「外国人を人間として見ない」ウィシュマさん死亡問題でジャーナリストが“入管”の闇を掘り下げる

「外国人を人間として見ない」ウィシュマさん死亡問題でジャーナリストが“入管”の闇を掘り下げる

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入管施設で去年3月に亡くなったウィシュマ・サンダマリさん訴訟の「違法性なし」判断に対し、7月25日の大竹まことゴールデンラジオに出演したフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは疑問を投げかけた。

大竹まこと「名古屋入管で亡くなったスリランカのウィシュマ・サンダマリさんについて、6月17日に名古屋地検は当時の入管関係者を不起訴にしました。これについてどうお考えですか?」

安田菜津紀「私自身は、あってはならない判断だったと感じています。ただ誤解を恐れずに申し上げるなら、この判断自体に驚きはしていません。「やはりか」と思いました。色んな報道でも指摘されていますが、2007年以降だけでも入管の収容施設で亡くなった方は17人。うち5人が自殺でした。しかし関係者が重い処分を受けたケースは1つもないですし、まっとうな検証がなされたこともありません。そして今回、ウィシュマさんが名古屋入管で最後に過ごした居室のビデオが約2週間分あるとされて、大切な証拠であるのは明白なのに、捜査をしている名古屋地検が名古屋入管に証拠などを取りに行ったのは、ウィシュマさんが亡くなられて半年たったときだったんです。そういうところからも、どこまで捜査に力を入れているんだろうかと疑問に思っていました。ただやはり「嫌疑なし」の不起訴という判断はいかがなものかと思います。全く問題ないということですから。」

大竹「収容中のウィシュマさんに対し職員が耳を疑うような冗談を言ったということも分かっていますね。」

安田「ウィシュマさんは昨年の3月6日に亡くなっていて、入管庁が出した報告書によると前日の時点で脈や血圧といったバイタルチェックが測れない、反応もほとんど示さない状態になっていたんですが、それでも救急車を呼ぶ判断はしていません。また亡くなる前の月の2月15日には尿検査で飢餓状態を示していたと指摘されていますが、それでも緊急措置をしていません。ウィシュマさんを救えたかもしれない機会をことごとく逃しているということが、これまでわかってきているのですが、これを踏まえても「嫌疑なし」の不起訴で全く問題ありません、という判断がなされたのは、なぜなのでしょうか。」

大竹「安田菜津紀さんが、ジャーナリストの安田浩一さんと共著した「外国人差別の現場」という本では、この日本という国のいろいろな部分が崩れてきているとお書きになっていますね。」

安田「これは安田浩一さんが、より指摘されているところで、そもそも入管はどうやって成り立ったのかを考えると、戦中戦前は外国人の出入国を管理していたのは特高警察だったんですね。そして日本の敗戦後、公職追放を免れた特高警察の一部の人間達が、少なからず入管という組織に合流していったと指摘されています。つまりこの国に生きている日本国籍以外の人達を、生活の主体・人権の主体とするのではなく、外国人を管理・監視しようとして、それによって…括弧付きでお話しますが「治安維持」をしようというところから大きく脱却できないまま今に至ってしまったわけです。ウィシュマさんの事件にしても職員等の態度や言葉を辿っていくと、体調が悪化しても「外に出たいからわざとやっているんではないか?」という疑いの目で一部の職員が見続けてきた。つまり「外国人は嘘をつくのではないか」という目線から脱却できなかったことも、ウィシュマさんが命を奪われた一因になったのではないかと感じています。」

大竹「普通の人が見ても体調を崩しているかぐらいは分かりますよね。」

安田「収容されている外国人の人たちを、そもそも人間として見ない組織というのは、結局そこで働く人たちに対しても非人間的であることを求める組織になってしまっていると思います。一度立ち止まって、この仕組み自体を根本から解体しよう、見直そうというところから始めない限り、また同じような事件が起きてしまうのではないかと危惧しています。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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