執行失敗で「もう一度」は異常か。アメリカで起こる死刑論争

執行失敗で「もう一度」は異常か。アメリカで起こる死刑論争

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月14日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。アメリカで論争が起こっているという、2つの死刑の問題を解説した。この記事では、テネシー州で死刑執行が失敗したという女性死刑囚の話題を抜粋する。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「アメリカのテネシー州で死刑執行の際に致死量の薬物を2回も注射されながら生き延びて病院に搬送された女性死刑囚がいます。退院して過去30年間、暮らしてきた刑務所に戻った、ということです」

小倉孝保「私はアメリカに行っているとき、2007年から2010年までニューヨークの特派員をしていました。集中的に死刑問題を取材して。2008年には、日本人を殺害した罪で死刑判決を受けて執行された男性の薬物注射での執行現場にも立ち会いました。『(注射されても)死ななかった』という人のニュースは、納得する感じがあったんです」

長野智子「はい」

小倉「いまアメリカで、憲法との兼ね合いで死刑を行えるかどうか議論されています。アメリカの連邦憲法は残虐で異常な刑罰を禁じているんですよ。死刑はそれに合致するのか、と。1972年から76年まで、憲法に反するからと全米で死刑が止まったことがある。それぐらい残虐で異常な刑罰と死刑をどう適合させるか、という議論が続いている。1976年になぜ死刑が復活されたかといえば、薬物注射という新しい執行法ができたから」

長野「まだ死刑する州のほうが少ない?」

小倉「27州ほど、制度としては残しているんです。でも恐らく、毎年のように死刑を執行しているのは10州にも満たない。カリフォルニアなんかはまだ死刑判決が出せるけど、長い間、執行はしていません。そういう州がかなりある。テネシーはそこそこ、している、制度を維持している州です。薬物を注射することによって執行、と。今回、女性に対して行う、というのはテネシーでは珍しかった。200年ぶりぐらいだったんです」

長野「ええっ?」

小倉「執行前から現地では話題になっていました。僕も注目していたけれど、そこに全然違う観点からニュースが飛び込んできた。未遂というか、死刑を充分に執行できなかった、と。それでいま大騒ぎになっている」

長野「結局、生き延びた」

小倉「致死量に達する薬剤を入れたはずなのに、なぜか亡くならなかった。さすがにこのままの状態にはしておけない、ということで女性死刑囚の体を今度、病院に運んで治療したんです。薬剤を抜いて。すると数日後に意識を取り戻して、いまは元の刑務所に戻した、と」

鈴木「『ここはどこ? 私は誰?』状態のようです」

小倉「気がついた当初はそうだった。いま問題になっているのは、この人に2回目の執行ができるのかどうか。憲法は残虐で異常な刑罰を禁じている。この人は執行されたわけです。しかもかなりの恐怖心を味わっている。もう一度、というのは異常にはならないか、と」

長野「なるほど」

小倉「僕の感覚では、もう一度というのはできないと思う。あまりに世論の反発が大きくて。このテネシー州は今年、予定されていた執行はすべて停止した。殺せないかもしれないから。僕がアメリカにいるときも、いくつか執行失敗はあったんです」

番組では、さらに死刑執行の失敗について小倉が解説した。また、2009年に死刑判決を受けた元・陸軍少佐の銃殺刑が生配信される可能性がある、という問題にも言及している。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時~5時、火曜~金曜午後3時~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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