「首相動静」は誰がどう書いているのか
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、9月3日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。新聞で見かける「首相動静」とは何か、そこで高市早苗首相の就任から多くなった「終日、公邸で過ごす」とはどういうことか、解説を展開した。
長野智子「(首相動静について)こんなもの食べているんだ、こんな人と会っているんだ、というのを見ます。そもそも『首相動静とは?』というところから教えてください」
常井健一「首相の出勤から帰宅までの行動が時系列で書かれていて。会った人、訪ねたレストランやホテルの名前まで掲載されています。ところが高市早苗政権になってから大きな変化がありまして。毎週末、決まった1行が載るようになったんですね。それが『終日、公邸で過ごす』という言葉です。土日ともにそうなんですよ。就任10ヶ月、休日の5割がそういう状態です。公邸で何していたか、というのは新聞に書かれていません」
長野「うん」
常井「そもそも高市さん、めったに人と会食しません。平日も夜7時台に公邸へ直帰します。ところが夜も休日も家にこもって、何しているかわからない。あれだけ働く、働く、と言っていたのに働いていないじゃないか、という意見も当然、出てきます」
長野「休むのは大切だとは言ってもね」
常井「ここに首相動静のからくりが潜んでいて。結論から言いますと『終日、公邸で過ごす』というのは1日、何も仕事していなかった、という意味ではありません。記者から見える範囲では動きが確認できませんでした、というマスコミ側の取材結果報告なんですね」
長野「そこはそうでしょうね。記者たちによって、動静はどうつくられているんですか?」
常井「全国紙や大手通信社の記者がそれぞれ取材してつくっています。『総理番』と呼ばれる人たちが20代で担当することも少なくない。首相のクルマを追ったり移動先で待ち構えたりするから、体力勝負なんですね。一方で、そこには様々なルールも存在して。たとえば総理専用車には警護車両も含めて4、5台の車列が続きます。全車で追いかければ大変な数になる。共同通信と時事通信の2社が代表で同行して。その素材を各社にシェアする、というのが慣例になっています」
長野「官邸の中はどう取材しているんですか?」
常井「首相と官房長官の執務室は最上階の5階にあります。火曜と水曜の朝によく見る閣議、あれは4階です。高市さんが歩いてきて、記者が『おはようございます!』と声をかけるシーンを見かけますね。あれは正面玄関の3階です。ところが記者が自由に行ける場は、ごく限られていて。勝手に首相の部屋へ行ってノックすることは許されていません」
長野「はい」
常井「ではどうやって首相の部屋に誰が出入りしているかチェックするのか。答えはモニターです。記者たちは部屋の前にある監視カメラの映像を別室で確認することはできる。ただし、それが誰なのかは自分で見極めなければなりません。無理ならば、その人が玄関に降りてきた瞬間に直接、質問すると。でも取材を拒む人もいますから、キーパーソンの顔をあらかじめ頭に入れておくことが肝心なんですね」
長野「小泉進次郎さんと滝川クリステルさんが首相に婚約の報告をしに行ったとき、入るときに皆、気がつかなかった。カメラでわかってから待ち構えていた、ということ?」
常井「そうなります。いきなり来る場合はカメラで見て最後に捕まえる、ということがあります。官邸側からすれば、不都合なことは知られたくない。双方の駆け引きが毎日のように行われている。その結果が首相動静、ということです」
長野「熱いものがあるんですね」
このあとも常井が、首相動静に関して解説を続けた。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
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