中島岳志「地方自治から広がりつつあるミュニシパリズム(地方主権主義)」
6月29日に開票が行われた東京・杉並区長選挙では自民党推薦候補を破り、岸本聡子氏が再選を果たしました。6月30日の「武田砂鉄 ラジオマガジン(文化放送)」では、東京科学大学教授の中島岳志がこの選挙から見える大きな流れについて話しました。
中島「きのう杉並区長選の開票が行われ、現職の岸本聡子さんが勝利しました。接戦と伝えられていて区長選にしてはマスコミも注目した選挙だったんですけど、蓋を開けてみれば2位の自民党の推薦候補とダブルスコアでした。保守が割れたからだといわれていますが、2位、3位を足しても岸本さんが勝っているので圧勝の選挙といえるでしょう」
砂鉄「前回は100何票差でしたもんね」
中島「岸本さんというとミュニシパリズムという言葉を掲げて4年前に選挙に勝った方ですが、ミュニシパリズムとは地域主権主義という意味で、近年、グローバル資本主義の中で新自由主義が蔓延して公共的な事業が民営化されていく中、それでは生活が成り立たないじゃないか、もう1回公営化しないといけないという考え方です。
生活の主体である住民のほうに主権を取り戻そう、そういった大きな流れを掲げて出てきた岸本さんが再選したということです。実は、これは世界的に大きな潮流になっているんです。国政レベルにおいては日本は高市さん、アメリカはトランプさんですよねけれども地方選挙においてはアメリカではニューヨーク市長選でインド系のマムダニさんというミュニシパリズムに繋がるような考え方を押し出している人が勝利を収めたり、シアトル市長選やワシントンD.C.の市長選、あるいは民主党の予備選でも、そういった候補が勝っているんです。
日本でもそうです。高市政権が続いていて、この2月の衆院選で圧勝したのにもかかわらず、直後の3月に石川県知事選挙で高市さんが現地入りまでしたのに馳浩さんが負けるということがありました。また3月には清瀬市長選挙で共産党が推薦する方が当選、4月12日には練馬区長選で都民ファーストの幹事長を務めていた方が負けて、吉田さんという無所属を強調した人が当選しました。
同じ4月12日に千葉の保守王国といわれる南房総市の市長選がありましたが、自民推薦候補が負けているんです。去年まで市の職員だった34歳の男性が勝ったんですが、この方は市民と一緒に政策を立案する政策カフェをずっと続けてきたことが評価されて当選したんです。
ミュニシパリズムは東京の西部だけにみられる限定的なものと見ていたんですけど、保守王国といわれていた千葉や石川などにどんどん広がっているんです。こういった国政レベルと違う動きは日本でもアメリカでもみられるようになってきましたが、ヨーロッパでは10年くらい前からみられる現象なんです」
番組では、この他にも中島岳志さんがミュニシパリズムについて語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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