雇っているのに、仕事も居場所も与えない。「障害者雇用ビジネス」の問題点
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。9月9日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、日本の企業の一部に横行する「障害者雇用ビジネス」に関する問題について語った。
勅使川原真衣「今日は『障害者雇用ビジネス』の話をしようと思います。
この7月に障害者の雇用率が2.5%から2.7%に上がったニュース……確かラジマガ水曜の冒頭のニュースで取り上げましたね、記憶に新しいです。
民間企業だと従業員37.5人以上の企業に障害者雇用義務というのは発生します。
数字だけ見ると2.5%から2.7%に上がるっていうのは、誰もが働ける場を増やすという前進感がありますよね。ですけども『この数字、喜んでいるだけでいいのかな?』というところを、今日は話していきたいと思います。
何を言ってるかというと『障害者雇用ビジネス』というものが、より跋扈しているぞ、というところが気になるんですね」
武田砂鉄「『障害者雇用ビジネス』というのがあるんですね」
勅使川原「そうなんです。ちょっと説明をさせてください。
法定雇用率、これを達成したいんですね、企業というものは。そうすると作業場プラス管理体制をパッケージで企業に売る業者が出てきたということなんですよ。
そして継続的な管理料を企業側から得るという、そういうスキームを持つビジネスのことを『障害者雇用ビジネス』と指します。
なので、企業が障害者を雇用はしてるんですね。賃金もそこで出してるんですけども、障害者が実際に働く場所は、その会社じゃないってことなんですよ。
それは外部事業者が用意した本当に都市型農園と呼ばれるような農園であるとか、サテライトオフィスが職場になります。
これ、代行事業者側のメリットは何かって言ったら、やっぱり雇用って賃金の支払いとか解雇とかいろんなリスクがあるわけですけども、そういったものを全く負わずに雇用企業に負わせたまま、かなり粗利がいい月額管理費のようなものをストックできるっていうところですよね、サブスクで回せちゃう? それがまあおいしいところであると他方で顧客になっている企業側……依頼している企業側のメリットっていうのも自社内で業務を新しく切り出したりとか、合理的配慮の体制を作るって大変だと。そういう労力をかけるよりは、もう何かを払うことによって法定雇用率の達成と、これ達成しない場合はペナルティが発生しますので、そこを逃れようという意図があるわけですよね」
武田「その企業側が『障害者雇用率がどれくらいになってますか?』って問われたら、『いや、クリアしてますよ』っていうふうに言えるようになってるってことですね?」
勅使川原「そういうことですね。なんですけども、こちら厚生労働省が把握してるだけで、2025年10月末時点ですけども、この間に入ってる事業者は『障害者雇用ビジネス』と呼ばれる事業者だけで46事業者あるだろうと。
そして拠点で言うと221拠点ありそうだと。そして利用してる企業ですね、こちら延べ数ですけども、1802社以上確認されているってことなんですよ。
で、働く障害者においては11,141人以上いらっしゃるんじゃないかと言われています。しかもこれ厚労省自身がですね、この数字を把握できた範囲だと。だから実態調査とか全くされていなかったってことなんですよね。
なので、実数はもっと多い可能性を指摘していますので、これ全国の全体像とは言えないですけども、少数の話ではないぞというのがポイントです。
この件っていうのは2022年頃だと思いますけども、参議院の厚生労働委員会などなどで、たびたび問題提起されてきたんですよね。
野放しっていう状態ですので、今年いよいよ厚労省も8月31日に『障害者雇用の質について』という資料を提出しています」
武田「はい」
勅使川原「資料によりますと、これなかなか心が苦しくなるんですけども、こういう実態があるというふうな報告があるんですね。
例えば在宅勤務と称して障害者に資格取得のための自習をひたすらさせる、事実上仕事を与えないまま放置して精神的苦痛を与えたとされる事案であるとか、障害者が農作物とかクラフト品と呼ばれるようなものを農場で作っているわけですけども、それをですね、そのまま廃棄しているという事案もあるわけなんですよね。
だから義務と法定雇用率に従って雇ってはいて、賃金も払ってはいるんだけども、最低賃金に近かったりもするっていう別の問題もあるんですが、故に法定雇用率にはカウントがされると。だけど、組織への貢献であるとか育成なんていうのは、端から期待がされてない、考えられていない。その会社の事業とは全くつながっていないので、本当に法定雇用率のためだけの対応になっているところなんですよね」
武田「とにかくその数値があればいいということなんですね?」
勅使川原「これ個別の事案が直ちに違法だという風に私は断定する立場にはないんですけども、どうですか、毎日出勤しても自分に必要とされる仕事もなく、作ったものが捨てられ、そういう状態が人の尊厳であるとか、働く意欲を傷つけないわけがないですよね。
つまりあの障害者雇用率にだけこだわることで、皮肉なことにですね、ある種合法的な人権侵害が起きているんじゃないかというふうに私には見えます」
勅使川原真衣さんによる「障害者雇用ビジネス」の実態や問題点などについてのお話は、まだ続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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