非理性と悪を煮詰めたような内容…SNSで話題のドローン攻撃動画は誰がアップした?
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。8月24日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏とトークを繰り広げた。
マライ「今日は、ドローン攻撃で見える悪の見せつけが喝采される時代とは、っていうテーマです。最近、ドローン攻撃とか、ドローンが現れたっていうニュースが多いと思うんですね。ドローンで問題視されるのが、戦争の最前線じゃないところでも襲ってくるとか、ちっちゃいから発見されにくいとか、安く作れるとか、いわゆる兵器産業のような大きな産業以外でも簡単に作れるっていうことなんですね。普通の家庭にあるようなパーツでも作れちゃう。それができるからこそ、今の戦争産業の文脈をひっくり返せるようなものでもあるんですよね。だから、日本も含めて今からでも新たに参入できる、メジャー化が可能なジャンルなので、とても気になってしまうんです。ドイツでは、最近ドローンによる攻撃があったんですよ」
武田「ええ?」
マライ「ドイツは戦争の最前線ではないんですけれども、8月4日にライプツィヒ・ハレ空港で大きな事件が起きました。夜、午後11時42分、空港の職員がウクライナの貨物機2機の間を低く飛ぶドローンを発見したんです。そのドローンが職員と接触――触ったのかわかんないですけど――ドローンは地面に落ちました。そのドローンには、こぶしサイズの爆薬と起爆装置がついてたんですね。この起爆装置は不具合を起こしていたので爆発はしなかったらしいんですけど、何かを破壊しようとしてたんですよね。そういうような事件が最近本当に多くて。ドイツの重要なインフラである空港で謎のドローンが目撃されたり、今回みたいに空港の中に侵入してくるようなこともあるんですけど、今回は爆薬がついてたのが非常に問題になって、ドイツの連邦検察も、ドイツの郵便とか物流インフラに対する重大な攻撃だ、としています。この飛行機には何も入ってなかったんですけど、その前の日は、武器とか弾薬をウクライナへ運んでたんです。だから、もし弾薬積んでたら…みたいな話になってくるんですよね。それを爆発させられたら、さらに大きな爆発につながる。果たしてこれは誰がやったのかって大ニュースなわけですよね」
武田「もしもこれが爆発してたら大変なことになってますよね。国際情勢としても」
マライ「そうなんですよ。戦争をやっているエリアではないところで、ある意味、戦争に巻き込まれるっていうような状況なんですよね。そのドローンを調べると複数のDNAが出てきて、以前に起きた爆発物事件との繋がりが見えてきてるらしいんですけど、まだよくわからない。そこがポイントで、結局、誰がやったのかがよくわからない。おそらくロシアなんでしょうね。あるいは反EUとか反ドイツの勢力がやってるんだろうけど、多くの場合、時間がかかったり、最後までわからなかったりして、グレーのまま終わってしまうんですね。そこなんですよ。それが大きな不安につながるんですよね。ドローンは発見しにくいし、防ぎきれないわけです。空港だってすごく広いわけで、どうやってドローンの侵入を防ぐかなかなか見えてこないんです。もちろん民間人が使っている場所なので、これから飛行機に乗ろうとすると、やっぱ怖いっていうのがあるんです」
武田「そうねえ」
マライ「そういう不安が残る。それがある意味、反EU、反ドイツ勢力の勝ちなんですよ。もうその不安がすべて。今回は爆発しなかったんですけど、こういうものが見つかったっていうだけでニュースになるから怖いんですよね。で、他のドローンの話で、最近SNSを見ると――ツイッター、Xですね――そこに変な動画が流れてくるんですよ。ドローンが誰かを追い詰めて、どんどん接近して散々怖がらせて命乞いをさせたあげく、爆発して殺すっていう映像があるんですよ。最後に画面がピカーンと白く光って、殺したのかな? 死んだのかな?って思わせるようなもので、本当に非理性と悪を煮詰めたような内容なんですね。こういう映像を調べていくと、どうも一つのジャンルになってるらしくて、それをウクライナ人は皮肉を込めて「ドローンサファリ」と呼んでいるんですね。この映像の特徴なんですけど、FPV――first person view――つまり、まるで人が見てるような目線みたいになってるんですよね。要するに操縦者の目線の映像で、相手をどんどん怖がらせるような、まるで自分がそれをやってるみたいな感じになってるんですね。ある意味、犯人の目で見てるっていうか、そういうふうになってるんです」
武田「なんか僕が見たのは、野菜を売っているおじさんかなんかがドローンに追われてて、ドローンに対して別に僕は武器を持ってないよと見せるんだけど、攻撃していくみたいなものでした。じゃあ、こういうものがジャンルとして語られるぐらい、たくさん流通してるってことなんですね」
マライ「そうなんですよ。ドローンサファリっていうらしいんですけどね。こういうのがコンテンツ化してしまっていることがワタシは非常に疑問なんですね。戦争犯罪だったり、そこまでじゃなかったりしても、そういうコンテンツが増えてるらしいんです。2025年にヒューマン・ライツ・ウォッチが、ウクライナのヘルソンにおけるロシア軍のドローン攻撃の動画83本を分析したんですね。その結果、ロシア軍のドローン操縦者が、攻撃映像をSNSに投稿しているって報告したんです。だから、軍人が「撮れたぜ」って自慢げにアップしてる構造なんです。軍人だったら、もしかしたら戦争ということで問題にはならないのかもしれないんですけど、民間人だったら戦争犯罪なわけです。ガザでも構造は重なっていて、ワシントンポストが2023年の10月から2024年の10月までに、イスラエル兵が投稿した120本超の写真・動画を検証したところ、建物の爆破とか、放火を祝う姿だとか、パレスチナ人を嘲笑うような投稿を確認してるんですね。イスラエル軍はそれをよろしくないと思ってるらしくて、もう指導しましたと回答してるんですけど、どうも、軍人が自分のやった映像をネットに上げちゃうらしいっていうことなんですね」
武田「それに対して、ひどいけれどもポジティブな反応とか、よくやったみたいなコメントが来ると、また気持ちが高揚するってところもあるんでしょうかね」
マライ「そこなんです。そこがポイントで、なんかね、このタイプの映像がウケるらしいんですよ。だから、ドローンの持ち主側が、それをポジティブにプロパガンダとして活用できるっていうのが大問題なわけなんですよね」
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