村上信五くんと経済クン「天ぷら油で空を飛ぶ?“SAF”を基礎の基礎からお勉強!」

村上信五くんと経済クン「天ぷら油で空を飛ぶ?“SAF”を基礎の基礎からお勉強!」

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毎週土曜朝9時~放送している「村上信五くんと経済クン」。
6月10日(土)の講義は、「天ぷら油で空を飛ぶ?」
今、使用済みの食用油をめぐって航空業界で起きている熾烈なエネルギー事情をお勉強しました。

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【国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 新エネルギー部 バイオマスグループ 主任研究員 矢野貴久(やの・たかひさ)さん】
矢野さんが所属している組織は、技術開発の力でエネルギー・環境問題を解決すること、そして日本の産業技術力を高めることをミッションとしている。そのために研究開発による技術革新・イノベーションを生み出すために、研究開発の取り組みを企画・立案し、その研究開発の担い手となる企業や大学などの研究機関と国との仲立ちとして、研究開発全体のマネジメントを行う。1980年に二度のオイルショックを受け、新しいエネルギーや省エネルギーの技術開発を進める先導役として設立された。今年で44年目。
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【今世界の航空業界全体で取り組んでいる“SAF(サフ)”とは?】
「Sustainable Avation Fuel」の略で、「持続可能な航空燃料」を意味する。大きな特徴は2つ。
⓵化石燃料以外の原料から作られている燃料
→植物由来のアルコールや木のチップ、都市ごみから作ることもできる。

⓶普通の化石燃料由来のジェット燃料と同じ性能なので従来の飛行機をそのまま使える
→飛行機だけでなく空港の給油施設やタンクもそのまま使える。
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【天ぷら油で空を飛ぶ?】
もう実際に天ぷら油から作られたSAFで飛行機が飛んでいる。欧米を中心に商用化が始まったばかりで、世界でも1パーセント以下の量しかまだ使われていない。日本国内でも、実証施設で作られた国産のSAFを実際に飛行機で使用する取り組みがいくつか見られる。日本航空グループのジップエアが成田ーホノルル線において通年でSAFの使用をはじめたとの報道発表もあった。
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【使用済みの天ぷら油はどのように精製する?】
天ぷら油は分子の構造上、酸素を含む。これはジェット燃料には不要なので取り除かなければいけない。またジェット燃料の分子構造は、炭素がつながってひものようなものになっているが、天ぷら油の炭素のひもの長さをジェット燃料と同じ長さにしなければいけない。触媒を使った高温高圧での化学反応によって精製するので、石油化学プラントのような設備も必要で簡単ではない。
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【その油を使うとどれくらい地球にやさしい?】
これまでの航空機の燃料に比べて、二酸化炭素の排出量をおよそ8割削減できる。実は航空機が空を飛んでいるときに燃料を燃やして直接出す二酸化炭素の量は、従来のジェット燃料でのSAFでもあまり大きくは変わらない。ただSAFの場合は植物由来の油からつくられているということで、植物が成長する段階で大気中のCO2を吸って成長してくれるので、その分二酸化炭素を吸収して封じ込めておくようにするという状態になる。
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【廃棄して食用油を巡って争奪戦に!?】
従来飲食業は、お金を払って回収事業者に廃棄する食用油、廃食油を回収してもらっていた。しかし今は無料でも引き取ってもらえたり、中には海外から買い付けにくる事業者もいる。国内で回収される廃食油の3分の1は海外に輸出されている。
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【食用油からできたSAFの価格は?】
数百円。従来のジェット燃料が1リットル100円と考えるとその数倍になる。それでも、世界的に今気候変動への対策が大きなテーマとなっていて、日本でも2030年までに国内の航空会社が使用するジェット燃料の10%をSAFにしていこうという話になっている。
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【ヨーロッパでは“SAF”はどれくらい浸透している?】
ヨーロッパには二酸化炭素排出削減の取り組みが求められる中、鉄道などに比べて排出量の多い飛行機に乗るのは恥ずかしいという意味で「飛び恥」という言葉も使われている。そんな中、ヨーロッパでは、EU域内の空港では一定比率以上のSAFの混合を義務付けることになっていて、2035年には20%の混合が求められている。海外から日本に来る飛行機は、日本で給油して海外に戻るので、日本の空港でSAFを供給できないと、極端な場合は日本の空港が敬遠される可能性もある。
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【国内に“SAF”を取り込む場合、天ぷら油などの廃食油は足りている?】
全然足りない。廃食油は年間38万トン回収されているが、その多くは既存の用途があって家畜の餌や塗料の原料に使われている。そのためこれまで集めてこられなかったところから廃食油を集めることが大切で、そこには多くの企業や市民の協力が必要。
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【10年後、日本のSAF事情はどうなっている?】
政府はまず、2030年には国内航空会社で使用するジェット燃料の10%をSAFに置き換えるという目標を示している。その後はさらにSAFの導入が増えていくのではないか。今、官民協議会で検討中。
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今回は特に天ぷら油から作るSAFについてお話を伺いましたが、ブドウなど果物からもSAFを作れるということで…村上さんもノウタス側でSAFに関わる日が来るかも?とても勉強になる講義でした。これからより“SAF”という言葉を聞く機会が増えてきそうです。
坂口愛美

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「経済初心者」の村上信五が、ゲストの方に教えを請いながら 「お金」に強くなってゆく番組です。 「お金持ち」しか持っていない情報を イチ早く皆さんに提供できるよ…

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