アメリカの人も危機は感じる。それでもトランプ大統領が支持される理由
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、5月21日の放送に経済思想家で東京大学大学院准教授の斎藤幸平が出演した。4月に出版した新刊『人新世(ひとしんせい)の「黙示録」』について、また2020年に『人新世の「資本論」』を出版してからの世界の変化について語った。

大竹まこと「(アメリカで生活してきた斎藤に)アメリカで暮らしていると、完璧にマイノリティだというのは、街に出るとすぐ感じるでしょう」
斎藤幸平「僕がアメリカにいたころよりも、いまの状況はたぶん、もっとひどくなっています。街を歩いているだけでICE(アイス)に捕まる、みたいな人たちも出てきて。まだ日本はそうなっていませんけど、ピーター・ティールが高市(早苗首相)さんと会って、監視技術が入ってくるかもしれない、という気配がある」
大竹「うん」
斎藤「そういう技術、テクノ資本主義の問題点があり、気候変動が悪くなっていく。左派がどういうビジョンを出していくのか。『人新世の「資本論」』(2020年出版)はすごく読まれてありがたかったけど、5年経って状況が変わる中で、もう一度アップデートして打ち出したのが、今回の『人新世の「黙示録」』です」
大竹「前に出した御本でいろいろ書いたけど、そのときの内容は甘かったのでは、と今回、反省されていますね」
斎藤「甘かった。コロナ(禍)のときに『人新世の「資本論」』を出して。あのときエッセンシャルワークや気候変動の問題も含め、いまの資本主義でなんでも民営化したり、お金儲けにしたりするのは良くないね、と。これからもっと大変な問題が起きるなら、そこに向けて世界で団結していこう、という機運がけっこうメインストリームになっていたというか。SDGsなんかはその証だと思うんですけど」
大竹「うん」
斎藤「それでは足りないから、もうワンプッシュしよう、ということで僕はマルクスとかを使って、ある種、ポスト資本主義に移行して脱・成長しよう、と言った。でも結局、この5年間、コロナのあとの世界って全然、そういう方向に進まなかった」
青木理「むしろ逆に向かっている、ということですね」
斎藤「そこは甘かった。トランプ(米大統領)さんがまた選ばれるなんて思わなかったし。そういう中で彼らは、きれいごとを言っていてはダメだ、コロナで学んだだろう、と。これからの地球は過酷な状況になる。いままでのような、戦後レジームみたいな成長もあって民主主義も平和もある、みたいな世界は終わったんだ、と」
大竹「うん」
斎藤「いろいろなところで資源の奪い合いは起きる、成長も停滞していく、格差も広がっていく。これでアメリカ、ロシア、中国がどう生き延びるのか、というのをむき出しにしたら、気候変動みたいな問題を皆で解決しよう、みたいな方法がきれいごと、みたいな状況に化してしまった」
大竹「トランプが気候変動は関係ない、と言っているし。(支持する人は)関係ない、って思いたいんだよ。危機は感じているんだけど、CO2なんかで地球は変わらないんだ、と」
斎藤「おっしゃるとおりだと思います。気候は変だし、不安でしょう。これから悪くなっていく、というところで、認めたくない。悪くなっていく社会でどう生き延びるか、というのを考える。そこに強いリーダーが現れる。俺らが世界を牛耳るからついてこい、という、ある種のポピュリズムです。難民や移民を入れない、国民を守る、みたいなビジョンに惹かれるようになる。僕は『気候ファシズム』と呼んでいます」
このあともアメリカの現状、『人新世の「黙示録」』に込めた思いなどを斎藤が語った。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
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