
公益通報者や内部告発者が悪者にされてしまう文化を変えていかないとマズイ?「公益通報できないと人事権を握られた人が何か不正を告発する手段がなくなっちゃう」
12月27日(金)、お笑い芸人の大竹まことがパーソナリティを務めるラジオ番組「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜~金曜13時~15時30分)が放送。12月27日の放送は大竹まことと金曜パートナーの壇蜜がお休み。ジャーナリストの青木理氏と経済学者の金子勝氏が朝日新聞の「検察「犯人視し自白要求」 証拠捏造は反論 静岡県警「取り調べ不適正」 袴田さん冤罪検証」を取り上げ袴田事件の話題から公益通報者や内部告発の重要性を確認した。
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1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害され、強盗殺人罪などで袴田巌さん(88)が死刑確定後に再審無罪となった冤罪(えんざい)事件で、最高検と静岡県警は26日、捜査・公判の検証結果を発表した。最高検は、検察官の取り調べを「犯人と決めつけたかのような発言をしながら袴田さんに自白を求めたと指摘。 県警は、警察の聴取を「供述の任意性が否定され、不適正であったと言わざるを得ない」として、取り調べ手法に問題があったと認めた。
検察官が取り調べで「君以外に犯人がいないことは確定的」「君がやったんだろ」などと発言したことを挙げ、「犯人と決めつけたかのような発言をしながら自白を求めた」と認めた。
再審請求審が40年余かかり、審理が長期化した点も分析。1981年に申し立てられた第1次再審請求審については、申し立てから8年余が経った段階でも裁判官、検察官、弁護人の打ち合わせは3回のみだった点から「裁判所が積極的に審理を促進する方策が十分でなかった」と指摘した。
青木理「今年いろんなニュースありましたけど、やっぱりこの事件大きいですよね」
金子勝「大きかった。大きかったというのは、鹿児島県警、大川原化工機、兵庫県の問題、すべて。実を言うと、警察の自浄能力をある程度担保しないといけないんだけど、内部からいろんな告発があり得る状態の時に逆に犯人探しをして、公益通報あるいはもっと広い概念では内部告発を妨げる動きがすごく目立ってる。目立ってるのに最高検が「証拠を捏造したのはありえない」って、どうして言えるんだろうか。その根拠に対して、違う事例がいくらでも起きてるじゃないですかという違和感があるね」
青木「金子さんの話の中に多分二つ出てきたと思うんですけど、一つは捜査当局に限らないけど、いわゆる公益通報の話ともう一つは袴田事件なんかでいえば典型的な証拠の捏造という話なんだけど、いずれも大きく言えば捜査当局の中の問題なんですけれど、広域通報に関して言うと、たとえば企業にしたって、ありとあらゆる役所にしても日本的だなと思うんだけど、公益通報って本来はその組織の問題点、あるいはその組織の不正、あるいはその組織が抱えている歪みみたいなものを組織にいる人がこれはおかしいですって声を上げるわけだから、大きな目で見れば組織にとってはあるいは社会にとってみればいい話なわけですよね。それがなんか裏切り者とか組織のあら探しをして、外に漏らしたやつとかみたいな感じでバッシングされちゃったりとか、今度公益通報者保護法が強化されて今度その解雇とかできなくなるけど、配置転換なんかはまだできるようなことが書いてあるんだけど、そういう裏切り者扱いされちゃう文化は変えていかないと良くないなと思います」
金子「というか、民主主義には投票があるじゃない?でも、いろんな役所とか会社というのは、 人事権を握られた人が何か不正を告発して正さなきゃいけないと考えた時に、何にも手段がなくなっちゃう。そんな社会は良くならないじゃん。悪い奴がどんどん支配をしていくと、最終的に行き着く先が独裁政治。独裁者に歯向かうとダメだと。最近もデタラメなような、表現悪いけど、あまりにえげつない。兵庫県知事の問題でもそうなんだけど、犯人捜しをしたことを暴露しちゃうのが当事者で「クーデター」とか、「これは正しい」とかあなたが言うことじゃないでしょ。当事者なんだから。第三者が判断できる仕組みを作って、そこで弁明をすればいいだけじゃない。そういう当たり前の手続きが普通の役所や会社の中には自浄能力が弱くなってくるとなくなってくるんだよ」
青木「一個ずつ説明していくと兵庫のケースは、県民局長。残念ながら命を絶って亡くなってしまったんだけど、この人が斎藤知事のパワハラも含めて、いろんな問題点を内部告発、公益通報したと。で、そのあと鹿児島の話は、当時の鹿児島県警の最高幹部の一人だった生活安全部長が退職後にフリージャーナリストに告発をしたというようなことだったわけでしょ。 立場は確かにちょっとずつ違うんだけれども、鹿児島県警のケースで言えば告発した内容の中にストーカー事件の漏らされたくない公表されたくないと言った被害者の情報が入ってたから、これはけしからんのだといって逮捕までしちゃったわけですね。これは公益通報じゃなくて、国家公務員法に定められた秘密漏えいだといって逮捕しちゃったんですよね。 兵庫のケースで言えば、公益通報した県民局長がどうもパソコン調べたら不倫日記みたいなものがあったんだみたいなことを言われて、今度立花孝志氏あたりが「とんでもないとんでもない。こんなやつの告発は信じるに値するんでしょうか」っていうことをいいだして」
金子「それだけじゃなくて尾ひれをつけて10年で10人とか訳のわかんない話して、それに平気で乗っかっている評論家もいる」
青木「最近の週刊文春の記事なんか見るとその立花氏自身が週刊文章の記者に問い詰められて、根拠あるんですかと。それに立花氏が不倫写真があるんだみたいなこと言ったけど、文春の記者がそのパソコンのデータをチェックしてみたら全然不倫のような写真では全くないと。場合によっては個人的な単なる妄想だった可能性もあるという話じゃないですか?だから 根拠は本当に薄いんだけれども、そうやって、叩く材料にされちゃう。つまり何を言いたいかっていうと、告発した人が告発した内容にはあまり注目が集まらず、むしろその告発者のちょっとしたあるいは手続き上のミスだったりとかプライベートな部分をほじくり返して告発そのものを相対化して無力化しようみたいな、力がものすごく働いちゃう」
金子「だって公益通報と関係ないじゃない。関係ないことは第三者が見て、「こんなものは表に出す必要はない」と言ったのを「おかしい!隠した!」とかそういう攻撃をするわけでしょ。 隠したも何も関係ないじゃん」
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