俳句や短歌、キャッチコピーを聴いてひんやり。番組オススメ「耳涼み」とは?

俳句や短歌、キャッチコピーを聴いてひんやり。番組オススメ「耳涼み」とは?

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7月27日の「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーのテーマは「耳涼み」だった。これは耳にしただけで涼しさを感じられる名文、名句などのことを指す、番組による造語である。

放送では効果音を使わず、文、言葉のみから涼しさを感じられるかどうか。また「ダジャレや怪談などを除いて」というルールで、名文たちを紹介していった。

西川あやの「まず俳句部門です。教科書にも載っている有名な俳人の作品より、スタッフが選りすぐりの『耳涼み』をピックアップしました」

「夏河を 越すうれしさよ 手に草履」

西川「江戸時代中期に活躍した与謝蕪村の名句です」

大島育宙「手に草履という時点で裸足なんだとわかりますね。いま靴下を履いてスニーカーなんですけど、なんとなく裸足の気持ちになりました」

西川「『夏の河』と聞くだけで外が暑くて、水は冷たい、みたいな情景が入ってきますね」

大島「手に草履という子供っぽいところ、ノスタルジーも入っていて。残る句は違いますね」

西川「本当に簡潔ですね。続いて正岡子規の俳句から」

「一匙のアイスクリームや蘇る」

西川「何がいいって、『一口』じゃなくて『一匙』のところで、銀の冷たさを感じませんか?」

大島「手が、指先が、ちょっとヒヤッとする感じもあるし」

西川「背景としては正岡子規が、弟子の高浜虚子の家でもてなしてもらったときの句です」

永井玲衣「弟子におごってもらって『蘇る』じゃないんだよ(笑)。『アイスクリーム』ってカタカナなのがハイカラですね」

続いて「小説部門」として、宮沢賢治『やまなし』、川端康成『雪国』の冒頭部分を西川が読み上げた。

永井「大学のとき国文科の先生に『君たち、「雪国」の1行目言える? 2行目は? 2行目がすばらしいんだよ』と言われてすごく印象に残っているんです。『夜の底が白くなった』って。これがまさに川端が、新感覚派と呼ばれるゆえんですね」

そして永井、大島の“推し耳涼み”を発表。まずは永井が、現代短歌の一作を挙げる。

「終電ののちのホームに見上げれば月はスケートリンクの匂い」

永井「これ大好きなんです、服部真里子さんという方の作品で。終電の息苦しい人混みの中を抜けて、ホームに立って月を見上げるとスケートリンクの匂い……。これが詩人ですね。透明感のある涼しげな匂いがして私は好きです」

大島「少ない中で表現しなきゃいけないから、俳句も短歌も二対のもののひとつを入れることによってほかのものも想像させる、というテクニックが散りばめられていますね」

関連の仕事をしており、広告マニアでもある大島は、3ヶ所のキャッチコピーを紹介した。

「あ、風が変わったみたい」

大島「これは伊勢丹のコピーです。(画像を見て)砂浜みたいなところに女性が立っていて、目を太陽から隠れるように覆って、かつ、にこやかに笑っている」

西川「百貨店の季節の変わり目という感じがすごくしますね」

「プール冷えてます」

大島「としまえん(のコピー)。『ビール冷えてます』のもじり、みたいな感じです。次がイチオシなんですけど、パルコの……」

「ナイフで切ったように夏が終わる」

永井「すごっ、格好いい……」

大島「パルコ強いんですよ。強いコピーを選んでいくと、パルコ、新潮文庫、サントリー、とかになるんです」

永井「風が吹く感じですね、ナイフでビュッと切ったように」

「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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