発表。現地の「音楽碑」でも流れている歌唱は千葉紘子さんです。
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2021年1月 4日
1月3日 第443回放送
令和3年はコロナ禍で不安と期待、除災を願う年明けとなりました。今年の干支は辛丑
(かのとうし)です。十干十二支はそれぞれ植物の一生を表しており「辛」は「草木が
枯れ新しくなろうとしている状態」で「丑」は「種から芽が出ようとする状態」とか。
新たなスタートの兆しを感じますが、時代の変わり目を察知した鎌田&村上対談です。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が予想外の展開を余儀なくされました。
海外ではワクチン接種が始まりましたが、いつ禍から回復できるのかが気になります。
米国は自国第一主義から国際協調を重視する政権に交代し国際社会は転換期を迎えます
が、そんな中での世界的な「脱CO2」の動き。2050年までに「温室効果ガス排出
を全体としてゼロ」にする「脱炭素社会の実現を目指す」と日本政府も宣言しました。
自動車についてはガソリン車から電気自動車へという世界的な規制が動き出しています
が、現在各国が打ち出しているCO2実質ゼロ目標や、ガソリン車新車販売禁止の目標
については、理念が先行して議論が不足しており、ある程度の現実路線に軌道修正する
時期が来るという見方もあります。鎌田さんは日本が世界をリードしてきた自動車産業
がこれからも先頭を走り続ける為には今年から真摯に取り組む必要があるといいます。
また、デジタル化が進む年になるだろうと予測。更に個人的には新年を機に「らしくな
い生き方」をしようと決意し"へえ鎌田はこんなことをするのか?"と言われるような
1年にしたいと吐露。コロナ禍の間に新しい人間を目指してモデルチェンジするとか。
一方の村上さん「今年も嬉しいことばの種まきをして日本中に笑顔の花が咲く手伝いを
する所存」と抱負を語ります。辛の上の亠を土に替えれば幸になります。幸多き年に!
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