日本銀行「多角的レビュー」は政策効果より副作用を打ち出したレビュー!?

日本銀行「多角的レビュー」は政策効果より副作用を打ち出したレビュー!?

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12月5日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日本銀行が過去25年間の金融緩和策を検証した「多角的レビュー」の議論について意見を交わした。

「多角的レビュー」は植田総裁にとって地ならし

日本銀行は12月4日、過去25年間の金融緩和策を検証する「多角的レビュー」の一環として、有識者らによる本格的な議論を始めた。レビューは、4月に就任した植田和男総裁が主導する試み。

日銀は、「非伝統的金融政策の効果と副作用」と題する非公開の討論会を開いた。金融政策の専門家である「東短リサーチ株式会社」の加藤出社長や慶応大学の小林慶一郎教授が参加。レビューの最大の特徴は、この四半世紀にわたる金融緩和を広く対象にしていること。

「田中さん、過去25年の金融政策どう評価されますか?」(寺島アナ)

「直近の植田体制になる前の10年くらいはさておき、最初の10数年間に日本の長期停滞をもたらしたのは、“日銀の政策の失敗”と“財務省の緊縮体勢”この二つで日本経済が不況に陥ったんじゃないですかね」(田中氏)

田中氏は日本経済が不況となったポイントは1995年だと指摘する。

「よく1990年代はじめの“バブル経済崩壊”、あるいは1997年の“金融危機”+“消費増税”に注目する人がいるんですが、経済政策を注意深く見てみると、経済が一時的に立ち直った1995年が一番だめだったんです。この時なにをやったかというと、財政政策を十分にやりきれなかった。事実上金融緩和をやめ、さらに将来の消費増税を決めたんです。そういった点で1995年にあと一段階の財政政策を積極的にやれば、1997年に金融危機的な状況があったとしてもその後デフレまではいかなかっただろうと思います」(田中氏)

植田総裁は「多角的レビュー」のねらいで、「もし緩和の効果が期待したほどでなかったとすると、どういう外的条件“やり方のまずさ”が影響したのか分析する」と説明。「目先の政策変更に結びつけるわけではない」と強調している。

ただ市場は言葉通りに受け止めておらず、レビューを金融政策変更の一つの根拠にするのではないか? という見方がある。

「日銀の植田総裁、このレビューをどう活かすか? ですね」(寺島アナ)

「植田さんは頭だけはいいので、レビューがどう受け止められるか、十分知ってると思うんですよ。レビューが自分の政策変更の素材として市場に受け取られることも。つまり地ならしとしてやっていることは明白だと思います。次の金融政策の修正は“マイナス金利の取りやめ”になると思いますが、それだけでは済まないと思うんです。金利について何らかの政策を打ち出してくるんじゃないか? “YCCの取りやめ”と“マイナス金利の取りやめ”を二つ合わせてやってくると思います」(田中氏)

田中氏は『多角的レビュー』の問題点を指摘。

「この“多角的レビュー”に参加する人たちは、明らかに日銀の金融緩和に否定的な人ですよね? 日銀の政策効果というより、副作用を強く打ち出したいのでは? “あまり経営能力がない銀行が儲からなくなった”という副作用に顔を向けたレビューでしょうね。情けない限りです」(田中氏)


「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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