“自分で考える”社員育成のご相談。正解はあるのか?『長尾一洋 ラジオde経営塾』9月12日(月)放送

“自分で考える”社員育成のご相談。正解はあるのか?『長尾一洋 ラジオde経営塾』9月12日(月)放送

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約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答!

今回は自動車販売店を経営する方から、社員育成にまつわるご相談が寄せられました。長尾社長はどのようにアドバイスしたのでしょうか。その一部をご紹介します!

 

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■「自分で考える」社員をつくりたい

ご相談を送ってくれたのは、自動車販売店を経営するラジオネーム『ミスターY』さん。

『番組をいつも聞いています。識学の安藤社長との対談などで、社員育成の話題が出ていましたね。

私は自動車販売店を経営していますが『自分で考える社員』を作り出せる仕組みを整えたいと思っています。

そのために自社の研修を見直したり、ルールを策定したり、そもそも幹部社員に育成の考え方を変えてもらわなければならなかったり、いろいろあると思うのですが、どこからアプローチしていけばいいのか長尾さんのお考えを教えていただければと思います。』

■「自分で考える」社員をつくりたい

自分で考える—-。

よく聞かれる言葉ですが、そのような人材を育成する方法はあるのでしょうか。

長尾社長からの回答は、ちょっと意外な角度からのものでした。


長尾社長:これはちょっとお答えが難しい。前提条件がいろいろあることなので。

「自分で考える社員をつくる」って、一般的に考えて良さそうですよね?指示待ち人間なんかよりいいわけだからね。

だけど考え方によっては、決められたことを決められたとおりにやったら自然と成果が出る方が良いかもしれませんよね。

社員さんご本人も「いちいち”考えろ”とか言われても、僕はそういうの苦手なんですよ。言われたらやりますんで!」みたいな人も案外いたりします。

 

自分で考えなければ成果が上がらない状態を変える方が良い場合も多いという長尾社長。

また「自分で考える」といっても、本当にゼロから自分でやってほしいのか、決まった仕事にもうひと工夫が必要な状態なのかでも違うと言います。

 

長尾社長:例えば(ゼロから自分でやるなら)自動車販売店の場合、営業マンみんなフルコミッションにして自由にやらせれば、自分で勝手に考えてやりますよね。多分そうじゃないから、こういうご質問されていると思います。

じゃあどこまでやるの?と。

まあ、私もいつも思いますよ。社員に「もうちょっと自分で考えらんないの!?」みたいなね(笑)。ある程度はできているんだけど、あと一工夫しなさいよ…と。

その場合は逆に言うと、考えなくてもきちんと成果が出せる手順を整えていくことの方が重要かもしれない。

経営者の方なので、自社をどういう会社にしていくのかという構想、ビジョン、基本的な考え方による…というのがまず大事なところかなと思いますね。

■正解はない!自社に合ったやり方で、整合性を持って取り組む

 

長尾:会社の規模にもよります。この自動車販売店さんが1店舗もしくは2店舗なら、やはり1人1人が一騎当千、自分で考えてやっていく人をそろえることができると思いますし、教育もやりやすい。

しかし10店舗20店舗、広域にも広げていくなら、それを維持するには、さっき言ったように標準化することを考えた方がいいかもしれません。

当然それに向けて、報酬の出し方や採用の仕方も全部変わってくることになります。

ご質問でも、研修のやり方や社内のルールなどを考えなければ…とありましたが、もちろんそう。それが全部整合していなきゃいけないんですよね。

「自分で勝手にやれよ」と言いながら、成果で測らず、何軒訪問したかでチェックしています…となると「いやいやいや」ということになります。

正解は無いんですよね。その会社に合ったやり方を整合性を持って取り組んでいくことが必要だろうと思いますね。

■ビジョンを明確に。第一優先は何かを考える

松尾アナ:最初のアプローチとして、何か具体的なご提案をするならどういった内容になるでしょう?

長尾社長:やはり会社のビジョン。ビジョンがあって初めて、自分で考える社員が活きることもありますよね。

識学さんの話も出ましたが、そういうやり方もあるだろうし、少人数なら親分・子分のような感じの方が案外フィットするかもしれないし。

今は後継者の問題などもありますので、代替わりの節目に近いなら、それを見据えた組織マネジメントのあり方。そんなところをまずきちっと決めていく。

一般的には自分で考える社員がいるのはいいことなんですが、本当にそれが第一優先なんですか?ということですね。それを考えてみたらいかがかなと思います。

 

■『全個一如』。長尾社長の取り組みについて

最後に、松尾アナから長尾社長が実際に取り入れている施策について質問が投げかけられました。

松尾:自律的に働く社員を増やすとき、長尾さんの会社で取り入れてらっしゃることはありますか?

長尾社長:まず「会社というのは個人の集合体なんだ」という教育をやっています。よく「会社が…」と言うけど、会社って誰だよ、と。”会社くん”というものはいないんです。これは、社長を含めて”人”。でも社長だけでもない。

そんな会社と自分との関係性を、まずきちんと理解するということ。

私は『全個一如』と言っています。会社がその人であり、その人が会社である。そういう考え方ですね。

またそれに付随して、うちの会社では社員株主さんということで、社員の8割くらいが会社の株を持っています。直接持っている人と、従業員持株会を通じて持っている人がいますけども。

松尾アナ:8割って多いですね!

長尾社長:そうでしょ?まあ持っているウェイトがそんなに高いわけではないけれど、配当とかも出るわけです。

となれば当然、自分の会社の利益がどれくらい出るかということに関心を持ち、自分事になりますよね。

今日のご質問で言えば「自分で考える社員」をつくるためには、オーナーシップを持たせて行った方がいいですよね。

フルコミッションみたいに個人事業主的な動きをするのも1つですが、今申し上げたように、社員という立場だけど、株を持っていて配当もあるという方がわかりやすいかもしれませんよね。


松尾アナ:社員株主って、中小企業でもやることは可能なんですか?

長尾社長:株を持たせればいいだけなので。逆に言うと中小の方がやりやすいです。

上場していると持株会があったり、上場前にはストックオプションとかを使ったりとか、社員に株を持たせることはあり得るんですが、普通未上場の中小企業はなかなかそんなことはしないんですよね。

だけど今は後継者不足などもあり、オーナーの家族が全ての株のシェアを握っている必要が本当にあるのか、と。

集団体制、集団マネジメントに変えていく時には、ざっと言うと株の3割程度を社員さんがシェアして持っているという形にするといい。まあどこまで持たせるかはまた考えたらいいんですけど。

それで「辞めるときには売って辞めていく」というような規定を作っておく。そういう種類株というものもあるんですけども。

そういうことが徹底されていれば、経営権の大元はオーナーさんが持っているけれど、社員さんにも配当や株価で会社の業績が還元されていく。そういう形であれば中小でもできるかと思います。

■『ミスターY』さんへの回答まとめ

・自分で考える社員をつくるより、自分で考えなくても決められた通りにやっていれば成果が出るような手順づくりが重要な場合もある。

・正解はなく、会社の規模や個性によって、合うやり方は違う。

・小規模であれば一騎当千の社員を育てることもできるが、大規模になるに従って標準化が必要となる。

・まずは会社のビジョンを明確にすることが何より大切。

【長尾社長の会社では…】「会社がその人であり、その人が会社である」という全個一如の考え方を浸透させている。それに付随して社員の方々の8割が自社の株を保有。各人がオーナーシップを持つことで、会社の業績を自分ごとと捉えやすくなる。

 

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『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。お仕事のお悩みや、経営戦略、店舗経営のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。
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