国立美術館は値上げしても安い。文化庁の動きには疑問
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、11月4日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。国立の美術館の入場料が順次、値上げしていく、というニュースについて見解を示した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「国立の美術館の入館料、大幅に値上げが決まりました。時期は順次スタートで、東京都の国立西洋美術館、あと石川県の国立工芸館といった有名な6つの施設です。10月、既に京都府の国立近代美術館は値上げしています」
佐藤治彦「いちばん我々に身近な美術館でいうと、私は国立西洋美術館だと思います。美術館に行くときって、よく広告で『○○展』とあるのを見て前売券を買いますね。それ以外に常設展という、美術館が持っているコレクション(の展示)があって。国立西洋美術館だとすばらしいんです。松方コレクションという、経済人がもう100年以上前。1910から20年にかけて、ヨーロッパでメチャクチャ買いあさった。いまより高くなる前に」
長野智子「ほう」
佐藤「それを1960年前後に国が手にして、できたのが国立西洋美術館です。中世の終わりから、皆さんご存じのところだとピカソ、ゴッホ、モネ、マネ、ゴーギャン……。こういった、いわゆる西洋絵画の歴史がブワッと見られて。私が思うに、アジアではいちばん良いコレクションを持っていると思うんです。とはいえ常設展って皆さん、あまり来ないからガラガラになりがちというか。これがいままで入場料500円だった。それが1000円になる」
長野「倍!」
佐藤「ネット上では『大幅値上げだ』『これでは美術が見られなくなる』。ただ国立の美術館ってじつは高校生以下、18歳未満、それから65差以上の方は入場無料なんですね。この制度は続くことになっている。ネットで否定的な声が多かったけど、私は『やっと値上げしてくれたか』なんです。なぜかというと。海外へ行って美術を見ることもあるんです。アメリカ、ヨーロッパの常設展の入場料と比べると、日本は異様に安いんです」
長野「ああ」
佐藤「ルーブル美術館や、今度やってくるフランスの様々な美術館の入場料って3000円や4000円。長野さんもよくご存じのニューヨークのメトロポリタン美術館ね。長野さんがいたころは『これぐらいほしいという金額はあるけど、好きな金額を払ってください』という感じだったでしょう。でもいまは違う。しっかり30ドルや40ドルをとる。欧米の美術館は入ろうとすると4、5000円、見ておかないとなかなか入れないんですね」
長野「日本もそういう世界の流れに乗って、ということですか」
佐藤「1000円だとしてもすごく安いんですよ。何を言いたいかというと、日本の文化予算のことなんですよ。高市早苗政権ってアニメや日本のポップカルチャーというものは、世界に売れる大切な日本の輸出品だと考えている。でもそれらのもとになっているものって、日本の美術であり日本の文化です」
長野「うん」
佐藤「では日本の文化庁の予算はどれぐらいかというと、年間で1000億円前後。予算に占める割合は0.01%。でもフランスだと0.45%。ドイツが0.31%。お隣の韓国でも0.34ある。文化庁の予算、1000億円ですけど4割が文化財の保護なんですね。修復などにほぼ使われる。修復したお金は充分にあるのか。今年の夏、熊本県で大きな地震があったでしょう。文化財もダメージを受けた」
長野「はい」
佐藤「しかし文化庁は何をしたか。たとえば高市さんに頼んで、修復のための予算を数十億ください、というのではなく、官民共創による寄附促進事業という、寄付を募集する、ということ。クラウドファンディングを始めた、というのが主なんです。日本の文化に対する重要性をあまりにもわかっていないということですよ」
「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時~5時、火曜~金曜午後3時~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。
関連記事
この記事の番組情報