「迷いなき走り」資生堂・五島莉乃選手〜初世界の舞台へ〜 Track Town JPN

「迷いなき走り」資生堂・五島莉乃選手〜初世界の舞台へ〜 Track Town JPN

Share

ただ走るだけ、ただ飛ぶだけ、ただ投げるだけでない陸上競技の魅力を。日本唯一の陸上『雑談』専門チャンネル『Track Town JPN』

オレゴン2022世界選手権は7月15日から~24日(※現地時間)まで開催されます。

※競技日程はこちらから
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/timetable/

大会2日目(現地時間16日PM0:20:日本時間17日AM4:20)に行われる女子1万m決勝に資生堂・五島莉乃選手が出場します。

世界舞台に初挑戦する五島莉乃選手を、2009ベルリン世界陸上マラソン7位入賞し、資生堂OGでもある加納由理さんがインタビューしました。

 



※写真は@EKIDEN News西本武司さん

 

目次

  1. 「迷いなき走り」資生堂・五島莉乃選手〜初世界の舞台へ
  2. 五島莉乃選手プロフィール
  3. これまでと違った日本選手権
  4. 実業団以降の印象深いレース
  5. トレーニングと競技観の変化
  6. 初、世界選手権はどんな走りを?
  7. 最後に

「迷いなき走り」資生堂・五島莉乃選手〜初世界の舞台へ

 

「迷いなき走り」そんな走りに憧れるランナーは数多くいると思います。

今回インタビューをさせていただいた五島莉乃選手はそんな印象。

昨年12月の「クイーンズ駅伝」を皮切りに1月の「都道府県対抗女子駅伝」、2月の「全日本実業団ハーフ」では、強烈なインパクトを残しました。

相手がオリンピック選手だろうが、経験の差があろうが、積極的に前に出て「その日その時間に自分は出せる力を発揮する」

ものすごいポテンシャルの高さを感じました。

今回は五島選手に「日本選手権の振り返り」をはじめ、ここ数年で変わってきた競技観の話などをしていただきました。

 

@EKIDEN News西本武司さん

 

五島莉乃選手プロフィール

 

1997年生まれ
石川県金沢市出身

星稜中→星稜高→中央大→資生堂

ユニバーシアード・ナポリ大会 10000m 2位
2019年 日本インカレ 5000m・10000m 2位
2021年 クイーンズ駅伝 5区 区間賞(区間新)
2022年 全日本実業団ハーフ 2位
2022年 日本選手権 10000m 3位

 

【これまでと違った日本選手権】

 

※EKIDEN News西本武司さん

 

加納:
まずは、日本選手権お疲れ様!そして10000mの代表に選ばれて本当におめでとう!!今回の日本選手権10000mは、3位以内に入れば世界選手権の代表が内定するという状況だったけど、とても積極的な走りをしてたよね。私は見ていてすごいなぁと思ったんだけど、実際にどういった想いで走ってたの?

五島:
私の持ち味は前半から積極的に前に出る走りをするところなので、いつも通りのレースを心がけました。ただ日本代表が決まるレースでしたので、気持ちの面で構え方が全然違ったと思います。レース中も順位がすごく気になって、何度もスクリーンを確認したほどです。

加納:
そりゃ気になるよね。レース中に競ってたのは廣中さんや萩谷さんっていうオリンピアンだったしね。

五島:
2人ともとても強い選手ですが、それ以上に”東京オリンピックに出場している”というところでの経験の差を痛感したレースでもありました。7000mを過ぎて苦しくなり始めた頃に、前の二人との差がついてしまって対応できなくなりましたし、そこはまだまだ力不足だなと思っています。

加納:
今、経験値って話が出たけど、10000mって何レース走ったことあるのかな?

五島:
実業団に入ってからは3本目になります。日本選手権自体は資生堂に入社後初めての出場です。

加納:
まだ10000mのレース自体全然走ってないんだね!まだまだこれからって感じだね!今回の日本選手権は、レース前もレース中も含めて、これまでとは全然違ったレースになったんじゃない?

五島:
はい。レース後は3位に入れてホッとした気持ちが大きかったです。「私が世界選手権に出られるの?」という不思議な気持ちが今もまだあるのですが、いろいろな人たちからおめでとうと言ってもらえたことが素直に嬉しかったですね。初めての世界選手権だからこそ、恐れずに挑戦したいと思います。

 

【実業団以降の印象深いレース】

 

 

加納:
実業団入って以降で印象深いレースは?

五島:
今回の日本選手権も印象深いレースの1つですが、去年のクイーンズ駅伝は印象に残っています。

加納:
駅伝、すごくいい走りしてたよね。これまでの五島さんは、あんまり後半区間を走る印象がなかったんだけど。

五島:
確かに、これまで駅伝では1区とか前半区間が多かったかもしれません。

加納:
クイーンズ駅伝では、タスキもらった時点では積水化学の新谷さんが前にいたけど、1人で後ろから追いかける展開になったよね。あの時、五島さんはどんな気持ちで走ってたの?

五島:
クイーンズ駅伝の時は夢中で走りました。タスキをもらった時点では、デンソーの小笠原朱里選手がすぐ前にいたので、まずは小笠原選手をターゲットにしました。小笠原選手を抜いてからは中継車が見えてきたので、ずっとその中継車を追いかけるように走りました。ひたすら前を追いかけましたが、先頭を走る新谷さんの姿はなかなか見えませんでした。

加納:
相手が新谷さんだからね。ちなみに、私の趣味寄りの質問なんだけど、新谷さんを後ろから追いかけるってどんな気分だった?

