山口二郎「正面から必要性と正当性を主張していくしかない」衆議院選挙、立憲民主党の敗因は〜12月10日「大竹まこと ゴールデンラジオ」

山口二郎「正面から必要性と正当性を主張していくしかない」衆議院選挙、立憲民主党の敗因は〜12月10日「大竹まこと ゴールデンラジオ」

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12月10日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)に、 政治学者の山口二郎氏がゲスト出演し、日本のシステムが古いものになっているとし、先日行われた衆議院選挙について分析した。

11月12日にゴールデンラジオにもゲスト出演した本田由紀氏の著書『日本ってどんな国?』を読んで、わかりやすく日本の現状を表していると話した山口氏。山口が感じたことは。

「私が今63歳で10代のころ、高度経済成長期に正しいといわれていたいろいろな仕組みがことごとく足を引っ張っている。かつての成功体験によってその外に出られなくなっているのがよくわかる。たとえば終身雇用は今は幻想であるにも関わらず、国の税制や社会保険制度は全て長期安定雇用を前提に立てられている。それから女性の役割、立場についても昔の家計補助で少し働くが、女性が家庭の面倒を見るというモデルを前提にして日本の制度はできている。そういった制度から零れ落ちる人間が数多くいる。たとえば、非正規雇用労働者。働く女性の半分以上(が非正規雇用)。政策が追い付いていないために、そういった人はひどい目に合っている」

さらに、今回の衆議院選挙について持論を展開した。

「このままでいいというのが自民党。特に雇用、社会保障、教育。この辺のシステムを転換するという野党の主張があった。自民党政治はある種の正常性バイアスに乗っかっていると思う」

正常性バイアスとはいうけど、非正規雇用者が4割、7人に一人の人が貧困、200万円以下で働いている人がたくさんいるという状況の中で、今のまま将来もずっとこの(閉塞感は)残っていくのではないか。変わりたくても変われない。これ以上ひどくなったらダメだからと国民が思っているから野党が敗北したのでは?と疑問を呈した大竹に対し、山口は立憲民主党の敗因について以下のように述べた。

「しかも、今年の夏は新型コロナウイルスの感染が大変な状態になっていて、実際医療崩壊が起きた。自宅療養という名の放置にもなった。これは人災。こういった政府の対応に対して責任を問うのが今回の選挙の大きなテーマだったはずなんだけど、そういう議論が全くなかった。野党自身、代表選挙をやって自分たちはこうしていくと発表したが、今回の選挙のここが失敗だったという総括は聞こえてきていない。新型コロナウイルスに対する失敗の責任を問う議論ができなかった。人のアラを探すというように指摘されることを懸念して遠慮したんじゃないか」

また、山口は日本維新の会の躍進についてはこのように分析する。

「維新の躍進はメディアがもたらした結果。大阪におけるコロナ対策の失敗は、保健所を減らすとか公立病院をつぶすとか、身を切る改革の中身はセーフティネットを壊すことだった。そこの実態を明らかにするとか責任を問うという議論がなさ過ぎた」

山口は共産党との共闘については、このように述べた。

「小選挙区という制度の上で戦うためには大きな塊を作るしかない。自民党は20年前から公明党と塊を作って戦ってきている。野党側も塊を作るしかない。これが選挙のリアリズム。もう一つ、今まで国会の中での議員立法とか質疑を通して、立憲民主、共産、社民、れいわは共通点もある。それをもとに共通政策を作っている。大義名分はある。未来永劫、共産党とくっつくという話ではない。今の日本のシステムを変えるためには、共産党とある程度協力して共産党の票ももらいながらやっていくしかない。正面から必要性と正当性を主張していくしかない」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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