OPECプラス増産継続も原油価格は高止まり UAE離脱とホルムズ海峡情勢が影響
5月5日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、「OPECプラスの増産継続と原油価格の行方」について意見を交わした。

徐々に基調の価格が上がっている感じが
石油輸出国機構(OPEC)プラス有志国は5月3日、6月の増産継続で合意した。アラブ首長国連邦(UAE)脱退後も引き続き協調していく姿勢を演出した形だが、ホルムズ海峡の通航が回復した後、増産競争が再燃する火種はくすぶっている。
UAEの離脱によって世界の石油供給に占めるOPECプラスの割合は45%程度と約3%下がり、2016年の結成以降で最低になる。価格支配力の源である余剰生産能力も約2割減る。盟主サウジとしてはこれ以上の支配力の低下は許容しがたい。
今のところはUAEの後を追う動きは出ていない。ロシアやカザフスタン、アルジェリアといった参加メンバーは4月末、UAEの脱退後もOPECプラスに参加し続けると表明した。
「UAEのOPEC離脱ですが、田中さん、これはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「当面、石油価格に与える影響は限定的な感じがします。ホルムズ海峡の事実上の封鎖の方が、原油価格には大きい影響を持っていますからね。そういった点では冷静に見ておくべきだし、OPECに関しては参加メンバーが出たり入ったりしている歴史を繰り返していますからね。その中で大物の脱退であるのは間違いないですが、また戻ってくることもあるんじゃないですか。そういった意味では、柔軟な枠組みですよね。抜け出すことができないものもけっこうありますから」(田中氏)
「そうですよね。今回、UAEは自分のところが投資して、もっと増産できるのにOPECに入っていることで上限を決められてしまう。これじゃあ割に合わないよ、というところですからね」(寺島アナ)
「そういう思惑でOPECを抜けた国はけっこうあったわけなので、抜けてもまた入ってくる可能性もありますから。自分の国の利益が重要で、残っている国もメリットがあるから残っている面があるわけです。ライバルを抑止したり、価格競争を回避したり。自国の設備だと老朽化しているところは増産にこたえられない、とか。そこら辺は様々だと思います」(田中氏)
OPECプラスは5月3日、6月の生産枠を日量18.8万バレル増やすと決めた。引き上げは3カ月連続。4月、5月には日量20.6万バレルずつ引き上げていた。
原油市場の反応は薄い。4日の国際商品市場で原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は1バレル100ドル近辺と、前週末から横ばい圏で推移した。
イラン軍事衝突を受けたホルムズ海峡の事実上の封鎖が続くなか、生産枠を引き上げてもすぐに増産できるわけではない。市場は、OPECプラスの「増産宣言」は足元の需給緩和につながらないと見透かしている。
「中東情勢は依然として緊迫化しています。今後の原油価格がどうなるのか? これが一番気になるところではあるんですけどね」(寺島アナ)
「徐々に基調の価格が上がっている感じがしますよね。北半球の先進国は、これから夏に向かっていきますから。そういった意味でも、エネルギー価格全般の石油天然ガスともに上がっていく可能性はありますよね。だから、設備の老朽化やホルムズ海峡封鎖の影響で、生産増といっても実体面では増えないんじゃないか? と、みんな思っているので価格面が下がらない」(田中氏)
「ええ」(寺島アナ) 「むしろ供給不足になる可能性の方がみんな心配しているので、先物を見ても徐々に基調価格が上がっている。だからアメリカやイラン側が何を言っても、上がっていく方向を打ち消すだけの楽観材料にはなっていませんよね」(田中氏)
〈出典〉
OPECプラス、当面の結束演出 増産継続も競争再燃が火種に | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR022Z70S6A500C2000000/)
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