五島:
前の年にすごい区間記録を出してる選手ですし、走る前は「新谷さん相手だと敵わないかも・・・」という怖い気持ちもありました。ただ、タスキを受けてからはしっかり気持ちを切り替えて、「ここで前に離されるわけにはいかない」という思いを持って走りました。

加納:
自分の視界から遠くならないように追いかけてた感じね。

五島:
そうですね。チームとして「優勝」という目標があったので、自分のところで差を広げられたら、それが叶わなくなるのは分かっていましたので、ひたすら追いかけるしかなかったです。これまで私は陸上競技をやってきた中で、駅伝で優勝を狙うチームに所属したことがなかったので、「優勝」、「上位でレースを進める」という目標を持つチームにいることで責任感が生まれ、それが力になりました。

加納:
確かに、駅伝はみんなでチームを作っていくとか、個人の時にはないプレッシャーとかあるから怖いけど面白いよね。

 

【トレーニングと競技観の変化】

 

※EKIDEN News西本武司さん

 

加納:
陸上競技を始めたのはいつ頃から?中学の時にはすでにいい記録を残してたよね!?

五島:
陸上競技を始めたのは小学校5年生の時からです。金沢市小学生陸上教室という地域のクラブチームに通っていました。決して競技色が強いわけでなく、楽しく走ることを大切にしていたチームでした。本格的には陸上部に入った中学からです。

加納:
日本選手権の時にもすごく応援してくれたんだよね。小・中・高・大・社会人と陸上をやってきて、学生時代(主に大学時代)とのトレーニングの違いってどんなとこ?

五島:
資生堂に入社してからは、陸上競技というものに対しての責任感はだいぶ変わりました。競技に対する姿勢、結果に対しての重みというところでは学生の時と随分違うなと感じています。

加納:
学生の時も、もちろん真剣に競技はやっていたと思うんだけど、楽しくやっているという部分の方が今より大きかった感じかな?

五島:
学生の時もしっかり結果を残したいという気持ちはあったのですが、「みんなで力を合わせて頑張ろう」という思いのほうが強かったですね。今は、仕事としての陸上競技という側面がありますので、楽しいだけではダメで、競技者としての自覚を持って取り組んでいます。

加納:
競技に対しての気持ちの入れ方とか、外的な要素で言うとトレーニングも変わったというとこもあるんじゃないかな?

五島:
はい、練習で言うと量も質の高さもだいぶ変わりました。学生時代までは、あまり追い込んだ練習をしてきていなかったので、そこは大きく変わったところです。あとは、パーソナルトレーニングでフィジカルの強化もするようにもなりました。

 

【初、世界選手権はどんな走りを?】

 

※EKIDEN News西本武司さん

 

加納:
来月(※インタビューは6月下旬に実施)、世界選手権が控えていて、本番はどんな走りがしたいとか、世界選手権後にどんな気持ちになっていたいとか、思い描いているイメージはある?

五島:
具体的な順位やタイムはまだ自分の中ではイメージできていません。世界選手権のようなスケールの大きい大会自体が初めてなので、まずは、世界のトップランナーとどこまで戦えるのかというところと、自己ベストを狙っていく走りを目指したいと思います。

加納:
いつもとは違う雰囲気の中でのレースになると思うからね。確かに、世界選手権で自己ベストを出せると選手としても、大きく前進できる手応えになりそうだよね。

五島:
はい、今回の世界選手権は学びの部分も多いと思いますし、雰囲気を楽しみつつ、自己ベストを目指したいと思います。今の気持ちは、楽しみ7割、まだ予想がつかない部分が3割という感じです。

加納:
競技場の雰囲気も良さそうだし、面白いレースになるといいね。レースが終わった後、こうなっていたらいいなってのはある?

五島:
心残りがないレースにしたいと考えています。世界選手権での経験を通して自分自身だけでなく、周りの方々にも「成長したな」と感じていただけるようになっていたいと思います。

加納:
目標が明確になるとか、自分にとってこれが必要だなというものが見えてきたらいい感じ?

五島:
はい。具体的なものまでが見えるというところまではいかないかもしれませんが、世界選手権を通して海外の選手との力の差や、そのレベルに追いつくために何をすべきかなどを自分の中で感じ、意識できるようにしたいです。

加納:
国内でのレースとは全く別のものに感じるかもしれないし、そこは数踏まないと掴めないところもあると思うからね。まずは、世界選手権の雰囲気を楽しんできてくださいね!

 

【最後に】

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際に五島選手と話をさせてもらっての印象は、積極的に前を突っ走るレーススタイルと逆の印象でした。

競技の時はグイグイと積極的に、普段の姿はおっとりしている。そのバランスこそが、うまく競技に生かされいるのかも知れませんね。

五島選手は今回、初世界選手権、本人にとっても久しぶりの海外レースにもなると思います。緊張感と大会の雰囲気を楽しんできてもらいたいと思います。

この記事が1人でも多くの方に読んでいただけると幸いです。

 

加納由理(2009ベルリン世界陸上マラソン7位入賞、ランニングアドバイザー)

加納由理さんのnoteはこちら
https://note.com/kanoyuri/

加納由理さんが出演するTrack Town JPNを聴く
https://podcastqr.joqr.co.jp/programs/track

Share

関連記事

この記事の番組情報


Track Town JPN

Track Town JPN

Podcast

その他の主な出演者
CLOSE
その他の主な出演者

ただ走るだけ、ただ飛ぶだけ、ただ投げるだけでない陸上競技の魅力を。日本唯一の陸上『雑談』専門チャンネル『Track Town JPN』

ページTOPへ
// 2022.04.28追加